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歓喜に包まれ


普段は愛らしい顔が、今では緊張のいろが顔に濃く出ているメルを他所に王宮の入り口へと着いてしまう。


大きな門を潜り抜けると残すは、城へと一直線に続く長い道だけだ。

「おおー!」
「みんなー!いらしたぞー!!
「ステキねー!」
「あら?なにか様子が…」
「ほんとね…。変ね…」
「具合でも悪いのかしら…」


アスナとメルを今か今かと待っていた王宮の者達は、二人の姿が見えるとワアッと歓声を上げた。

二人が自分達の前を通れる様に真ん中は空け、道の端に整列する兵や侍女達。


(う、うわあ…。すごいな…。いつもこんなに凄いお出迎えをされてたんだ…。流石、アスナさま…。当たり前だけど…、ぼくなんかとは全てが違うんだ。)


この非日常的な光景を日常的な光景だと勘違いしているメルは、たかが一庶民の自分と国王になる事が出来る器を持ったアスナとの間に、どう足掻いても埋める事の出来ない大きな差を感じ、自分なんかでは不釣り合いだ、と気を落としていた。


そんなメルに気付いたかどうかは分からないが、メルの幅の狭い肩に手を後ろから回し、自分の元へ優しく引き寄せた。


「行くぞ」

この光景を目の当たりにしたメルの足は、いつの間にか進むのを止め立ち止まっていた。

「は、はい」

その事に気付いていなかったメルは、慌てて自分の足に動く様に司令を出し、一歩踏み出す。









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あきゅろす。
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