ついに…
「お帰りなさいませ。…メル様、お久しぶりです」
賑やかだった道をオドオドしながら抜けると場内へ入る茶色い扉の前でルトネが主人の帰りを待っていた。
その主人に、腰から折り曲げた上半身の角度が45度になっている、お手本の様に綺麗なお辞儀をするルトネは頭を上げると、3週間振りに会ったメルを見て目を細めた。
「お、おひさしぶりです」
どこかぎこちない挨拶をしたメルは、何十回と会話を交わしたルトネにでさえ、これから起こる事を思うと緊張してしまう様だ。
「…では、こちらに。皆様、首を長くして待っておられますよ」
扉を開けたルトネの言葉に体をピキーンと更に硬直させたメルは、アスナの後に続き城の中へ入っていった。
そのメルの動きは、右手と右足が一緒に前へ出てしまい、ロボットの様にガシンガシンと効果音が聞こえてきそうな程ぎこちなく、全身で緊張しているという事を周囲の者に伝えていた。
「こちらの部屋に皆様がいらっしゃいます」
そんなメルに二人は突っ込みを入れる事なく、その様子を横目にしばらく歩くいていくと、1階の奥にある部屋に案内された。
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