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雪少年
凍る





綱吉に買い物を頼んだ

それが間違いだった


帰りが遅いから探しに来たら綱吉の叫び声


そこは冷気に包まれていた

周りの温度より低く、−を軽く超えているのではないか

綱吉の周りにいる男は凍っていた

氷自身になっていた


綱吉は






綱吉は、笑っていた













「つ、な・・・よし?」


震える声

寒さで震えているんじゃない

目の前の綱吉が綱吉ではない恐怖からきている


「あははっ!」


僕を見て笑う

笑う

獲物を見つけた猛獣みたいに


ゆらりゆらりと歩き、近づいてくる

僕はトンファーを構える


「憎い、憎い、人間が憎い」


手を伸ばしてきた

その手が触れたのはトンファー

みるみると凍る

さっきとは違う凍らせ方

外側から凍る


「くっ・・!」


トンファーを捨て、後ろへ下がる

綱吉に目を向けると綱吉はいなかった


「死んじゃえ」


言葉より早く綱吉の顔がそこにあった

右手に痛みを感じた

右手を見ると綱吉が握っていて、握られたところから凍っていく

さっきの男達のように


左手が動き出し、綱吉から離れた


「綱吉・・・」


顔を見ると、綱吉の頬に水が垂れていた


「あ・・あ、あぁ・・っ!」


泣いていた


「つな、よし?」


近づく

危険ではない

さっきの綱吉とは違う

元の綱吉だ。きっと


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


我に返ったようで「ごめんなさい」と何回も言う

僕は「気にすることは無い」と手を伸ばそうとした


「さわらないで・・っ」


拒絶

しかし僕は何か裏があると分かっていた

今は綱吉の言うとおりに手を戻す


「俺に・・さわったら、凍っちゃうっ」


それが綱吉に触れない理由

さっきも手を握られて内側から凍った

今もその手は凍っている


「つなよ―・・っ!」


ぱきぱき


自分の体から変な音がする

ハッと見ると右手から首まで凍っていた

徐々に侵食していく


「綱吉っ!君は気にすることはないっ!だからっだから!」

「恭弥っ!恭弥!恭弥!!」


このままでは全身が凍ってしまう

綱吉はそれを知って名前を叫ぶ


ぱきぱき


僕が言うか氷が全身を食うのが早いか

一歩遅かった

口が凍り喋ることができなくなり

そして全身が凍っていく


「恭弥!きょぅゃ・・・!き――」


綱吉の声が遠くなる

目の前が暗くなる

何も見えない聞こえない



































『好き――』






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あきゅろす。
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