研太×和樹
本文 ⑯
｢だっ...だから..キスくらいならしていいぜ..｣
そのかっしゃんの一言に、オレの中で一瞬時間が止まったような気がした。
オレは、またガバッと頭をあげると、かっしゃんから押さえつけられないように、両腕をしっかりと握った。
目にした、かっしゃんの顔はまだ赤いままだ。
｢いっ、いまなんて言った?｣
さっきのかっしゃんの一言はしっかりと耳に届いていたが、それが信じられなくてオレはそう問う。
かっしゃんはそれに、ちょっとめんどくさそうな感じで....
｢だから、キスくらいならしてもいいって言ったんだよ!!｣
と言った。
(そんなキスくらいって、だってキスだぞ?
そんな簡単に許していいのか?付き合えないけど...キスはいいってそんな....それって精那に悪いんじゃ?でも、かっしゃんからお許し?がでたわけだし....)
(いいんだよな...?)
｢本当にいいのかよ?｣
オレはもう一度聞いた。
｢くどいな!いいっつてんだろ!!｣
とかっしゃん。
キスくらいなら....か...
それはそれで、なんだか淋しいような気もしたが、オレは考えないことにした。
理由はどうであれ、これでかっしゃんに触れられる。
それが、今のオレには何よりも嬉しかった。
｢じゃあさ、早速だけどしてもイイ?｣
とオレが遠慮気味に聞くと
かっしゃんは頭をポリポリとかきながら
｢いいよ｣
と、小さく答えた。
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