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健多くんシリーズ。(短編)
遣り場のない。
説明:駅のトイレ、自慰


駆け込んだ先のトイレはまったく人気がなかった。



――――遣り場のない。



個室に飛び込んだ。

下着の中はぐしょぐしょで歩くのも気持ちが悪かったが、そんなこと言ってられなかった。

早くこの疼きをなんとかしたい………

ズボンのチャックを震える手で下ろすと、濡れて冷たくなった下着を少しずらし、未だ勃起したままのペニスを取り出した。

取り出す手のひらにすら感じてしまい、尾てい骨からチリチリと痺れが這い上がる。

「はっ…………ん」

取り出したソレはもう完全にぬれぬれで、紅色の差きっぽからは透明な我慢汁がジワリジワリととめどなく溢れていた。

成長した肉茎を握ると、冷たい便座を跨ぐような形でトイレに座った。

そして唇をぎゅっと噛み締め、右手の人差し指で尿道口を軽く引っ掻いた。

「あひんっ!!」

思ったより大きな声が出てしまい、腰がビクッと跳ね上がった。

脳みその奥からとろけそうな快感が走り抜け、涙が一筋流れた。

「あふぅっ………はんっ、あんっ」

僕の指は止まらない。

クリクリクリクリクリクリ
クチ…………クチュクチュ

あの男の指を、たまらない悦楽をくれる指を思い出して………

ペニスから怖いくらい快感が湧き上がり、さらに指の腹で先っぽだけを弄る。

クリュクリュクリュクリュ

「あんっあんっい、やっあ、あんっ!!!」

僕の床に届くか届かないかの足の指は靴の中できゅうっと丸まって、足全体がペニスの先っぽを弄るたびに跳ね上がる。

「あっあっあっあっあんあんあっ!!!」

いよいよラストスパート、というところで、僕はふと我に返った。

…………もしかしたら、もっと我慢しながら弄ったら、気持ちいいかも………

そんな淫らな考えが浮かんだらもう止まらなかった。

「はうっ」

僕はともすれば精液が飛び出してしまいそうなペニスをぎゅっと握って、射精を我慢した。

その上でもう一度…………先っぽを弄る。

クリュクリュクリュクリュクチュクチュクチュ

「あんっあうっあっあんっあひんっ!!!」

あまりの快感に開きっぱなしの口から涎が伝い落ちていく。

こんな気持ちよさ…………

どうしようどうしよう。

僕はどうなっちゃうんだ。

足がつりそうなほど突っ張って、僕は髪を振り乱して快楽に耐えた。

もうちょっと。

もうちょっと我慢したらもっと気持ちよくなれる。

「……………っ………っあっ…………あ!!!」

声にならない音がだらしなく開いた口から漏れた。

イっちゃうよ………先っぽ弄られてイっちゃう…………!!

頭の中ではあの男の指が僕の先っぽを弄っていた。

「ひっ!!ひぅぅぅぅぅぅっ!!!!!」

ついに僕のペニスを握っていた手が離れ、ぱくぱくと開閉していた尿道口から一気に白濁が噴き出た。

その気持ちよさといったら…………

僕は射精している間、恍惚とした表情で涎を垂らしながらペニスを弄り続けた。

ぴゅくっぴくゅっ

最後の一滴が滴り落ちるまでペニスを弄ると、僕にもやっと理性が蘇ってきた。

「僕………なんてことを」

学校も完全に遅刻。

下着はびしょびしょ。

最悪の状況だ。

深くため息をついて、僕はトイレットペーパーを手に巻きつけた。

タンクに流れる水で紙を濡らし、いやらしい汁で汚れたペニスを拭う。

「んっ」

冷たい水が火照った肉棒を鎮めた。

またため息が出た。





手も洗ってズボンをなおしていると、あの男に尻ポケットに入れられたものを思い出した。

取り出してみると、一片の紙。

そこには

『松森健多 090-××××-××××
名前と電話番号はこれであってるな?お前の秘密を知っている。連絡を待っとけ』




目の前がすうっと暗くなるのを感じた。



Fin.





遣り場のない熱。
遣り場のない恐怖。
遣り場のない、期待。


続く。

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