創作小説:桃月郷(BL)
10
「…っそれは…」
「紫乃」
月花に腕を引かれたと思ったら、紫乃は月花の腕の中にいた。
「紫乃も男の子だもの…人の情事を見てたら、欲情するのも無理ない」
「でも…兄さん、俺…」
―男に欲情しちゃうなんて…。
言いかけた時、月花に着物の上からわずかに膨らむ敏感な場所を触れられ、言葉を飲み込んだ。
「僕は人の情事で凄く欲情する…自分がされてる気分になるんだ。紫乃も…ここ、勃ってるね。熱くて…興奮してる?」
「あっ…兄さ…」
「苦しいでしょう?」
更に手はスルリと着物の中へ入り込んでくる。
今はもう肌着一枚の上から月花の手のひらに自分の性器をなで回されている状態。
体が熱い。また、変な気分になる。
月花を見やると、彼の様子もどこか違う。
目が潤み、頬を微かに染め欲情した艶やかな表情。
そして、着物を押し上げるように、彼の下肢の中心が膨らんで、引き寄せた紫乃の下肢に触れている。
「紫乃…手で…してあげる…」
艶を含んだ表情で、月花が紫乃の耳元で言った。
「あっ…あっあっあっ…ん…っ」
両脚を開かされ、月花に言われるまま、紫乃は性器を月花の手のひらで扱かれる。
自慰の経験はある。しかし他人に、しかも出会って間もない男にこんな事をさせるなんて。
紫乃が下肢を晒している以外、二人とも着物は着たまま。
月花は熱い吐息を漏らし、時々小さく喘ぐ紫乃の頬に慰めるように口付けてくれる。
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