キリリク小説。
健多くんの苦難の日々4〜木之香さまリク☆〜@
それは穏やかな午後のこと。
面白いテレビもなくて、たまには鳴人の書いた本を読んでみてもいいかな、なんて思わなければ済んだ話。
「おい、茶こぼすぞ。本汚すなよ、ソレ見本版で一冊しかねえんだからな」
「ん〜」
鳴人は窓際の仕事机で一心不乱にキーボードを打ち続けていて、僕はソファ腹這いになって寝転んだまま、本を広げていた。
鳴人の書く本は面白い。
長編ミステリーが基本で、普段集中して本を読まない僕でも最初から最後まで続きが気になってしかたがない。
そうしてどれくらい時間が経っただろうか、ふとノドが乾いて鳴人の淹れてくれたお茶のカップに手を伸ばした。
物語はだいぶ終盤に差しかかっていて、犯人の自白場面。
僕は本に集中したくて、ついテーブルの上を見ずにカップを持ち上げてしまった。
そのまま自分の方へ引き寄せ、そこで持ち手の角度が水平じゃなかったことに気づいたが、もう遅い。
「あ・・・っ!!」
バタバタバタ・・・と嫌な音をたてて、オレンジ色の水が白い紙の上にいくつも円を描いた。
ヤバい・・・なんとかしな、きゃ・・・・
「・・・・・・おいコラ」
「ひっ!」
頭上からいつもの数倍は低い声が降ってきて、僕は思わずバタンと本を閉じた。
それがさらなる被害をもたらすことを考えもせずに。
しかし、悟ったところでもう遅い。
「・・・あ」
「・・・・・・・・・健多」
顔を上げると、そこには体中から瘴気を放つ大魔王さまがいた。
「ごっ、ごめんっ、ホントごめんなさい!」
とりあえず飛び起きて謝るが、手に持った本は間違いなくお終いだ。
「弁償する!ホントに!」
「・・・・」
鳴人は黙ったまま僕の手から本をひったくると、問題の個所を静かに開き、そして、眉根を寄せて深いため息をついた。
僕からは見えないが、そこはものすごいことになっていたのだろう。
「俺言ったよな、こぼすって」
「・・・・ハイ」
「で、やっぱりこぼしたよな」
「・・・・ハイ」
「子供かお前は」
「・・・・・・・スミマセン」
本当に、その通り。
「なら、俺にお仕置きされても文句は言えないよな?」
「ん?・・・・・・・・あ、いえ、ハイ。文句は言えないデス・・・」
仕方ない。今回は本当に僕が悪い。
・・・いや、すごいイヤだけど!本当なら絶対にお断りだけど!!
しぶしぶ頷いた僕の顎を鳴人が指で上向かせる。
「じゃあ仕方がないよなあ」
鼻先が触れそうなほど近くで、鳴人の端正な顔が変態大魔王の微笑みを浮かべた。
「ほら、『悪い子の健多にお仕置きしてください』は?」
フッと首筋に息を吹きかけられる。
「・・・・・は!?」
ちょっと待てなんだその恥ずかしいセリフは!?
さすがにそんなこと言わされるほど悪いことしてない、と思う。
「ふざけっ、」
「本」
す、と鳴人の目が細められる。
完全に笑ってない両目に僕は不覚にもビクッとしてしまった。
逆らったら、なにをされるか・・・
「・・・ッ!」
僕は心の中で涙をのんで、吐き捨てるように呟いた。
「わ、悪い子の健多に・・・お、お仕置きッ、してくださいッ!!」
ちくしょうちくしょうちくしょう!
絶対いつか仕返ししてやるからな、この変態大魔王め!!
ふふん、と鳴人が満足げに鼻で笑って離れていくと、背中をドッと嫌な汗が伝った。
やがてその汗は、鳴人がクローゼットから出したあの黒い紙袋を目にした瞬間、文字通り滝のように流れ出したのだ。
ああ、・・・・またソレ・・・
その袋を目にしたのはもう三度目で、僕はただこういう変態に気に入られた自分の不幸さを呪うことしたできなかった。
「んっ・・・ふ、ぁっ・・・あ、あんっ・・・!」
サイドテーブルのライトが眩しい。
僕の顔を容赦なく照らすオレンジ色の光は、いつしかぼんやりと涙で滲んでいた。
もうどれくらい経っただろう。
蕩けるようなキスの合間に固形の媚薬をノドに流し込まれ、手慣れた手つきで服を剥がれた。
固形の媚薬は液体のソレよりも効き目が遅く、その間ずっと僕はベッドの上で鳴人の愛撫を受けていた。
唇を舐め、耳の中を舐めまわし、脇腹を撫でさする。
ただでさえゾクゾクと痺れのはしるもどかしい愛撫は、徐々に効き目をあらわす薬のせいで震えるほどの快感に変わっていく。
僕が抵抗しなくなると今度は脚を広げ、性器を口で弄ばれた。
「ぁっ、あんっ、は、ぁ・・・やだ、ソコッ・・・!」
鳴人はしつこいくらいに先端だけを弄りまわす。
つるんと紅く顔を出した先っぽにある小さな穴をくちゅくちゅと爪で苛めながら、括れを舌で抉る。
僕がソコを苛められるのが一番弱いとよく知っていて、まったく容赦がない。
ペニスを舐められるのは感じすぎてツライ。
「んあっ、あっ、ぃやぁあっ・・・!」
根元でツンツンと硬くなった睾丸をつつかれ、ビンと伸びた脚が自然と腰を持ち上げていた。
目の前の絶頂に向けてカラダがぶるぶると震えだす。
「ぁあ、あ、鳴人っ、くあっ・・・い、イクっ・・・はなしてっ・・・!」
ちゅるちゅると卑猥な音をたてて僕のペニスを弄る鳴人の髪に指を絡めて頭を引き剥がす。
すると鳴人はやけにあっさりとペニスから唇を離した。
「あんっ・・・」
ちゅぷ、という音がして鳴人の口から先走りと唾液の混ざった糸が垂れる。
そのあまりにいやらしい光景と、上目づかいに僕を見上げる鳴人の欲情した目に腰の奥がズンと疼く。
確かに離してと言ったのは僕だ。
でも、期待していた絶頂を目の前にしてそれを奪われたショックは大きい。
鳴人の口の中でイクのは恥ずかしい。
でも、もっとしてほしい・・・。
僕は理性と欲望の真ん中でぐるぐると葛藤していた。
「・・・なんだ、不満そうだな。もっと舐めてほしかったのか?」
鳴人が唇の端の淫液を舐め、そのちらりとのぞく赤い舌に僕はゾクゾクと背筋を震わせた。
あの舌でもっと苛めてほしい。
そう思ってしまうのはきっと薬のせい。
必死になって湧き上がる欲望と闘う僕を嘲笑うように、鳴人はまだ突っ張ったままの脚をぐっと開かせる。
「ぁっ・・・」
その後の快感を想像して熱く綻ぶ窄まりが冷たい空気にさらされる。
「もうココに俺を咥えたくてたまんないんだろ・・・このナカのイイトコロを硬いモノで擦ってほしいんだよな」
「やっ・・・やめ、て、言わないでっ・・・!」
その言葉だけでヒクヒクッといやらしい穴が期待に打ち震える。
ペニスの弱いところを苛められ、言葉でも興奮と欲情を限界まで高められる。
もう、限界。
薬で朦朧とした僕の意識は理性を脱ぎ捨て始めていた。
「なるひとっ・・・・」
気持ちよくして。
・・・もっと、苛めて。
その願いが伝わるように潤んだ瞳で鳴人を見上げる。
脚を開かれても浮き上がったままの腰をもじもじと揺すり、ソコを弄ってほしいと訴える。
そんな淫らな僕を鳴人は唇を歪めるだけで笑い、その長い指にローションを纏わせ、先だけをつぷっと穴に差し入れた。
「あっ!・・・あ、ぁあん・・・」
それだけの刺激で僕の腰はビクンと跳ねあがり、もっと呑みこみたいとうねる。
「ひあっ、あ、ああっ・・・ダメッ・・・!」
ぐねぐねと腰を揺らしながら焦らすようなその指を根元まで呑み込むと、想像していた以上の快感が下半身から頭の先にはしった。
ズクズクと重たい快感に脳が侵され、ナカに入った指を力いっぱい締め付ける。
「おい、指が動かねえよ。緩めろ」
「だ、って・・・、あっ、あっああーッ!」
自分の意思とは関係なく、ぎゅううっと音がしそうなほどソコに力が入る。
まるで自分のカラダではなくなってしまったようで怖い。
ぶるぶると腰を浮き上がらせたまま痙攣する僕に、鳴人は小さくため息をついた。
「だから煽るなよ。お仕置きだって言っただろ・・・ったく、お前見てたらこっちがおかしくなりそうだ」
「ひっ!」
チュクッと勢いよく指が引き抜かれて、僕は小さく悲鳴を上げた。
快感を突然奪われた下半身がベッドの上に崩れ落ちる。
すると鳴人は、あの魔王の四次元紙袋からローターを取り出した。
いつか使われたローターとは違い、卵型の小さな楕円にはコントローラーが繋がっていない。
いったいどうするんだろうと考えていると、鳴人はもうひとつ小さな四角いものを取り出した。
「コレは遠隔操作のできるローターだ。ちゃんと動くから安心しろ」
そう笑いながら言うと、僕の力の抜けた腰をぐっと片腕で抱え上げる。
「ほら、脚開け。自分で恥ずかしいトコロ俺に見せろ」
そんなこと絶対に嫌なのに、僕は素直に鳴人に抱え上げられた下半身を開いていく。
あまり慣らされていないソコはほとんど解れてないため、入口はまだ小さいままだ。
それでも快感を受け止めようと必死になって力を抜くと、少しだけナカに空気が入り込んでくるのがわかった。
「なんだ、今日はやけに素直だな」
「・・・・・ぅ、るさい」
いつもならここで変態大魔王に罵声の一つでも浴びせてやってるところだ。
でも今日はそんな気分じゃなくて、もっといやらしい気分だった。
ここ何日か鳴人の仕事が立て込み、家庭教師をしてもらう日数が減っていたからかもしれない。
勉強にかこつけて抱かれることも自然と少なくなり、もう一週間以上もナカに鳴人を感じていなかった。
いわば、軽い欲求不満。
普段なら絶対に表に出ないそれが、今はクスリのせいで何倍にも増幅されてる。
鳴人に抱かれ、想像を絶する快楽を覚えてしまったこのカラダは、自分が思っている以上に淫らになってしまったのかもしれない。
きっとローターで苛められた後は直接鳴人を感じることができる。
そう信じているからこそ、この地獄のような責め苦に耐えられるのだろう。
それほどに僕は鳴人という人間を求めるようになってしまった。
唇を引き結んで次の刺激を受け入れようとする僕に、鳴人は少し困惑した顔をしていたが、すぐに何か思いついたようににやりと笑った。
「まあいい・・・まだ少し狭いけど我慢しろよ」
「・・・ん」
つぷ、と少し無理やりローターが侵入してくる。
いくらローションで滑るといっても、狭いソコには小さなローターでさえ苦しくて、思わず息をつめてしまうと今度は緩く勃ちあがったままの茎をゆっくりと扱かれた。
「はっ・・・!あ、あっ・・・!」
前にじんわりと広がる甘い快感に一瞬ナカが緩んだところで、鳴人の長い指が異物をぐっと中に押し込む。
ソレは浅いところでとどまっていた。
「・・・なんとか入ったな。ほら、いまココだ」
コツコツと爪でローターを叩かれ、僕は羞恥に頬を染める。
「あとはスイッチを入れれば自然とイイトコロに当たるだろ」
鳴人がベッドの上に転がしていたコントローラーの方を握る。
「・・・スイッチ、入れるの?」
普通に抱くつもりなら、なぜこんなものを入れられたんだろうと考えていると、鳴人が信じられないことにベッドから降りてしまった。
「ちょっと!どこ行っ・・・っ、あ!」
鳴人の袖を掴もうとカラダを起こすと、ナカでローターがぐりっと動いてしまう。
信じられないところにずっとある無機質なモノ。
どうしようもない異物感に軽い吐き気さえ覚える。
「どうすんだよコレッ・・・!」
「だからお仕置きって言っただろ?俺は仕事するから、その間ソレで遊んでろ」
「そんなっ・・・・ぁっあ、ひっ!?」
突然、ナカのモノがぶるぶると振動を始めた。
鳴人がスイッチを入れたのだろう。
壁を内側から震わされると、忘れかけていたカラダの熱と疼きが勢いよく燃え上がる。
「ぅ、あ、あっ・・・ひっ、あ、ヤだ、コレっ・・・!」
「どうしても我慢できなくなったら俺を呼べ。そのとき仕事が終わってたら優しく抱いてやる・・・・・・ただし、もし仕事の途中だったら抱いてはやるがイヤってほど泣かせるからな」
「そ、なっ・・・いつまでっ・・・!」
「さあ。誰かさんが集中力を途切れさせたから時間がかかるかもな」
声は怒っていたが、鳴人の目は楽しそうに細められている。
「ま、頑張れよ」
まるで口笛さえ吹きそうな口調で言うと、寝室の扉を閉めて出て行ってしまった。
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