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その話を聞いたアベスは、今すぐ子供の所へ話を聞きに行くように調査隊に指示を出した。
「その子供は、元気なのか」
アベスが若者に問いかけた。
「はい。城に報告に来た者によると異常はないそうです」
話しているうちにその場の雰囲気になれた若者は、アベスの問いにスムーズに答えた。
「…そうか。これで少しは希望が持てそうだ。…ところで、その子供はどうやって逃げてきたのだ?」
最初は子供が無事に帰ってきた事で逃げた方法までは気にかけなかったが、冷静になってみればアベスの言う通り疑問が残る。
「確かに」
「王の言う通りだな」
「うーむ」
アベスの言葉で気が付いたのか皆が口々にアベスの疑問に賛同する。その中で、アスナだけが違うことを考えているようだった。
「そのことについてはどうだ?」
今まで事の成り行きを見つめていた若者がハッとし、「何も言っていませんでした」と慌てて答えた。
「…そうか、調査隊にこの事を直ぐに伝え、おまえは持ち場に戻れ。ご苦労だったな。」
若者は「はい」と返事をし調査隊のもとへ向かうため部屋を出た。
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