キリリク小説。
藍崎鳴人の受難の一日〜小麦さまリク☆〜@
まさか自分がこんな状況に置かれる日が来ようとは夢にも思わなかった。
ソファに2人並んで座って1時間。
さっきから健多は一度もこちらを見ようとしない。
「・・・だから悪かったって」
「・・・・」
その目はテレビの方に向いてはいるが、番組の内容が頭に入っていないのは明らかだ。
バラエティ番組なのに、さっきからクスリとも笑わない。
原因は1時間前に大学のゼミ仲間からかかってきた電話。
普段授業を受ける以外に大学になんの思い入れもない俺でも、単位のためにはゼミに参加しないわけにはいかない。
そのゼミを担当する教授に今度新しい助手がついた。
そこで俺たちゼミ生は形だけの新しい助手の歓迎会と称した飲み会を開くことになっていた。その日が今日であることを俺はすっかり忘れていたのだ。
俺がそういうイベント事を忘れる性格であることを知っているゼミ生の一人が、丁寧にも飲み会開始時間の確認の電話をかけてきたことが健多のこの状態の原因。
さっきから何度も話しかけてはいるが、健多は全然反応しない。
仕方がないので俺は出かける準備をするために立ち上がった。
「なるべく早く戻る。欲しいモンがあったら買ってくるけどなんかあるか?」
しかし、相変わらず返事はない。
俺は小さくため息をついて寝室で身支度をし、玄関に向かった。
出る時に健多を見てみたが、まったく動きが見られないのであきらめて部屋を出る。
最近健多は俺に甘えるようになってきているのかもしれない。
前までは俺がいなくなっても怒ったり寂しがる素振りは、少なくとも健多としては表に出さないようにしていたようだった。
それがいつの間にか少しずつ態度に出るようになってきているのだ。
今の状況は確かに良い物ではないが、少なくとも悪い兆候ではない。
むしろ心を開いてきているのなら喜ぶべきものだ。
俺は内心ほくそ笑みながら、どうやって飲み会を早く抜け出すかを考えていた。
健多の機嫌が少しでもよくなっていることを願いながら玄関の扉を開ける。
適当なところで抜けようと思っていたのに、教授の長話に付き合ってるうちに気がつけば3時間が経過していた。
タバコ臭くなった服に顔をしかめながら廊下を進み、灯りのついた部屋を見渡す。
リビングに健多の姿はなく、まさか帰ったのかと少し焦ったが、よく見るとカウンターキッチンの向こうに小さな影があった。
「健多、なにしてんだ?」
こちらから見えないということは床に座っているのだろう。
いったいなんのためにそんなところにいるのかとキッチンを覗くと。
「けん、」
そこには蹲って首をだらんと垂らした健多と、無数の空き缶があった。
「ウソだろ・・・」
その缶に見覚えのある俺は慌てて健多に近寄り、その横に膝をつく。
床に転がった缶チューハイとビール。
俺が前の飲み会のときに余ったのを無理矢理もたされて、そのまま冷蔵庫に突っ込んでおいたヤツだ。
「おい!お前コレ全部飲んだのか!?」
散らばってる缶は6つ。
健多がどれほど酒を飲めるのかはわからないが、少なくともそれほど酒には慣れていないはずだ。
それをこの短時間で飲み干すなんて具合が悪くなってもおかしくはない。
まさか急性アルコール中毒になんてなってないよな、と一気に血の気が引き、背中を嫌な汗が流れた。
「健多、健多!大丈夫か!」
真っ赤に染まった頬を軽く叩くと、健多はうっすらと目を開けた。
「・・・・・・んん」
とりあえず意識はあるようでホッと胸を撫で下ろす。
「待ってろ、水やるから」
ぼんやりと虚ろな目をした健多を支えて立たせ、ベッドに運んだ。
水を汲み、倒れそうになるカラダを起こしグラスを口元に運ぶが、ボタボタと口の端から水がこぼれ、シーツにシミを作るだけ。
仕方なく俺は自分の口に水を含むと、顔を上向かせて口移しで喉に水を流し込んだ。
「んっ・・・ふ・・・」
自分の舌で、熱くなった健多の舌を押さえつけ喉を開いて飲ませると、健多は苦しそうに俺の袖を掴む。
「・・・大丈夫か?」
流し込まれた水をなんとか飲み終え、とろんとした目が俺を見つめてくる。
その潤んだ艶のある表情に一瞬このまま押し倒してしまいたい衝動に駆られたが、さすがに自制する。
健多はやっと自分が誰に抱えられているかを理解したように、数回まばたきした。
「・・・・なるひと?いつ、かえっれきたの?」
呂律の回らない熱に浮かされた顔。
顔色を見る限り、とりあえず気分が悪いなんてことはないようだ。
「今さっき。もう喋らなくていいから寝ろ」
意識がはっきりしてからこんなことをした理由を聞けばいいか、と健多を寝かせるためにカラダを倒そうとしたとき。
「・・・なるひとぉ!」
健多の怒りを含んだような叫び声とともに、突然自分の視界が反転するのを感じた。
ドサッ!
「・・・ッ!おい!」
健多がもの凄い力で俺を押し倒したのだ。
ベッドの上で痛みはほとんどないが、あまりに突然で一瞬なにが起きたかわからなかった。
「なにしてんだ・・・ッ!」
「・・・なにって?」
自分がいまなにをしているのか全然わかってないのか。
とりあえず立ち上がろうとしたところをまた突き飛ばされる。
いくら細身とはいっても健多も男だ。
思いっきり突き飛ばされれば俺でも倒れることもある。
「・・・おきちゃ、らめ」
「なんでだよ!」
なぜ自分がこんな扱いを受けるのかわからない。
しかしまあ単なる酔っぱらいの意味のない行動だろう。
「・・・・んっと・・・アレは・・・」
突然健多がキョロキョロとあたりを見渡し始める。
何をするのかと思ったら、サイドボードの引き出しを思いっきり引っ張りだした。
ガタッ、ガタガタ!
どうやら様子がおかしい。酔っぱらってるわりに、その動きがあまりにも真剣で素早いのだ。
ある意味、鬼気迫るものがあって怖い。
健多はしばらくひとりで格闘して引き出しを乱暴に開くと、その中から何かを取り出した。
いったい何を探してたんだと俺は首だけを起こして健多の手元を覗き込む。
そしてその手に握られているものを見て、自分のわずかな酔いまで一気に冷めた。
「おい、まさか・・・・健多、よせ。やめろ!」
「やら。やめないー」
大きな目をニンマリと細め、素早く俺の手を掴む。
そして俺が抵抗する間もなく。
カチャン!カチャン!
・・・・・・・・・・やっちまった。
俺の右手には健多に使って楽しむために買った銀色の手錠が嵌められ、そしてもうひとつの輪はベッドヘッドの支柱へと繋がれていた。
「・・・勘弁してくれ」
これから起こるであろう絶望的な出来事を予想して目の前が真っ暗になる。
そんな打ちひしがれた俺の上に健多がドッカリと跨り、見たこともないような妖艶な顔で笑った。
「これで、どこにもいけないれしょ?」
「・・・ッ、く・・・」
ピチャ、と卑猥な音が鳴る。
熱い指が俺の素肌を這いまわり、時折爪を立てる。
俺をベッドに繋ぎ止めた後、健多はなんのためらいもなく服を脱ぎ捨て、俺のカラダのいたるところを舐めはじめた。
唇、首筋、肩、胸、そして普段は俺自身も意識することのない乳首までを舌で転がし、舐めすする。
「ねえ・・・ここ、きもちいでしょ?」
唾液で濡れた乳首を指先で捏ねながら得意げに笑うその顔は、俺が今まで一度も見たことのない顔だ。
「んなわけ、ねえだろ・・・」
感じやすい健多と違ってそんなところ性感帯でもなんでもないはずなのに、何度もしつこくソコを弄られればさすがに勃つ。
健多のぷっくりと色づいた唇に乳首を呑み込まれ、ザラザラとした舌が先端を抉るように擦る。
背筋が痺れるような悪寒にも似た刺激に、胸に顔を埋める健多を引き剥がしたくなるが、それもかなわない。
さきほど俺の右手をベッドに繋いでから、健多は左手ももうひとつの手錠で繋いでしまったのだ。
つまり俺は今、健多に向かってバンザイをするように上半身をさらけ出している。
この手錠は玩具のくせにやけに精巧に作られていて、鍵がなければ絶対に外れない。無理に引っ張れば俺の手首が痛むだけだ。
俺が自由になる方法はただひとつ。
健多が正気に戻って、引き出しの奥にある鍵で手錠を外してくれるのを待つことだけだ。
「健多、もういいだろ」
いい加減にこのしょうもない遊びに飽きてほしい。
しかし、そんな俺の想いは最悪の形で裏切られることになったのだ。
「乳首、きもちよくない?」
キュキュ、と俺の突起を弄りながら健多が小首をかしげる。
その顔は・・・まさしく淫乱な天使だ。
そんな顔で卑猥な言葉を言われて、俺が煽られないわけがない。
今すぐこの目の前の白いカラダを貪りたい。
俺の息が知らず知らずのうちに荒くなり始め、股間のモノも否応なく反応する。
「健多・・・コレ、外せ」
無意識に健多を責める声も強くなる。
一度思いっきり手錠を引っ張ってみたが、ガチン、と虚しく金属音が響くだけだ。
「くそっ」
そんな俺を健多は笑いながら見ている。
・・・・・・犯したい。
しかし俺の生殺与奪は健多が握っているのだ。
「乳首は感じらくても・・・ココさわられたらきもちい?」
すりすりと健多の指がかすかに膨らんだ俺の股間を撫でる。
「ッ・・・!」
ヤバい。
確かにソコは触られればどうしても快感を得てしまう。
「あ・・・いま、ピクッて・・・」
うっとりと健多が微笑み、俺のモノをさらに強く擦りだす。
「ッ・・・め、ろッ・・・!」
健多の細い指が俺の股間をぐりぐりと刺激する。
その光景だけで俺のモノは完全に勃ちあがった。
普段人に触られることのないソコにドクドクと血流が集まり始める。
押さえつけられた前を苦しく感じ始めた頃、健多はそれに気づいたかのように俺のファスナーに手をかけた。
「おっきーの、らしてあげるね」
「おいッ!」
へろへろとカラダ全体を揺すりながらベルトを外し、ジッパーを一気に下ろす。
あられもなく隙間から顔をのぞかせた膨らみに、俺は内心自分を罵った。
最悪だ。
これはなんの悪夢なんだ・・・。
しかし健多はそんな俺の気持ちなどおかまいなしに俺のズボンを下げにかかる。
さすがにこれはマズイ。
そう思った俺は慌てて身を捩った。
「あっ、もーダメらってば!ばたばたするな!」
怒った健多が俺の勃って敏感になった性器をバシッと思いきり叩いた。
「い!?ッてぇ!!」
途端、頭に真っ白な火花が散る。額や背中をどっと油汗が流れる。
「あはははは」
全身を突っ張って脳天を突き刺す痛みに耐えている俺を見て健多が爆笑する。
コイツ・・・・絶対あとで覚えてろよ・・・
しかし予想以上の衝撃にまったく動けなくなった俺は、涙を浮かべて笑いながらズボンと下着をまとめて引き下ろす健多の動きを止めることができなかった。
「やめッ・・・!」
ズルン、と一気にすべてを取り攫われ、下半身が健多の目の前に晒される。
叩かれた痛みで若干萎えたペニスが健多の目の前で揺れていた。
「ふふっ、なるひと・・・コレ僕にいれたい・・・?」
血管の浮き出た茎が健多の手のひらでぴたぴたと跳ねさせられる。
さすがの俺もここまでされれば理性が飛ぶ。
いや、コイツの前じゃいつも理性なんてないに等しいが。
こうなってしまった以上、自分では処理することができない。
「・・・・・挿れろ、健多」
自分でこんなことを始めた以上、健多自身に最後までやらせるしかない。
健多はいまおかしくなってる。
ちょっと煽ってやればすぐに自分から腰を振りだすだろう。
「お前の中にぶちこんでやりたい。だから、挿れろ」
俺の言葉に一瞬健多の動きが止まる。
そしてその喉が小さくコクリと鳴った。
「じゃあ・・・もっと、大きくして?」
細い指が手のひらの上の俺をなぞる。
敏感な部分への刺激に脳髄がビリッと痺れた。
裏筋を擦られ、徐々に硬くなっていく茎が脈打つ。やがて指は張り出した先端にあてられた。
「まっかだね・・・先っぽ、すごくきもちいって知ってる?」
深くスリットの入った部分を健多の指先がくすぐる。
亀頭を捏ねまわし、少しずつ溢れてきた液を先端に塗り込めた。
熱く、そして電気のように走る快感に俺は深い吐息をつく。
「濡れてきた・・・くちゅくちゅって」
いちいち俺がどんなふうに感じてるかを囁かれながら、泉のように先走りを溢れさせる小さな穴を抉られる。
普段からは考えられないほどの健多の痴態に、眩暈がするほどの快楽が俺の頭を支配していく。
「ぅ・・・・・あ」
「もっと声だして」
腕が跳ね、頭上でガチャンと手錠が大きく鳴った。
「健多・・・ッ、もう・・・」
限界だ。
愛撫されるカラダも、健多に煽られる心も。
この淫乱な少年を組み敷いて、めちゃくちゃになるまで犯してやりたい。
しかし健多は大きな目をすっと楽しそうに細め、先走りで濡れた指で俺の唇をなぞった。
苦味のある蜜を唇の隙間から無理やり入れられる。
「ッく」
「まだ。ぼくのココ、まだ開いてない」
俺の上で細い脚を限界まで開き、自ら紅く色づいた蕾を見せつける。
何度も何度も犯してやったソコはすっかり淫猥な色に変わってしまっていた。
何も知らないような可愛い顔で、カラダはすみずみまで開発されつくしている。
自分が健多のカラダをそうしたのに、あまりの卑猥さに頭の中が深紅に染まった。
「ほら、みえる?鳴人が欲しいって・・・ぁッ、ぱくぱく、してる、ッ・・・!」
クニ、クニ、と指先で自分の蕾の入口を捏ねる。
さすがに挿れるのは怖いのか、健多は眉間に皺を寄せながらぽってりと腫れたその場所だけを俺の目の前で弄り続けた。
「はぁんっ・・・ぁ、ああッ・・・!」
腰をぐねぐねと捩り、開いた脚を痙攣させる。
「この、淫乱ッ・・・!」
力任せに振り下ろす腕。
ガツン!とベッドヘッドの支柱が揺れる。
健多がその音に一瞬動きを止め、満足そうに微笑む。
絶対に許さない。
あれだけ何度も言ってやってるのに、コイツは全然わかってない。
俺が、どれだけ。
「なるひと」
呼ばれてハッと我にかえる。
目の前には興奮で今にも涙をこぼしそうな健多の姿があった。
「・・・ココ、なるひとの指で・・・」
キュ、と爪の先を蕾に潜り込ませ、健多が腰を突き上げる。
自分では開くことができないと言いたいんだろう。
やっと俺にも解放のチャンスがめぐってきたわけだ。
「わかった。解してやるからコレ外せ」
ガチャン、と手錠を揺らしてやったが、健多はなにかを悩んでいるようだ。
「どうした?外さないと弄ってやれない」
早く外せ。
早く。
そうしたら、お前に死ぬほど後悔させてやる。
しかし俺は、次の健多の言葉に耳を疑った。
「・・・・・・・・どっか行っちゃわない?」
「・・・・は?」
どこかに行く?
どこへ?
この状態のお前をみすみす逃して俺がどこに行くってんだ?
「そんな馬鹿なことするわけねえだろ」
「・・・それならいいけど」
また勝手に何かを納得したのか、健多が引き出しから鍵を取り出す。
というか、いつの間に鍵の場所を知ったんだ。
今度使うときのために場所を変えなきゃな。
「ぜったい、どこにもいくなよ」
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