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可愛いオオカミさん2
俺、紺谷晃が部活の先輩である真島夕斗先輩に襲われて(?)から一週間。

俺は一度も先輩に会っていない。







「おかしーなー・・・教室にもいないのか」

俺はボリボリと頭を掻いた。

先輩のいる三年棟は俺のいる二年棟とグラウンドを挟んでちょうど反対側にあたる。

広い学校だから普通に授業を受けてればほとんど三年生と会うこともないし、宣言通りあれから部活に一度も顔を出さない夕斗先輩に会うチャンスは無いだろう。

だからこそこうして昼休みや部活が始まるまでのわずかな時間を見つけて、俺は夕斗先輩がいそうな場所を探し歩いているんだけど。

「そろそろ部活の時間か・・・」
三年棟の一階にある人一人いない夕斗先輩のクラスから離れて廊下を歩いていると、向こうからテニス部の三年、木崎先輩が歩いてくるのが見えた。

木崎先輩は確か夕斗先輩と同じクラスだったはずだ。

もしかしたら夕斗先輩の居場所を知ってるかも。

「木崎先輩!」

同じ三年生らしき人と喋っていた木崎先輩が俺の声に顔を上げる。

「おー、晃じゃん。お前三年棟で何してんの?」

俺は急いで木崎先輩のところまで走る。

「俺、夕斗先輩探してるんです。木崎先輩なにか知りませんか」

「夕斗?夕斗ならたしか・・・・・・あ」

先輩はなにかマズイことを思い出したみたいな顔をする。

「先輩?」

「・・・・あ、いや、俺しらねえよ?」

「・・・・・・なんでウソつくんですか」

あやしい。

この顔は絶対知ってる顔だろ。

俺より少しだけ背の低い先輩を上から見下ろすように問い詰める。

すると木崎先輩はあっさり口を割った。

「わーった、わーったって!夕斗ならたぶん資料室だよ。明日の総会で使う資料がどうしても見つかんねーから探すって言ってました!」

資料室か。

たしかにあそこは普段から普通の生徒は使わないから思いつきもしなかった。

「ありがとうございます木崎先輩」

にっこり笑ってさっそく資料室に行こうとすると。

「おい、晃」

先輩が俺の肩を掴んだ。

「なんですか?」

「・・・お前、もしかして夕斗となんかあった?」

・・・って、言われても説明しようがないんだけど。

「夕斗先輩がなんか言ってました?」

「いや。なんも言わねーよ。でもむしろそれがおかしいっつーか・・・俺こないだ夕斗と渡り廊下歩いてるときお前見かけてさ、声かけようとしたんだよ。そしたら夕斗がすっげー困った顔してやめてくれっていうから・・・」

「・・・そうですか」

誰にも言わないから、って自分で言っといてそれじゃあ『なにかありました』って宣伝してるようなもんじゃないですか、先輩。

俺が何も言わないでいると、木崎先輩は短く立てた自分の髪を撫でながら言った。

「あのさ、俺がこんなこと言うのアレなんだけど。夕斗って後輩のなかでもお前のこと特に可愛がってたからさ。だからもしお前がアイツのことでなにか怒ってるとか、アイツのこと怒らせたとかそういうのがあるなら、たぶんどっちか誤解してると思うんだよ。アイツがイイ奴なの、お前もよく知ってるだろ?」

「夕斗先輩が、俺を可愛がってる?」

そんなこと初耳だ。

先輩は誰にだって優しかったけど、特に俺になにかしてくれたってことがあったっけ?

「ああ、お前けっこうニブいとこあるもんな。ほら、去年の新人戦でお前手首痛めただろ。あの後、夕斗お前のためにマッサージの仕方とか無理のない練習法とかいろいろ探してたんだ」

「・・・」

知らなかった。

夕斗先輩があのときいろいろしてくれたのは、チームのサポートとしてだと思ってた。

先輩も「先生に頼まれたから」って笑って言ってたのに。

俺の知らないところで夕斗先輩がそんなに俺のこと気にかけてくれてたなんて。

「だからさ、」

「木崎先輩」

俺は先輩の言葉を遮って資料室に向かって走り出した。

「ちょっ、おい晃!」

「すみません、俺今日部活行けません。部長に言っといてください」

とにかく夕斗先輩に会いに行かなくちゃ。

俺は、先輩があんなに悩んでたのに何も気づいてやれなかった。

思いつめた先輩があんな非常識な行動に出るまで追い詰めた。

先輩の優しさが当然だと思って、気にもとめなかったんだ。

「ごめん・・・ごめんね、先輩」

資料室はもうすぐ目の前だ。

俺は走った勢いのまま、資料室の扉を勢いよく開けた。

スパン!と滑りのよすぎる扉が音を立てて開いて、薄暗い部屋に西日が射しこむ。

その奥、夕陽でオレンジ色に染まったカーテンの前に、先輩はいた。

「・・・・見つけた」

「え・・・こ、紺谷?」

手に持った資料を握りしめて、夕斗先輩はなにがなんだかわからないという顔をしていた。

・・・少し、痩せたかな。

それも俺のせいなんですよね、先輩。

俺のことで誰かがこんなに悩んでる。それだけ俺のことを考えてくれてる。

そう思うだけでこんなにもその人が愛しく思えるのはなんでだろう。

俺は茫然としたまま立ち尽くしている夕斗先輩に何も言わず、部屋の中に入った。

ゆっくり扉を閉めて、鍵をかける。

一歩近づくたびに、先輩の肩が震えた。

それでも俺がすぐ目の前に立つ頃には、先輩も諦めたように自分の足先をじっと見つめたまま動かなくなった。

「・・・・どうして俺から逃げたんですか」

人より少し大きなその目にはうっすらと涙が溜まっている。

俺の知る夕斗先輩は、人前でこんなに泣く人じゃなかったと思うけど。

「先輩・・・俺は、」

「なっ、なにをすれば、いい・・・?」

震えた小さな声。でもその声ははっきりと俺に届いた。

「・・・どういう意味ですか」

先輩は俯いたままこっちを見ようともしない。

目が泳いで、何かに怯えているようだ。

もちろん『何か』というのは、俺のことなんだろうけど。

なんか無性に腹が立つ。

「なにをすれば、ってどういう意味なんですか」

問い詰めると先輩は少し迷って、そして口を開いた。

「・・・なにをしたら、紺谷の気が晴れる?・・・おれ、なんでもするから・・・だから」

「先輩」

「あんなことして・・・でも、謝ろうにも、こっ、怖くて・・・だから、おれ、なんでも」

「先輩!」

細い肩を掴むと、大げさなくらい先輩がビクッとした。

肩を揺さぶられた衝撃に、ポロッと涙が落ちる。

なんか苛めてるみたいだ、なんて罪悪感が湧いてくるが、そんなこと言ってる場合じゃない。

ひとつだけ・・・あのときからひとつだけ、どうしても許せないことがある。

「・・・・俺は、・・・・先輩の好きになった俺は、先輩のしたことを誰かに言いふらすって脅すような、そんな人間なんですか」

先輩がはっと顔を上げる。

「そんな人間をアンタは、告白するの卒業まで待てないほど好きになったのかよ!」

「・・・・・・っ!」

そうだ。

告白してすっきりできる想いだったなら、卒業間際に言えばいい。

それができないほど、この人は俺のことが好きだったんだ。

これからの関係がギクシャクするってわかってて、それでも我慢できないほど。

それで、俺に抱かれてあんなに嬉しそうな顔をするほど。

「先輩を抱いてるとき、俺思ったんです。すごい可愛いって。俺のことすごい好きで、それが全身から溢れてて。普段は優しくて大人しい夕斗先輩があんなになるまで俺のことを求めてるんだってわかって・・・」

肩を掴んでいた手を滑らせ、先輩の薄い身体を抱きしめる。

力なんて加減しないで、思いっきり引き寄せる。

「・・・・俺、先輩が好きです。好きになったんです。でも、先輩が俺の言うことをなんでも聞いて、それで俺にあの事をスッパリ忘れてほしいっていうなら、俺それでもいいですよ」

「・・・紺谷?」

「でも、俺が先輩に命令することはもう決まってますから」

この人を受け止めたい。

こんなに俺のことを思ってくれた可愛い人を、手放したくない。

だから俺は、ズルイ人間になる。

「・・・今ここで、先輩から俺にキスしてください。それで俺、あのときのこと全部忘れます」

耳元で囁くとビクリ、と先輩の肩が震えた。

「俺にキスして、先輩もあのときのこと忘れてください。でも、これだけは覚えてて。俺は・・・・これからずっと、先輩のこと好きですから」

逃げられるはずがない。

だってほら、先輩の目からボロボロ綺麗な雫が流れてくる。

それでいい。

俺のことが好きなら、またあのときみたいに襲ってくればいい。

「先輩」

涙でぐしゃぐしゃの両頬を包み込み、その顔を覗き込む。

すると先輩は力の入ってない手で俺の胸を突っぱねた。

「でっ・・・、できないっ・・・だっておれ・・・紺谷のこと・・・!」

「俺のこと、なんですか」

少しだけ離れた身体をまた引き寄せる。

すると先輩は唇を震わせて。

「紺谷のこと、まだ・・・こんなに好きだから・・・!」

俺の腕の中で小さく囁いた。

今度こそ、本当の本当に手に入れた。

嬉しくなって先輩を力いっぱい抱きしめなおす。

「・・・・それなら、先輩からキスしてくれなくていいです」

「え・・・?」

不思議そうに、そして不安そうに見開かれた瞳が俺を見上げる。

その顎を掴んで、俺は先輩の逃げ道を奪った。

「今度は、俺が襲いますから」





先輩の身体は全然力が入ってなかった。

この間みたいな有無を言わせない力強さもない。

ただ俺にされるがままに唇を開いた。

息ができないくらいに強く舌に吸いついて、離す。

先輩の小さく開かれた唇の端から二人分の唾液が垂れた。

夕陽に光るそれがやけに生々しくて、俺は湧き上がる欲望を抑えきれなくなる。

「先輩・・・ここでシていい・・・?」

馬鹿みたいにきっちりと締められたネクタイを外しながら言うと、先輩は初めて抵抗らしき動きをする。

「だ、ダメだ!」

「・・・・なんで」

俺のことはあっさり襲ったくせに、俺にはさせてくれないんですか。

そりゃないよ。

「おれ、明日の総会の資料取りに来ただけだから・・・もう行かなくちゃいけないし」

俺の手からほどけかけたネクタイを奪って、先輩は窓際にさがった。

俺は先輩を追いかける。

「見つかんなかったことにすればいいじゃないですか」

「でも、こんな狭い部屋で一冊のファイル探すのにそんなに時間かからないし・・・」

「先輩。俺もう限界なんですけど」

「そ、そんな・・・」

「一週間先輩のこと想いながら毎日一人でヌいてた俺の気持ちわかります?」

「ばっ・・・なんてこと言うんだよ!」

トマトみたいに顔を真っ赤にして先輩が俺を叩く。

そんな顔も可愛いけど、俺もう本当に限界なんです。

「好きな人とシたいって気持ち・・・先輩なら痛いほどわかるでしょ?」

「・・・・・」

ほら、何も反論できない。

でも先輩は俺の予想以上に・・・いや、予想通りに真面目な人だった。

「ごめん・・・やっぱり、最後まではできないよ・・・みんな資料待ってるし」

先輩の言うことが正しいってことは俺にもわかってる。

それでも抑えきれない落胆に、俺はため息を隠せなかった。

「・・・じゃあ今日は帰ります。ここにいたら俺、我慢できないかもしれないから」

泣きそうな先輩の顔を見ないようにさっさと資料室から出ていこうとする。

「こっ、紺谷!」

突然、先輩の熱い手が俺の腕を掴んだ。

驚いて振り返ると、そこにはさっきよりももっと真っ赤に熟したトマト顔の先輩が俯いていた。

「・・・先輩?」

「あ・・・あの、最後までは、できないけど・・・おれ・・・く、口で・・・」

・・・・ああ。

こんな可愛いこと言われて最後までできない俺って、なんて不幸なんでしょう。




「ん・・・やっぱりウマいね、先輩」

「ふん、んぅ、ぁ・・・こんたに・・・きもち・・・?」

「うん・・・気持ちいです」

先輩の柔らかい髪をゆっくりと撫でてやる。

俺はカーテンを閉めた窓の枠に座って、先輩の口の愛撫を受けていた。

ちゅぽ、ちゅぽ、といやらしい音をたてて俺の息子を唇で扱いてる先輩は、すごく淫らで可愛い。

先輩の細い舌がちろちろと裏筋をくすぐるたび、その真っ赤に蕩けた顔に白いものをかけてしまいたくなる。

でも、後始末が大変だからそれは我慢ね。

息子はもう先端を膨らませて準備万端。

ああ先輩の中に挿れたいなー、なんてうっとりと思いながら、俺は先輩の薄茶色の髪に指を滑り込ませた。

やわらかい耳を指で弄ると気持ちいいのか、先輩が腰を揺らす。

その下半身はズボンが膝まで下ろされていて、可愛い性器が濡れてプルプルと揺れていた。

先輩は俺のモノを舐めながら、ときどき自分のモノを扱く。

好きな人のを咥えて興奮するっていう気持ち、今の俺にはすごくよく分かる。

俺だって今すぐにでも先輩の可愛いモノにしゃぶりつきたいから。

「紺谷・・・こん、たに・・・はぁんっ・・・ん、んむっ・・・すき・・・すきぃっ・・・!」

くちゅくちゅにちゃにちゃ。

そんな音が狭い資料室の中に充満して、頭の芯まで融けちゃいそう。

先輩が俺の名前を呼びながら自分のモノを弄るから、俺は必死に理性と闘うしかなかった。

「先輩・・・夕斗先輩っ・・・俺、もう・・・」

先輩に咥えられてるところから足の爪先までビンビンに痺れが走って、無意識に先輩の頭を引き寄せる。

先輩は苦しそうに一瞬顔を歪めたけど、すぐに俺のモノを舐め上げる速度を上げた。

「おれの・・・おれの口で、イって・・・」

この人はなんでエッチな場面だけ急に大胆になっちゃうのかな。

これからが楽しみだね、先輩。

俺がたくさん可愛がって、もっとエッチにしてあげる。

「せ、んぱっ・・・イくから・・・!」

ぐっ、ぐっ、と腰を入れて、俺は張り詰めていた性器にゴーサインを出した。

「う、っく!・・・・・ぁ・・・はぁ・・・」

先輩の口の中に遠慮なく全部を吐きだす。

脳味噌がぐちゃぐちゃに溶けそうなくらいの快感。

こんな気持ちよさを知ってしまったら、もう右手とは一生恋人になれないな。

射精後の余韻に浸っていると、先輩が俺の息子から顔を離して、口を押さえてるのが見えた。

「ぅっ・・・ん、ぐっ・・・」

「えっ!ちょ、先輩っ!?」

「んんっ・・・ん、んぅ」

こく、と小さな音が部屋に響く。

慌てて先輩の顔を上げさせ、その口を開かせる。

その真っ赤な口の中には、ところどころネバついたモノが見えるだけだった。

「先輩・・・・飲んだんですか?」

問いかけると先輩は茫然と俺を見上げるだけだった。

「マズかったでしょ?無理しなくてよかったのに・・・」

汗で少し濡れた前髪を掻き上げてやると、小さく首を横に振る。

「おれ、紺谷すきだから」

涙目でそんなこと言われたら、俺はもうこの人の手を絶対離せない。

その白い額にそっとキスをする。

「先輩・・・俺も・・・俺も、夕斗先輩のこと好きだよ」

それでもやっぱり少しはショックだったんだろう。

ぷるぷると震える肩を掴み、ゆっくりとその身体を床に横たえる。

「だから、俺もしてあげます」

「え・・・っ、ぁ、あ、ああっ・・・ダメ!」

俺のしようとしてることがわかって先輩が暴れ出す。

それでも俺はその濡れた太腿を開かせると、先輩の快感の源を口の中に迎え入れた。

「ひ、ひゃんっ!」

にゅるっとした感触が口の中に広がり、軟体動物のような熱い塊を舌に感じる。

塩辛いというか、苦いというか。

とにかくあんまり美味しくない蜜でも、先輩のモノだと思えば最高に甘い。

「ふんぅっ、んぁ、あ、あん、紺谷っ、こんたにぃっ・・・!」

まだあんまり剥けてない皮の中にまで舌を入れてくるくると舐めてやると、先輩は気持ちいいのかジタバタと暴れ出した。

凶悪なくらい可愛い。

もっともっと気持よくしてあげたいのに、先輩は自分の快感には弱いらしい。

膝裏をくすぐりながら玉を舐めると、細い腰がビクンビクン跳ねあがった。

「先輩、もう時間がないから、ね?」

「んあぁああっ!」

きゅうぅぅ、と先端だけを唇に挟んで吸い上げる。

俺の息子を舐めながら限界まで興奮していた先輩の性器は、それだけであっさりと弾けた。

先っぽの小さな穴からどんどん溢れてくる甘い蜜を俺は一滴も残さず搾り取る。

量がなくなってきたら穴の入口を刺激して、さらに溢れさせる。

その間ずっと先輩は喘ぎ声とも鳴き声ともわからない細い悲鳴を上げていた。

「んっ・・・・は・・・・」

まだまだ搾り足りないけど、そろそろ許してあげるか。

俺の口からちゅるんと萎えた小さなモノがこぼれおち、先輩はぐったりと顔を覆って動かなくなった。

ノドの奥に絡みついた先輩の蜜を咳をしながら全部飲みこむと、先輩は信じられないといった顔をして俺を見上げる。

「好きな人のって、美味しいんですね先輩」

「・・・・うん・・・・うれしい」

それでも恥ずかしがりながらうっとりと目を細める先輩の頬を撫で、俺は手早く先輩の着衣を直した。


先輩はされるがままで、本当にこんな状態で生徒会室まで行けるのか不安になってしまう。

射精の余韻に浸ってぐにゃぐにゃの身体を支えて立たせると、先輩は名残惜しそうに俺を見つめた。

「・・・そんな顔してるとまた襲いますよ」

「ぁ・・・ご、ごめん」

顔を真っ赤にしてパッと離れ、机の上の資料を手に取る。

でも、そんなにあっさり離れられると今度は俺が寂しくなるんだけど。

「生徒会室まで送りましょうか?」

「い、いい。なんで紺谷が三年棟にいたのかって聞かれたら、おれ普通に説明する余裕ないだろうし・・・」

それはそれで不服なような嬉しいような複雑な気持ちだ。

でも先輩のことだから、俺がいる理由を聞かれたら絶対にしどろもどろになってよけいに怪しくなるだろうな。

「じゃあ、おれ・・・」

「あ、先輩」

振り返った先輩を軽く抱きしめ、触れるだけのキスをする。

それだけで可愛い人は嬉しそうに目を細めて笑った。

「紺谷、本当にありがとう・・・おれ、まだ夢見てるみたいだ」

「俺も。でも夢じゃないですよ。明日も明後日も、ずっとずっと俺は先輩が好きだから」

だからもう逃げないでくださいね、と優しく頬を撫でれば、先輩が照れくさそうに頷く。

廊下に誰もいないことを確認して、俺たちは資料室を出る。

先輩が鍵をかけると、俺は素早く三年棟を出た。

廊下を歩いていく先輩の後ろ姿を渡り廊下から見守り、オオカミさんから可愛い子羊さんになった愛しい人と、今夜電話で何を話そうか考えた。

そうだ。まずは名前かな。

俺のこと『晃』って呼んでもらって、それで俺は先輩のこと『夕斗さん』って呼ぼう。

先輩はきっと照れて電話の向こうで真っ赤になる。

それを想像して、また俺はひとつ先輩を好きになるんだ。

俺のどこが好きなのかとか、なんで好きになったのかとかも聞こう。

これからずっと一緒に、たくさん楽しい時間を過ごしましょうね。

俺の可愛い子羊さん。


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あきゅろす。
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