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健多くん番外編。
C
「わかってた。わかってたんだ、こうなることは・・・」

学生時代みたいなセックスをすれば身体が動かなくなることくらい予想できたはずなのに。

あれから結局2回も夢中になって致してしまったおかげで、足腰がもうガタガタだ。

立ち上がれないくらいに疲弊して汚れた身体もそのままにベッドに倒れ込んでる。

「鍛え方が足りねえんだよ。ほら、水」

「在宅は筋トレする時間があっていいですね!ありがと!」

イーッと拗ねてみせれば、鳴人がおかしそうに笑った。

「お前なんだよソレ、子供みたいに」

「知るか!なんか・・・」

なんか、昔に戻ったみたいな気分になってるだけだ。

何時間か前まではあんなに仕事のこととか会社のこととか、そういう日常のことで頭がいっぱいだったのに。

鳴人と一緒にいると甘やかされてるのがわかるから。あんなことされたら、まるで何も変わっていないように思ってしまう。

「あー・・・・好きだなぁ・・・・」

あの時と一緒。好きで好きでたまらない。

「好きだよ、鳴人」

「知ってる」

当然のように帰ってくる返事は、やっぱりいつもと同じで。

水よりも俺を潤してくれる蜜がほしくて、鳴人をベッドの上に呼んだ。

「俺も好きだ」

「ん」

吐息が頬にかかって、唇が触れる瞬間。

ブー、ブー、ブー、ブー

「あっ」

枕元に置いた俺のスマホが大きく震えた。

まぶしく光るディスプレイには、今朝書類を提出させた同じ班の後輩の名前が映し出されている。

「ぁぁぁもう・・・ちょっとゴメン」

気を利かせてベッドから降りた鳴人に謝って、電話に出た。

「はい松森・・・うん。いいよ。ああ、そう・・・とりあえず明日でいいからあっちに見積りファックスしといて。数量と金額間違えるな。担当には俺が電話しとくから。月曜の一便に乗せてもらえるよう頼んどく。はい。うん、じゃあよろしく」

明日の朝に電話して、それから、

「また仕事の顔になった」

「え?あ、ホントごめん・・・」

戻ってきた鳴人に申し訳ない。せっかくの二人きりの時間なのに。

「別にいい。仕事のこと考えてるときのお前も、けっこう好きだしな」

「えっ?そ、そうなの?」

「仕事のできるイイ男。俺はその恋人。優越感があって最高だろ」

「・・・ははっ、なにそれ」

俺は鳴人と肩を並べられる存在になれたかな。

お互いに支えあえる、対等な関係になれたかな。

「休みはあと2日ある。それまで高校生に戻って、たっぷり楽しませてやるよ」

「・・・・・何の勉強からはじめようか、鳴人センセイ?」




消えない感覚。
消えない快楽。
消えない、幸福。


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あきゅろす。
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