10月01日 10月になった。 いつも見ている窓の外の景色は、俺がきた時の緑色がなくなって茶色が多くなり。つい一週間くらい前まできれいな青色だったプールには、その茶色い葉っぱが積もりに積もって、茶色に染められていた。 俺がここにきたのは5月半ばだから、もうここに来て半年が過ぎたことになる。きっともうすぐに父さんから転校といわれるに違いない。 俺を誘うみんなが誰一人いなくなっている。 朝の新聞を父さんに渡す。冷蔵庫から牛乳を取り出してコップに注ぎ、焼きあがったばかりのトーストにマーガリンを塗る。今日は新聞にマーガリンが付かない。 「優一」 新聞で隠れていた父さんの顔が、鼻から上半分まで覗いた。 「なに」 熱いトーストから垂れるマーガリンを、すするようにして急いで噛み付く。ざり、と少し焼きすぎた音がした。喉につっかかるのを、牛乳で流し込む。 父さんの目が俺を軽く視線をやっただけで、またそれはすぐに新聞へ戻る。なにが言いたかったんだろう。俺はなにも言おうとはしない。 そして、もう一度父さんは新聞から俺に目をやって、口を開いた。 「暫く転校はなくなった」 もう一度牛乳を飲みこんだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |