創作小説:桃月郷(BL)
8
寝所に戻り、紫乃は寝所にしかれた薄い布団の上に一人横たわる。
目を閉じると、月花の白い体と淫らな嬌声が脳裏に浮かんだ。
―イきたい…イかせて…
紫乃は掛け布団を引き寄せ、息をつく。
―何だろう、身体が変だ。
この自分の躰の変化に紫乃自身が戸惑っていると、不意に部屋に気配を感じた。
「紫乃…?」
見世から戻った月花が紫乃の寝所にやってきた。
紫乃は何となく気まずくて、背を向けたまま、応える。
「お帰りなさい…」
「…ただいま」
月花の気配が紫乃の寝る布団の直ぐ側まできた。
彼の良い香りが直ぐ後ろに感じられ、紫乃は振り向いて甘えたかったけれど、あんな光景を見てしまったからか、気後れした。
「勉強、進んだ?」
月花に後ろから問われる。
「あんまり…集中出来なくて…俺文字もよく分からないし」
「そっか…。明日は僕が少しみてあげられるから、一緒に覚えよう…?」
「…忙しいんでしょ?俺には構わなくていいよ。明日は頑張るから」
気取られないように平静を装ったつもりだったが、月花の空気が少し変わった。
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