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雪少年






恭弥は毎日、俺に会いに来てくれた

俺が山を下りてみたいと言ってから数日たった


「山をおりよう」


突然言い出した

俺は驚いたが、嬉しかった

「うんっ」と頷いた


てくてくと山をおりていく

歩くのが早い恭弥の後ろを頑張って追いつこうと小走りをする

するといきなり歩くのをやめた

俺は恭弥の背中に直撃

鼻をさすった


「どうしたの?」

「忘れてた」

「何が?」


首をかしげていると

紙袋を渡された

紙袋の中を覗くと服が入っていた


「その格好じゃ目立つからコレに着替えて」


1つ1つ着替えていくと、袋の最後に変なものが入っていた


「恭弥、これ何?」


変なものを取り出して恭弥に聞く


「それは靴と靴下、こんなふうに履くんだ」


足の方に指をさす


「あぁ、なるほど」


着替え終わる

恭弥は眉をひそめていた


「なんでマフラーと手袋とらないの」

「こうしないと体温が維持できないの。体を何かで覆ってないと冷気が逃げ出して溶けちゃうかもしれないから」

「そう、だったの」


沈黙が続く

再び歩き出した恭弥についていく


山を完全におりきった


「・・・なんか暑い」

「木が少ないからね」


汗をポタポタ垂らしながら恭弥についていく

町の色んなところを教えてもらった

今日一日で色んな言葉と知識を覚えた


喫茶店で一休みをする

どこもかしこも恭弥が入ると人がいなくなる


「ねぇ、どうして恭弥が入ると皆いなくなるの?」


チョコケーキをフォークで切り、口に運ぶ


「どうしてだろうね」


ふっと笑う

きっと理由は分かっているのだろう

それほど気には留めてなかったので問い詰めないことにした


帰り道

山に帰ってしまうのが寂しい


「はい、着いたよ」

「え?」


どっからどうみても目の前にあるのは山ではない

誰かの家の前だ


「どうせ、明日も行きたいとか言うでしょ?」

「っ!」


この家もしかして恭弥の家っ?


「学校にも転入手続き入れておいたから」


そういえば先日、学校というものに行ってみたいって言った

俺は恭弥の袖を掴んだ


「恭弥は魔法使い!?俺の願いを何でもかなえてくれるっありがとう!」

「・・・そうだね、君の願いなら何でも叶えてあげるよ」

「ほんとっ?」

「うん、夕飯は何がいい?」

「カキ氷!」


にこにこしながら家の中へと入る






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