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雪少年
蘇る




11月下旬はもう冬だ

俺は冬は嫌いだ

過ごしやすい季節なのは変わりないけど


嫌いなんだどうしても

自分でいられなくなるから―












休みの日は着物を着て過ごす

そうすると落ち着くから


買い物からの帰り、今まで無かったことがおきた


「よう、お譲ちゃん。かぁわいいねぇ」

「お兄さん達とあそばなぁい?」


5人くらいの男の人が俺を人気の無いところに連れて行く

まだ触られてもいないから安心するが

この人たちには危険な香りがする

逃げなくては駄目だ

だが周りを囲まれて逃げる場所も無い


数個、手が伸びてくる。俺に向かって






ちらつく


昔の記憶がちらつく


『死ねぇええええええええ!!』
「楽しもうよ、お譲ちゃん」



俺に向かって投げてくる、斬ってくる、撃ってくる



ちらつく



全身が恐怖に蝕まれた





「あ・・・ああ!!」




人間が怖い

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

俺を殺しに来る

殺される殺される殺される殺される殺される殺される





「ああああアアアアああああああああああああああ!!」



すべてが固まる

内側から

凍っていく





俺は何もしていない!何もしていない!何もっ!

なのに何故俺を殺そうとしたっ!!




人間が憎い、憎い憎い憎い憎い




昔の記憶と感情が蘇る




「あああああああああははははははははっ!あはははっ!」



笑いが込み上げてくる


手袋をはずす



「・・・邪魔」



冷たい息で、冷たい声で言う


目の前には男の氷の像があった



「殺す殺す殺す殺す殺す殺す」



ブツブツとつぶやきながら1人の凍った男の頭を掴む

地面に頭をぶつけようとした。あと5mmのとこだった


「綱吉っ!」


あの男の声がする

俺は動きを止める





だから冬は嫌いなんだ

自分を止められない

憎しみと記憶が蘇る





目の前の世界が氷につつまれる






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あきゅろす。
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