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二人は、どこかで道草をくっているかもしれないと、兎に角メルを探すべく走り出した。が、ババは歳のためか走れなかったので近所の人や知り合いに探すのを頼みに回った。



「いたか!?」
「いや…、そっちは?」
「だめだ…」
「ちゃんと探したのか!?」
「おまえこそ!」
「くそ!どこにいるんだ…」

「こっちはだめだ」
「俺もだ…。あっち行ってみるか」

色々な場所でそんな会話がされていた。皆が必死に探すがメルは見つからなかった。


「ババ!来てくれ!」

もしかしたらメルが帰ってくるかもしれないという淡い期待をしながら、ババは店でメルの帰りを待っていた。

そこにマルクの声が聞こえた。
見つかったのかもしれないと思い慌てて外に出たが、そこにはマルクしかいなかった。


「ババ!こっち、付いてきて」

切羽詰まった表情でババの前を早足になりながら進むマルク。


その背中を見ながらババはなんともいえない、モヤモヤとした嫌な感覚に襲われていた。


しばらくマルクの後を付いていくと普段は人通りが少ない脇道に着いた。マルクの他にも何人かの大人がいた。


「これって、ババんとこのだよな…。」


マルクはババに静かに問いかけるが、マルクやその場にいた者たちは聞かなくても答えが分かっているようだった。


「…ああ」

ババの一言でその場にいた全員の、「もしかしたら」と僅かに残っていた期待が粉々に砕け散った。










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