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ひぐらしハルヒの憂鬱な頃に

≪TIPS3≫
≪約束≫

彼の目には随分馬鹿げた行為に映っていただろう。

にもかかわらず、大真面目に約束してくれたのは、同情心からか。

憐れみを受けたって傷つくだけだと知っているのに、

どうしてあんな話をしたんだろう。誰かに甘えたかったのか。

でも、卑屈な考えをすれば後悔してしまうだけだ。

いいじゃないか、あのとき私はそうしたいと思ったんだ。

ならばその時の私にとって最善の策、正しい選択をしたと言える。

そう思わせてくれるのは、話を聞く彼の態度や約束が、

決して無慈悲な慰めによるものじゃない証かもしれない。

だとしたら収穫だ。それは今日を幸せに生きるためにできる、

最大限の努力の賜物だからだ。ちょっとだけ救われた気分を味わえたし、

明日の励みにもなった。けど、それ以上でも以下でもない。

変に期待したら、裏切られた時の痛みも倍になる。

だから都合よく過大評価してはいけない。

今日という日が少しでもよくなって、明日が楽しみになる。

それで充分だよ。その意味で、ありがとう、と言いたい。

明日……取れるといいな、ケンタくん人形。

それにしても、

早く帰ってくれないかな。まさか今夜も泊まる気かな。


≪*****の疑いにより、監視≫


「金はまだ動いてないんだろ?」

「ええ。なので確証はありませんが、ほぼ間違いないものと思われます」

「証拠が無いんじゃ、あんまり目立ったことはできないねぇ」

「それと問題なのは、どちらが先に実行されるか、ということです。

我々のところから先に手をつけた場合、その状態で足止めということになるので、

やりやすいでしょう。しかし、例の話が先だった場合……」

「こっちが終わると同時に、ドロンか」

「おそらく。そうなるともうお手上げです」

「そりゃまずいなあ。しかし疑わしきは罰せずというわけじゃないんだが、

さすがに疑いありというだけでやっちまうのもなあ……。

ははっ、何とかむこうを後回しにしてくれりゃいんだが」

「先に行われてしまったら対象を拘束しておくのがいいかもしれません。

金だけなら無事に済みます。ですが……」

「んん、そういう輩を放っておくのは好ましくない」

「はい。……とりあえず常時監視して、動きがあり次第すぐに対応できるようにしておきます」

「そうだな。まぁ上手くやってくれ。取り逃がすことだけは避けたい」

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