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DOG'S LIFEA
「やッ・・・!」

ほぼ裸のまま明るい廊下を通ることへの抵抗感からか、零はかすかな声を上げる。

しかしそれがたいした抵抗ではないと熟知している弟は気にせず家の中を歩く。

「俺の部屋でしようね。久しぶりだからいっぱい溜まってるでしょ?」

零はいつもギリギリまで我慢しちゃうから、たくさんイかせてスッキリさせてあげる。

そう優しく言葉で責めながら、希一はゆっくり階段を上がっていく。

一段上がるごとに細く長くなっていく零の吐息。

今から与えられる快感を待ちきれないのだろう、希一の首に回した腕がふるふると震えていた。

逞しい腹筋に当たっている零の性器はもう完全に上向いて、Tシャツにいやらしく先走りを擦りつける。

そんな零の様子をわかっていながら、希一は焦らすように時間をかけて階段を上った。

二階の廊下の一番奥。

希一は自分の部屋のドアノブを回す。

手探りで電気をつけ、抱えていた兄をふわりとベッドに降ろした。

日頃から鍛えている希一は痩せた兄を担いで階段を上るくらいなんともない。

明るい部屋の中でベッドの上に裸の兄。

どうしようもなく興奮して、思わず小さく身震いする。

「・・・たくさんきもちよくしてあげるから、俺に任せて」

口調は優しい。しかしその目は欲望にギラギラと輝いてまるで獣のよう。

バスタオルで前を隠したまま寒さに震えている兄の爪先の前に跪く。

桜貝のように艶のある爪を愛しげに撫で、足首を掬いあげるように持ち上げた。

「んッ・・・!」

くすぐったいのか小さく声を漏らす零。

その足の甲にキスを落とし、しっかりと握られているバスタオルに手をかける。

「零」

「・・・」

優しく諭すように名前を呼んでやると、零は少しためらいながらもバスタオルの端を手放した。

兄の気が変わらないうちに邪魔な布を素早く取り去って床に放り投げる。

ほんのり色づいた膝頭、白い太腿、そしてその上にトロトロと蜜を溢す屹立が顔を出した。

「脚、開いてくれる?」

すべすべとした太腿を撫でながら言うと、零の脚がゆっくりと左右に開かれる。

その奥に覗く卑猥な窄まり。

ソコを希一が最初に開いたのは中学2年の時だった。

小さい頃からずっと守ってきた兄。その兄が自分から離れていこうとしているのを薄々感じ始めた頃。

ある日学校から帰った希一は、黙って先に帰ってしまった兄の部屋の前でかすかな物音を聞いた。

『兄貴?』

心配になって呼びかけてみるが返事はない。

しかし声をかけた瞬間から、さっきまで聞こえていた音がまったく聞こえなくなった。

なにかあったのか。もし、どこか具合が悪くて倒れたんだとしたら・・・。

『兄貴・・・兄貴、開けるよ?』

ドアノブを回し、扉を押す。

すると中には。

『馬鹿、開けるなッ!!』

『・・・・・・え?』

見てはいけないものを、希一は見てしまった。

部屋の隅に置かれたベッドの上。

その上にいたのは、ズボンの前を開いて自分の勃起したモノを握りしめている兄だった。

『嫌だ、みるなッ・・・出てけよ!』

零は必死に前を隠そうとするが、昂ったものはそう簡単にはおさまらない。

自慰を弟に見られたショックで零は混乱していた。

そしてその光景に、弟はかつてないほどの興奮を覚えたのだ。

希一はその頃にはもう零を兄弟以上の存在として見ていた。

そんな兄の痴態は、まだ精神的に幼い弟を狂わせるには充分だった。

『兄貴・・・ソレ、つらいの?』

じり、じりと少しずつベッドに近づく。そのたびに兄はびくりとベッドの上で震える。

『つらいのは、俺が全部なくしてあげる。俺が兄貴を・・・助けてあげるよ』

それからはあまりよく覚えていない。

弟はただ夢中になって兄を悦ばせようとし、そして兄はその一度だけで背徳的な快楽に溺れた。

その関係は今でも続き、その時から零は弟に尽くされることを拒まなくなった。










明るい室内に、濡れた肉が擦れ合う音と悩ましげな声が広がる。

「あ、あ、あぁッ、は、あ、ぁん・・・!」

零はカラダの奥深くに希一を迎え入れ、自らも快楽を得ようと腰を蠢かせていた。

希一の責めは容赦がない。

いや、感じる前立腺だけを張り出した亀頭で抉るという行為は、純粋に零を悦ばせようとして行われているだけ。

ただ零がそれにとっては感じすぎてツラいだけだ。

蠢く柔らかい内壁の中にあるひとつのしこり。

ソコを弄ってやればやるほど兄は気を失いそうなほどに悦ぶ。希一はあまりの快楽に腰を振りたてる兄を満足げな目で見下ろしていた。

今では兄のその顔だけでイける。

突き上げられるたびに零の真っ赤に腫れあがったペニスの先端が滑らかな腹部を叩く。

一度も満足に扱いてやっていないそれはさっきから勢いのない射精を繰り返して、胸に白い水溜りをつくっていた。

性器だけの快感ではなく、前立腺を弄ることによって得られる快感は深く長い。

兄との度重なる行為でそれを発見した弟は時間があるときは後ろだけでゆっくりと兄を射精させた。

それを見て自分が楽しむためではなく、少しでも長く兄に快感を与えるために。

しかしそれに気づいていない零はたまったものではない。

満足に射精もできないまま激しい快感だけが続く。

ときにはどうしても我慢できなくなって、貫かれながら自分でペニスを扱いて射精することもある。

それは2人にとって無意識にではあるが興奮を高めるスパイスになっていた。

「んぅ、あ、ん、んんッ、あ、あー・・・・!」

今日もついに我慢できなくなった零の手がぴたぴたと揺れている自分の性器に伸びる。

しかし弟はそれを見ているだけで、止めはしない。

兄が満足できるなら、目の前で自慰をされたってかまわない。

「んッ・・・零、もう出そう?乳首弄ってあげようか・・・?」

ゆるゆると一ヶ所だけを狙って腰を突き上げていた希一の手が零の胸に伸びる。

目を細めて快感に浸っていた零がうっすらと目を開け、希一に向かって頷いた。

小さく口を開いた拍子に紅い唇の端から透明な唾液が垂れる。

それを舐めとってやりたい衝動に駆られながらも、希一は必死にこらえた。

零とはさんざんカラダを繋げた。性器も何度も舐めたし、ときには後ろの穴を舐めることもある。

それらの行為を零は恥ずかしがったが、けっして拒否はしなかった。

しかしただひとつ、零が拒むことがある。

それはキスだ。

一度行為の延長で唇を迫ったとき、零は全力で弟の唇を拒絶した。

顔を押し退け『やめろ』と一言。

それで希一は我に返った。もう二度とそんな兄を悲しめる行為は絶対にやめようと誓って。

「あぁッ、き、いちッ・・・は、ぁうッ!」

両方の乳首を摘んで捏ねる。

途端に繋がった箇所がきゅっと絞られ、危うく中に出してしまいそうになった。

無意識に絶頂を追い求めて突き上げられる腰。そして見た目からは想像もつかないほど慣れた手つきで自分のモノを扱き上げる指。

はっはっ、と短い呼吸を紡ぐ唇が強く引き結ばれ、希一の今までで一番強い一突きをくらい、精液を噴き上げた。

「あ、あぁあ・・・ん、ふ、んッ・・・!!」

感じている声を漏らすまいと口を覆い、ぴゅっぴゅっと断続的に精液を噴くペニスを自分で弄る。

兄に最後の一滴まで快楽を与えてやるために希一もゆるゆると前立腺を突き上げながら、零のペニスの先端をくすぐった。

零の細く白い両脚が跳ね上がり、うねる内壁が希一を吸い上げる。

「んッ・・・す、ごいよ零・・・射精、きもちいいね・・・?」

「あ、んうッ・・・!!」

こくこくと希一の下で壊れたように零が頷く。

そのトロンとした顔や唇から溢れる唾液。快感に浸っている零の姿を見るだけで希一の心は満たされていった。

「・・・・っは」

ズルッと零の中から希一が抜き取られる。

モノを包んでいたゴムの先端にはおびただしい量の先走りが溜まっていた。

しかし、ソレは一度も絶頂を見てはいない。

「ん・・・はぁ」

希一は解放に向かって昇り続ける自身をなんとかなだめ、荒い息を静めながら机に置いてあるウェットティッシュで零のカラダを拭う。

快感の極みを迎えて敏感になった零は、冷たい感触に肌を撫でられ何度も痙攣した。

最後に萎えて少しだけ残滓を漏らすペニスの先端を拭いてやると、顔を覆ったままぐったりと手足を投げ出す。

「・・・ほら、綺麗になったよ。すっきりした?」

「ん・・・」

優しく毛布をかけられ零が顔を上げる。

その視線が自然と勃ち上がったままの希一のモノに釘付けになっていた。

「あ・・・ごめん!」

兄の視線を感じて希一は顔を真っ赤にしながら慌てて前を隠す。

「えっと・・・このままだと零を部屋まで運んでやれないから・・・ちょっとだけ待っててくれる?すぐ終わらせるから!」

そう言ってベッドの上でくるりと零に背中を向けた。

ローションでベタベタのゴムから性器を慎重に抜き、ゴムをゴミ箱へ。

そして痛いくらいに張り詰めているペニスを指で包みこみ、目を閉じる。

「ん、くッ・・・!」

ビクビクと脈打つ肉棒。浮き出た血管を撫でるように指先で擦り、一気に興奮を呼び覚ます。

・・・瞼の裏に浮かぶのは最初に抱いたときから今までの零の痴態。

熱く絡みつく内壁や目の前でトロトロと蜜をこぼすペニス。

目を細めて快感を味わう綺麗な顔。

ゾクゾクとした痺れが背筋を駆け上がり、希一はあっという間に昇りつめた。

「あッ・・・・、はぁ・・・」

手のひらにべっとりと広がる白濁。

初めて兄を抱いたときから、希一はできるだけ兄の中で射精することを避けた。

それは意地であり、己の欲望のままに兄を犯しているのだということから目を反らすためでもあった。

これは兄を悦ばせるための行為でなくてはならない。常に自分にそう言い聞かせて。

「・・・お待たせ。部屋まで連れて行くね、兄貴」

自分のモノも素早くウェットティッシュで拭い、タオルで前を隠す。

そして後ろを振り返ると。

「・・・・あ、兄貴?」

「・・・」

さっきまで蕩けるような顔をしていた最愛の兄が、今は眉根を寄せて希一を睨んでいた。

いつもそう。

零は行為が終わったあと、ものすごく機嫌が悪くなる。そして朝まで一言も口をきいてくれないのだ。

「あ、その・・・ごめんね、俺・・・乱暴にしちゃった・・・?」

これもいつもどおり。

機嫌の悪くなった兄に弟が必死になって謝る。

その姿を見てまた兄が無言で怒る。その繰り返し。

「・・・部屋帰る」

一言だけそう告げると、目の前のシュンと項垂れた弟が慌ててベッドから降りた。

「ほら兄貴、掴まって」

逞しい腕を伸ばし、兄の細い腰に巻きつける。

くたりと力の抜けたカラダは完全に希一に預けられ、持ち上げられた。

そのまま隣にある零の部屋に運ばれ、ベッドの上で希一がクローゼットから出したパジャマを着る。

「そういえば兄貴の眼鏡、風呂場に置きっぱなしだ。俺とってくる」

そう言って自分は腰にタオルを巻いただけの情けない格好でバタバタと階段を降りる。

棚に置いてあった眼鏡をとって、もう一度零の部屋に帰った。

「あにきー・・・眼鏡もってき、た・・・」

ノックをしてから部屋に入ると、零はベッドの上で丸くなって眠っていた。

すやすやと子供のように眠るその顔には、普段希一に向けられる刺々しさは一切ない。

よほど疲れたのだろう。まったく起きる気配もなかった。

「無理させちゃったか」

小さくため息をつきながら零の寝顔を覗き込む。

「・・・ちょっとだけ、触っちゃおっかな」

まるで悪戯を思いついた子供のように笑いながら、希一は兄の髪に手を伸ばした。

風呂上がりにそのまま行為になだれ込んだおかげで細い髪は半乾き。

これでは明日の寝癖は決定したようなものだ。

そのときは弟の出番。

鏡の前でじっくり時間をかけて、兄の感触を楽しみながら髪を整えてやる。

それすらも楽しみで、明日はいい気分で学校に行けそうだと心が弾む。

「おやすみ、零」

額にかかった数本をさっと撫でつけると、希一はゆっくりとベッドから離れた。

電気を消し、自分の部屋に戻る弟の広い背中を、暗闇の中で兄はじっと見つめていた。






続く。


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あきゅろす。
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