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LIBRARIAN〔長編小説〕
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そんな俺の様子にも気付かず、衛人さんは上半身裸のままクローゼットの前へ歩いていく。

「夕方になると冷えるからシャツがいいかな」

独り言のように呟くその背中から勢いよく目を逸らし、今日何度目かわからない心臓の破裂寸前を必死で押さえる。

しかし、すでに俺の目にはしっかりと焼き付いてしまった。

屋内中心の仕事のせいか色は白いのに、しっかりと引き締まった肩。くっきりと浮かび上がる肩甲骨とか、細すぎない腰、とか。

ほんの一瞬で頭の中にはっきりとインプットされてしまって。

俺・・・もしかして変態、なのか?

いやワザと!?もしかしてからかわれてる!?

それも否定できない・・・だってこの人けっこう悪戯好きだし・・・!

脳裏をチラチラとよぎる衛人さんの裸を必死になって追い払う。

よく考えてみれば俺の気持ちを知らない彼が、俺をこんなことでからかうわけないじゃないか。

考えすぎだ。考えすぎ・・・考えすぎ。

「さ、寒くなる前に帰れると思います」

いいから早く服を着てください。

「そう?じゃあこれでいいか」

適当に選んだ服に袖を通し、さらに衣擦れの音。

よかった・・・下を着替えるのは見なくて済んだみたいだ。

男の着替えを見るのがこんなにツラいなんてこと生まれて初めてだ。

しかも気持ち悪いなんて理由じゃなくてその逆で。

「お待たせ」

この数十秒の俺の苦悩なんて知りもしない衛人さんが振り返る。

いつもどおり爽やかな格好。

自分の世話をするのは苦手なのに、見た目と性格だけは飛び抜けて良いなんて世の中はどうしてこんなに不公平にできてるんだろう。




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あきゅろす。
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