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LIBRARIAN〔長編小説〕
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「あ、そうだ衛人さん!この間言ってたどこかに遊びに行く話ですけど・・・ドライブなんかどうですか?俺ちょっと行きたいところがあって・・・」

自分のやましい気持ちを隠すために出てきたセリフに自分でもびっくりした。

ドライブなんて絶対に2人きりになる。そんなことになったら俺は・・・衛人さんに上手く笑いかけることができるだろうか。

でもそんな俺の気持ちとは裏腹に、衛人さんは俺の提案を思いのほか喜んでくれたようだ。

『いいね。男2人でもドライブなら旅行してるように見えるだろうし』

衛人さんの何気ない言葉にドキッとした。

彼は俺が恋人のことを知ってるだなんて思っていない。

だから余計にその言葉は生々しく俺の胸に響く。

『叶くん?』

「え・・・はいっ」

『そうだな・・・叶くんいつなら空いてる?』

「あ、えと、ちょっとまってください」

壁に貼ってあるシフト表を見て、自分の出勤日を確認する。

「今週と来週は土日が休みです」

『そうか。俺は今週は金と日が休みだから、日曜にする?それで大丈夫?』

「はい大丈夫です。じゃあ・・・日曜日に」

具体的な日にちが決まると途端にドキドキする。

俺は衛人さんとどんな顔をして会えばいいのか、まったく心の準備ができていなかった。

でも電話の向こうの衛人さんは、聞いているこっちがほほ笑ましく思うほど嬉しそうな声で。

『楽しみだな。どこに行きたいか詳しく教えて。俺もルートとか時間とか、計画たててみるから』

「・・・・・・はい」

俺は、楽しみなのと不安が半分だ。

とにかく当日顔にだけはださないようにしようと心に誓って、さっき思わず口を突いて出た『行きたいところ』を必死で考えた。

「えっと、行きたいところっていうのは・・・」

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あきゅろす。
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