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時は流れ


あの一件が解決してから一年が経過したセルシア王国では今日も微笑ましい二人の姿が見られていた。


「あ、アスナさま」

丁度ババの店から出てきた一人の少年が、向こうから歩いてくるアスナを見つけ笑顔で彼の元へ走って行く。


「メル」

笑顔で近づいてきたメルの頭をアスナの大きな手が撫でるとメルは顔を赤くしながら照れたように「へへ」と笑っていた。


「行くか」

「はい」


アスナとメルは白く聳え立つ城に向け歩き出した。

メルの歩く早さに合わせ普段よりも随分遅く歩いているアスナとメルの距離は、二人の間を風でも通れないほど近かった。

その距離は二人の親しい関係にある事が見てわかる。


メルの顔はひどく強張っていた。先ほどアスナに見せた天使の笑みはどこかに消えた。

「どうした」

そんなメルを見かねたアスナは声をかける。

「き、緊張しちゃって…」

メルは自分を落ち着けようと息を吐いたり吸ったりしているが、城が近づくに連れ呼吸のリズムが崩れているのが隣にいるアスナに伝わってくる。

「大丈夫だ」

アスナは力強くメルを励ますが、一年前の事件を切っ掛けに遠くの国にまで名前が知れ渡った流石のアスナにも緊張を解してやるのは無理だった。










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あきゅろす。
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