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健多くんシリーズ。(短編)
拭えない。
「あ・・・あぁ・・・ん」

性器をすみずみまで舐められる快感に声を上げて悶える。

頭が真っ白になったような、意識がどこか別にあるような。

そんな夢心地で花火を見上げていたら、鳴人が唐突に僕のペニスから唇を離した。

「おい、いくら気持ちいいからってボーッとするな」

「ぇ・・・・?」

トロトロに蕩けた頭に鳴人の言葉が降りてくる。

「な、に?」

首だけ伸ばして鳴人を見ると、呆れたように溜息をつかれた。

「お前、最近俺がセックスのとき甘やかしてるからってナメてるだろ」

「そ、そんなことない!」

実際、いつだって僕は恥ずかしいことは嫌だって言ってるのに、絶対許してくれたことなんてないし。

「そもそもこういうのって優しくするのが当たり前っていうか・・・その、一応こ・・・ぃびと、なんだし・・・!」

ごにょごにょと小声で意見を主張するが、鳴人は鼻で笑うだけだ。

「苛めてくれる俺のことも好きなくせに」

「好きじゃな・・・!」

意地悪されるより優しい方がいいに決まってる。そう叫ぼうとしたけど。

鳴人にされたあんなコトやこんなコト。
そのすべてが一気に頭の中に蘇って。

最中の僕を焦らす指先とか、耐えられなくて背中が折れるんじゃないかっていうくらいの過ぎた快感とか。

いろんな感覚が次々にカラダを襲い、ゾク、とこめかみのあたりが疼いた。

優しく苛められるのが一番キモチイイって僕のカラダはもう知ってしまってる。

だから、否定することができない。

「ほらみろ」

目をそらす僕に鳴人が言う。

勝ち誇ったその顔を睨もうとしたら、突然性器に甘い刺激が走った。

「あ、んッ」

・・・そうだった。
今はアノ真っ最中で、しかも弱いトコロは変態大魔王に握られたままなのだ。

期待と不安と焦り。

そのすべてが鳴人とのこの行為を『キモチイイ』に変換する。

さっきの精液と鳴人の唾液にまみれたペニスが再び口の中に呑み込まれ、敏感になった場所を舌が抉る。

まるで玩具で遊ぶ子供のように楽しそうな顔をして。

「鳴人っ・・・もう、いいから!」

ヤるなら、さっさとヤって。

そんなに擦らないで。舐めないで。吸わないで。

キモチイイから。

・・・キモチよすぎて、おかしくなっちゃうから。

「なるひとッ・・・!」

ウズウズとした快感に涙目になりながら訴えると、ちゅ、と先端に口づけられて、ソレが解放される。

「・・・その顔。その嫌がりながら腰振るのがイイんだよな」

「・・・・・・・・・・変態」

僕の言葉に目を細めた鳴人が立ち上がる。

いったい何をするのかと思ったら、股間をさらけ出して情けない姿の僕の手をとって立たせた。

途端にカクンと膝から力が抜けて、慌てて腕に縋りつく。

花火はまだ終わっていない。

大きな玉はまたラストに打ち上げられるのか、今は赤や緑の放物線が港から夜空に放たれていた。

パラパラと火花の散る音。

儚く輝いては消えていく花火を見ていると、鳴人の腕が僕の腰にきつく巻きついた。

「俺に集中しろ」

耳元に熱い息がかかり、一度高められたカラダには簡単に火がつく。

足首に纏わりつく下着をそっと抜かれると、近くにあった木まで一緒に歩いた。

「手ついて、脚開け」

ゴツゴツとした木の表面に手を押し付けられ強要されたその姿勢に僕は震えた。

そんな格好したら後ろにいる鳴人に尻を差し出すことになる。

もちろん両手を離すことは許されない。

つまりされるがままに犯されろ、ということだ。

完全に無防備な状態。それを晒すことができるのは、やっぱり信頼してるから。

苛められるのも好きだなんてバレてしまっている手前、抵抗なんてできない。

僕は仕方なく腰を少し引き、夜風に煽られる下半身を鳴人に差し出した。

「・・・いい子だ」

太腿を撫でる手とその満足げな吐息に胸が震える。

「早くして・・・!」

こんな恥ずかしいこと、早く終わらせてほしい。

俯いたまま自分の今の状況を忘れようと必死に違うことを考えていると、鳴人の手が浴衣の裾を腰までまくり上げた。

何も着けていない下半身が花火の下で露わになる。

そこに鳴人の指が触れ、尻を揉まれた。

「ぁッ・・・く・・・」

ゾクゾクする。

素肌に触れる手のひらはしっとりと汗ばんでいて、イヤでもそこに集中してしまう。

今、ソコに鳴人の視線が集中してるのが見なくてもわかる。

「・・・恥ずかしいのか?花火のおかげで穴がヒクヒクしてるのがよく見える」

「はッ・・・恥ずかしいに決まってるだろ!」

そう叫んだらまたヒクン、とソコが震えるのがわかって羞恥に唇を噛み締めた。

「でも今日はローションもない。俺の舌を挿れても仕方ないよな?」

「そんなの・・・いちいち言うなってば・・・!」

後ろを舐められて僕がどれほどパニックになるか知ってるくせに、わざと『挿れて』って言わせようとする。

でも・・・我慢のきかない僕は、いつもこの変態の手にあっさりと堕ちてしまって。

尻たぶを開かれ、入口をじっくり観察されるのを止めてくれるなら何を言わされてもいい。

「お願い・・・もう、早くッ、ぁッ!」

ちゅぷ、という音とともに、後ろの穴に唾液が入ってきた。その次に尖らせた熱い舌が。

「はぁん・・・あ、あぁ・・・やッ・・・いやぁ・・・!」

ぬぐぬぐと浅いところを濡らす舌。蛇のように動き、排出するだけの場所に無理矢理挿れられる異物の感触に肌が粟立つ。

顔が熱くて、舐められてる穴も熱くて。
あまりの羞恥に膝がガクガクと笑い始めて、立っているのがツライ。

「ぁあ、あ、やッ、ぁ!」

「・・・尻が下がってきてる。ほら」

ぱん、と乾いた音が響き、肌に残る感触から尻を叩かれたのだとわかる。

痛みはないけど、その行為は僕の抵抗を奪うには充分だった。

慌てて腰を浮かせ、鳴人が舐めやすいように脚を開く。

するとご褒美とばかりに尻を開いていた指が前に回され、勃ち上がったままのペニスを弄った。

「ふぁっ・・・あ、あんッ、やん!」

ペニスへの刺激に前かがみになると、鳴人に向かってもっと尻を突き出すことになる。

それをチャンスとばかりにさらに奥まで舌を入れられて僕は悶えた。

浅いところしか届かない舌が硬い蕾を充分濡らすと、今度は指が挿れられる。

最初は入口を捏ねるように。そしてわずかに口を開いたところを見計らって、ゆっくりと侵入してきた。

「はぁ・・・ぁ・・・ああッ・・・」

ローションのときと違って唾液はすぐに乾く。

いつもより余計に力を抜いて鳴人の指を受け入れれば、一気にイイトコロまで擦られた。

「ぁひッ!」

前立腺を確認した指がソコを小刻みに揺さぶる。

目も眩むような快楽にカラダが蕩けて、穴がどんどん緩んでいく。

その隙間に今度は僕の先走りを纏ったもう片方の人差し指があてがわれ、クニクニと筋肉を解しながら進んできた。

カラダの内側を開かれ、覗きこまれる。

恥ずかしくて死にそうなのに、僕は鳴人が見やすいようにさらに脚を開いた。

「俺が欲しくなったか?」

「ぁ・・・あ、ぁッ・・・やんッ・・・!」

・・・・欲しいに決まってる。

いつもこの行為が始まったときにはもう、欲しくてたまらないんだから。

「・・・本当は全部お前に出してやりたいけど仕方ないな。お前が汚すなって言うんだから」

「・・・ぇ」

なにを言ってるんだろうと真っ白になった頭のままで振り返ると、ナカに入っていた指が抜かれ、鳴人が財布から正方形の小さな何かを取り出した。

「なに・・・?」

「ゴム」

「あ・・・」

そうだ。見たことがある。

もちろん使ったことはないけど・・・。

「お前のを受け止めるぶんと、俺が出すぶん」

2枚の包みを手早く歯で破り、伸ばす。

そしてそのうちの1枚を僕のペニスに被せた。

「やッ、ぬるぬるする・・・」

「ローションつきだからな」

薄いゴムがにゅるりと張り付き、僕のモノを覆っていく。

キツくはないところがちょっと悲しい。

どくどくと熱く脈打つペニスが少しだけ冷たいローションに包まれて変な感じがする。

「コレの中にならいくらでもイっていい」

ぐに、とゴムをかぶったペニスを揉まれて腰が跳ねる。

「・・・なるひと、も?」

僕の言葉に頷くと、鳴人は自分のモノに慣れた手つきでゴムを被せた。

・・・女の人とするときはたくさん使ったんだろう。

そんな考えが頭をよぎって、チクリと胸が痛んだ。

悔しい。

どうして、こんなに・・・・。

「だからよそ見するなって」

「ぁッ・・・や、いきな、りッ!」

ぐい、と腰を引かれて鳴人のゴム越しにもわかる熱い先端が穴に突きつけられる。

その大きさと熱に思わず喉を鳴らし、次にくる衝撃に耐えた。

「んぅ・・・ん、ふんッ・・・ふぁ・・・!」

奥深いところまで拡げられる。

繋がったところが心臓になったみたいに暴れまわって苦しい。

それに。

「なんかっ・・・コレ、きもちわるい・・・」

粘膜に触れる感触がいつもと全然違う。

つるっとしてて、なんだか異物感がすごい。

「・・・じゃあ、ナマでするか?」

ナカのモノをなじませるように小さく揺すっていた鳴人が後ろから耳元で囁く。

「だめッ・・・!」

尻の奥から生まれてくる快感に流されないように必死で木に縋りつき、僕は首を振った。

「きもちわるいんだろ?」

ゆっくりと、そして確実に僕のイイトコロをめざして鳴人が揺すり上げ始める。

ローションのついたゴムが体内で生みだすグチュグチュという水音が徐々に大きくなっていく。

きもちいい。きもちわるい。

いつもと何かが違う。

カラダはキモチイイのに、これは鳴人じゃない。

でも。

「だっ・・・バレたら、あんッ!・・・こんな、ことッ・・・あ、ぁん、できなくなるから、ぁッ・・・そんなの、ヤだぁ・・・!」

浴衣を汚して鳴人に会えなくなるくらいならこのままでいい。

そう伝えたかったのに、鳴人はやっぱり意地悪だった。

「こんなことできなくなるのがイヤなのか?それとも、俺とできなくなるのが・・・?」

笑いながら突き上げられて、その振動で下半身が痺れる。

「ひんッ、バ、カッ・・・わか、ってるくせに・・・あッ、ぁあッ!」

花火の音に混じる喘ぎ声。

肩までずり落ちた浴衣の中に手を差し入れられて乳首を捏ねられる。

その快感に胸を反らせると、後ろに入った鳴人がもっと大きくなった。

「ココも・・・本当はぐちゃぐちゃになるまで苛めてやりたい」

ゴムに包まれたペニスを掴まれ、高い悲鳴が上がる。

「やだッ・・・ちゃんと、さわってッ・・・!」

包まれて擦られるのは気持ちいいのに、これはなにか違う。

「ぁ、ぁあんッ、なるひとっ・・・なるひとぉッ・・・!!」

ぐちゃぐちゃと音をたててナカを突き上げられ、せり上がる射精感に涙を流す。

そして深く鳴人を咥えこんだまま、僕は薄いゴムの中に精液を吐きだした。

「ふぁ・・・ぁ・・・や、だぁ・・・・!」

チカチカと眩い目の裏の光は快感のせいか、それとも花火のせいか。

飛びだすような射精ではなく、トロリと流れる蜜に背筋が震えた。

出したモノの重みがペニスに伝わる。

そんな初めての感覚に戸惑いながらも後ろをぐっと締めつけた。

途端に後ろの鳴人が力強くナカを抉り、筋肉を緊張させるのが伝わってくる。

「ん・・・はぁ・・・」

熱い息が首筋にかかり、鳴人もイったのだとわかる。

「あ・・・ぁ・・・な、るひと・・・」

名前を呼ぶと耳に口づけられ、ずる、とペニスを抜かれた。

いつもなら溢れるくらいに注がれる白濁。
それが今日は僕のものじゃない。

それが少しだけ・・・ほんの少しだけ寂しかった。

鳴人もそう思ったのか、僕のペニスを包んでいるゴムを外すとき、小さくため息をついた。

「やっぱコレじゃ足りないな」

「うん・・・」

その言葉に思わず頷いてしまって、僕は赤面する。

「いや、あの、だから・・・!」

慌てふためく僕を見て鳴人は笑い、そして肌蹴た浴衣をもとに戻しながら言った。

「心配しなくても今度はナカにたっぷりやるよ・・・明日も、明後日も、ずっと」

囁かれる言葉はとても気持ちいいけど。

「そんなに、カラダもたない・・・」

ばくばくと煩い心臓をおさめるように、深呼吸をする。

「遠慮するなって」

「してないからッ!」

まったく、高校生より性欲が強いってどういうことだ。

いつの間にか花火は終わっていて、あたりにはかすかな硝煙のにおいが漂う。

「・・・とりあえず帰るか」

「うん」

一応浴衣に汚れがついていないかを確認して、帯を締めなおす。

ゴムは・・・もちろんビニール袋に入れて見えないように鳴人が持って帰る。

僕たちがここにいることも、もちろんナニをしていたことも周りからはわからないだろうけど、やっぱり人に会うのは恥ずかしい。

そう思って茂みから目を凝らし、辺りに人がいないことを一応確認すると。

「・・・・ぇ?」

チラッと目の端に小さな光が見えた気がして、背中に嫌な汗が伝った。

そして。

ガサッ!

茂みの奥で確かに黒い影が動いた。

もしかして人が・・・・!?

「・・・・―――ッ!鳴人!」

慌てて隣の鳴人を見上げる。

その目は。

「・・・・・なる、ひと?」

音のした方をじっと見つめて、動かない。

長い沈黙。その間僕の心臓はガンガンと警告の鐘を打ち鳴らしていた。

何かいけないことが起こってる。

少なくとも鳴人は、そう思っていると。

鳴人が口を開いたのはそれからしばらくしてから。

祭りの名残が残った華やかな空気の中で、その声は僕の心に重く響いた。

「健多・・・明日から近づいてくる奴に気をつけろよ。怪しいヤツには・・・絶対に近づくな」












拭えない焦燥感。
拭えない不安。
拭えない、黒い影。





Fin.

続く。


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あきゅろす。
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