[携帯モード] [URL送信]

創作小説:桃月郷(BL)
8
 寝所に戻り、紫乃は寝所にしかれた薄い布団の上に一人横たわる。

 目を閉じると、月花の白い体と淫らな嬌声が脳裏に浮かんだ。


―イきたい…イかせて…


 紫乃は掛け布団を引き寄せ、息をつく。


―何だろう、身体が変だ。


 この自分の躰の変化に紫乃自身が戸惑っていると、不意に部屋に気配を感じた。


「紫乃…?」


 見世から戻った月花が紫乃の寝所にやってきた。

 紫乃は何となく気まずくて、背を向けたまま、応える。


「お帰りなさい…」


「…ただいま」


 月花の気配が紫乃の寝る布団の直ぐ側まできた。

 彼の良い香りが直ぐ後ろに感じられ、紫乃は振り向いて甘えたかったけれど、あんな光景を見てしまったからか、気後れした。


「勉強、進んだ?」


 月花に後ろから問われる。


「あんまり…集中出来なくて…俺文字もよく分からないし」


「そっか…。明日は僕が少しみてあげられるから、一緒に覚えよう…?」


「…忙しいんでしょ?俺には構わなくていいよ。明日は頑張るから」


 気取られないように平静を装ったつもりだったが、月花の空気が少し変わった。

[*前へ][次へ#]

8/34ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!