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雪少年
夕日





人間なんかが俺に近づくなよ

俺なんかに話しかけるなよ







雲雀恭弥・・・

俺を見ても怖がらないし、逆に喜んでいるように見えた

普通の人間とは少しずれてる


興味が沸いた


普段あの人が何をしているのか

あの人にまた会いたいと思った



山から下りたことはない

故に下りるのが怖い

下りたら人間共に袋叩きになってしまうかも




俺はあの人がまた来てくれるのを待った

人間を恋しいと思ったのは何百年ぶりだろう



次の日、あの人にまた会えた

どうやらあの人も俺に興味を持ってくれたみたいだった


「また来てくれただね」

「まぁね。名前も聞いていなかったし」

「あぁ」


名前、そういえば言ってなかった

俺の名前ってなんだっけ

懐に手をいれ、紙を捜した

あの人はきょとんと見ている

(あった・・!)


紙には「沢田綱吉」と書いてあり、その横には「優しい人間がつけてくれた」と書いてある


「沢田綱吉だったっ」

「君、自分の名前忘れてたの」


はぁと大きなため息をつかれた

少しむっときた


「いいじゃんかっ、何百年も生きてたら忘れるのはあたりまえだろっ」

「ふぅん、君ってそんな姿で長いこと存在してたんだ」


なんかその言い方むかつく


だけど、怖がらない

やっぱりこの人はいい人

一言話すたびに嬉しさが増していく


「ねぇ、山を下りたら何があるの?」

「町だよ」

「それは知ってるよ」

「じゃぁ何」

「俺、人間が今何してるのか知りたい。どんなにここが変化しているのか知りたい」


赤く俺らを照らし出す夕日をぼーっと見つめる


「あぁそう、僕はこれで失礼するよ」

「うん」


すくっと立ち上がる

本当は行って欲しくないけど

この人の家族も心配してしまうだろう


「きょっ、恭弥っ!また明日っ」


大きく手を振った

今まで無表情だったヒバリさんの口がふっと笑った

去っていく後姿を見ながら俺は顔を赤くした

俺はそれを夕日のせいにした






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あきゅろす。
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