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貴方と過ごした時間は忘れません
初めての友達





夏休みも終わり、2学期に入った

あいかわらずダメダメだったが、一番からかわれる体育の授業は秋ごろから受けなくなった

寒いと風をひきやすくなるからだ

体育の授業のときは応接室に行き、体を温める

その度にヒバリさんとお話ができる

12月にはいると、風邪を引きやすくなり

なかなか学校にこれる日にちが少なくなった


「いってきまーす・・」


なんとか防寒対策をして学校に行く


「無理しないのよ」


母さんが心配そうに言う


「大丈夫だよ」


ふにゃりと笑って見せるが、笑う力を使ってしまい、もう笑えないだろう

登校中にくしゃみを何回もした

その度にフラッと倒れそうになる

学校に着くとヒバリさんが迎えてくれた


「ちょっと、なんでそんな状態で登校してくるのさっ」


俺のおでこに手をあて、熱があることを確かめる


「えへへ、ヒバリさんに会いたくて」


熱が出ると、寂しいと思ってしまう

ぼーっとしていると急に体が浮く


「!?」


一瞬何が起きたのか分からなかった

俺は、ヒバリさんの腕の上に横になっていた


「ちょっ、恥かしいです!お姫様抱っこはやめてください!」

「だめ、我慢して」

「う〜・・」


喋る気力がなくなってきた

応接室につくとソファに横になった


「熱があるなら、学校に来ない。分かった?」


頭を撫でながら、母さん口調で言った


「・・・はい」


こくりと頷く


「休む日は必ず、君の家に行くから」

「・・・ありがとうございます」


ぼーっとする

目の前がぼやけてくる

ヒバリさんが遠くに行ってしまうような気がして手を伸ばすと

手を取ってくれた


「もう寝な」


スイッチが切れたように目の前が暗くなる

深い眠りにつく






ふと目が覚める

周りを見渡すと、ヒバリさんの姿はない

時計を見ると11時ちょうどだった

起き上がって、しばらくぼーっとしていると

外でコトッと音がした

そして、タッタッタと走る音がした

気になってドアを開けると、床に弁当箱が置いてあった

弁当箱には紙が引っ付いていて、それを見ると


『良かったら食べてください』


と、描いてあった

字は女の子っぽい字

ヒバリさんはモテるから、きっと好きな女の子が置いていったんだろう

ヒバリさんのことが好きでも怖くて何もできない女子って多いから勇敢だなぁ

弁当箱を持って部屋に戻る

ヒバリさんが戻ったときに渡してあげよう


ガララ


ヒバリさんが戻ってきた


「お帰りなさい」

「うん、ただいま」


ポスッと俺の隣に座った


「ヒバリさん、さっき女の子がコレを置いていきましたよ」


そう言って差し出す


「ふぅん」


それだけだった


「せっかくだから食べてあげてください。ヒバリさんを好いてくれてここまでする人なんて草々いないですよ」


ぐいっと弁当を押し付ける


「・・・分かった」

「もうすぐ12時なりますし、ちょうどいいですね」


鞄から弁当を取り出し、蓋を開ける


「いただきます」


弁当を食べながら、ヒバリさんが食べているか確認する

ゆっくりだが、パクパクと食べている

やっぱり優しい人だなぁ


「おいしいですか?」

「うん、よくできてるね」


おお・・・

ヒバリさんが人をほめるなんてめったにないぞ

良かったね。と心の中で呟いた


「ふぅ、ごちそうさま」


弁当箱を片付け、薬を取り出す

薬を飲み終わり、眠気が襲ってくる


「ヒバリさん、それどうやって返しましょうね・・・」


瞬きを多くしながら聞いた


「廊下に置いとけば取りにくるでしょ」

「・・・そう、ですね。良かった・・」


何が良かったのか分からなかったけど

睡魔には勝てずにまた、眠りについた

目が覚めたときには、またヒバリさんはいなかった

ドアを開けるとまだ弁当箱はあり

さっきとは違う紙がついていた


『おいしかった。』


紙に書くなんて可愛らしい人だなぁと笑った

時計を見ると5時半

結局学校に眠りに来ただけだった

ヒバリさんはきっと見回りだな

ソファに戻ろうとしたとき、廊下に一人の女の子が立っていた

じっと見ていると、女の子はこちらに近づいてきた


「あの、この弁当はあなたが?」


首をかしげると女の子はビクッとしてコクリと頷いた

俺は弁当を拾い上げて渡した


「ヒバリさん、よくできてるねって褒めてたよ」


ふにゃりと笑う

女の子は嬉しそうな顔をした


「名前は?」


友達になれるかな・・?


「三浦・・三浦ハルです!」


そう言って笑顔を見せる


「俺、沢田綱吉。ヒバリさんとは結構仲がいいんだ。協力してあげようか?」


そういうと三浦さんはうーんと悩んで


「いいえ!結構です。ハルは自分の力でがんばるので!」


えっへんとポーズをとった


「そう、がんばってね。あ、あのさ・・」


もじもじしながら三浦さんを見る


「はひ?何でしょう?」

「俺、三浦さんと・・・友達になりたいなぁ・・・なんて」


恥かしくて三浦さんの顔を見れずに下を向く


「いいですよ。今日からツナさんはハルの友達です!あと、ハルのことはハルでいいですよっ」

「本当!?あ、ありがとう・・・」


ふにゃりと笑う


「あ、じゃぁ、今日一緒に帰ってもいいかな?」

「はい!」


初めての友達だ

ヒバリさんとは仲がいいけど、友達になってって言ったら噛み殺されそうだし(噛み殺されたことないけど)

嬉しいな

机の上にメモを置く


「ハル、教室に荷物置いてきちゃったので取りに行きますね!」

「あ、じゃぁ俺も行くよ」


頬を人差し指でぽりぽりかきながら言う

ハルについていくと、俺の教室についた


「え、ハルって俺と同じクラスだったの?」


驚いて目を見開く


「そうなんですか?ハルは最近転入してきたんです。でも今日ツナさんいませんでしたよね?」


鞄を肩にかけて駆け寄ってくる


「そうだったんだ・・・あ、今日は俺熱が出ててヒバリさんにかくまってもらってたんだ」

「・・・ツナさん羨ましすぎです」


プクーと頬を膨らます

1日中一緒に居たのが羨ましかったのだろうか

それとも仲良しなのが羨ましかったのだろうか

きっとどっちもだろう


「ご、ごめん。明日は直接渡したらどうかな?」


誤りながら提案を出す


「うーん、ハルはまだ恥かしいので直接渡すのはまた今度にします」


しょぼんと落ち込むハルの頭を撫でる


「がんばって!」


へへっと笑う


「はい!」


ハルがヒバリさんの彼女になったら、いいのになぁ

初めての友達ができた嬉しさで熱のことなど忘れていた






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