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がさっ
店の入り口の方から布の擦れる音がしたのでテーブルを拭いていた手を止めてそちらを見ると、そこには、2人の中年の男が立っていた。
「メルちゃん、やってる?」
とメルから見て右側に立っている少しぽっちゃりしている男が聞いてきた。
「あ、えと、あの…」
本当はまだ開店前なのだから「まだ」と言えばいいのだが…、メルはその言葉が言えずにいた。
(せっかく来てくれたのにどうしよう…、まだ時間じゃないけど入ってもらって平気だよね…?あっ、でも、ババさっきちょっとでかけて来るって言ってどこかに行っちゃったんだ…。注文取ってもご飯作れないや…、そしたらお客さんガッカリしちゃうよね…。でも、まだって言ってもガッカリしちゃうよね…。どうしよう…、どうしよう…、)
とメルが脳内パニックを起こしている姿を中年の男たちが見て癒されているところに〔メルにとってだけの〕救世主が現れた。
「メル、なにオロオロしてんだい?」
声のしたキッチンの方をみると用事を済ませて帰ってきてエプロンをしたババがいた。
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