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創作小説:桃月郷(BL)
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 初めて彼に出会った時、きっと天人なのだと思った。





―初めまして、僕は月花(げっか)。



 翡翠色の双眸で、不安げな表情をした黒髪の少年、
紫乃に差し出された白い腕。


 胸元の開いた白い着物から見える包帯の巻かれた肌も、白磁のように白い。


 淡くキラキラ光る絹のように細く滑らかな白金色の髪は、肩の位置でふわりと緩く結び前に流している。


 濡れたような瑞々しい薄墨色の瞳を縁取る長い睫も白金。



 こんな美しい人を、見たことがなかった。



 月花と名乗る男の前に立つ少年は、親を亡くしてすぐに故郷の村の人間達にこの花街、桃月郷にある男娼館「桔梗屋」に売られた。


 それは自分がここに来てすぐの出会いだった。



―君の名前を聞かせて?


 口をつぐむ少年に優しく問う月花。


―俺は…紫乃(しの)。


 紫乃と名乗った少年に月花は微笑む。



―綺麗な名前だね。



 彼は紫乃の手を優しく握って、言った。



―おいで。来たばかりで不安でしょう?此処を案内してあげる。今日から宜しくね。



 居場所を全て無くした紫乃に、新たな居場所が出来た。

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あきゅろす。
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