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貴方と過ごした時間は忘れません
夏祭り





応接室のめくりカレンダーを見る

8月16日(土曜日)

もうすぐお盆も終わりか

お盆なのに全然休めなかった気がする

そういえば今日は夏祭りの日だった

時計を見ると午後3時

行きたいなぁ


「ヒバリさん、俺、夏祭りに行きたいです」

「行けば?」

「ヒバリさんも一緒に行きましょうよ」


さすがに1人で行くのには寂しすぎる

ヒバリさんが駄目だったら草壁さんにしようかな・・・


「6時になったら行ってあげる」


おお・・・

嬉しいな。後で財布取りに行こう


「ありがとうございますっ」


約束はできたものの

その間の時間が暇すぎる

宿題は終わったし、とりあえず寝とこうかな

横になり目を閉じる






眠れなかった


「ヒバリさん、俺、暇です」

「そう」


冷たいなぁ

はぁとため息をつくと、机の上にケーキと紅茶が置かれた


「・・・ヒバリさん、これ何ですか?」

「ショートケーキ」


いや、見れば分かりますけど


「じゃなくて、これ食べていいんですか?」


目の前に食べれるものを置かれては食べたくなってしまう


「うん、いいよ」

「わぁ!ありがとうございます!」


一口食べてみると、すごくおいしい


「すっごくおいしいです!俺、甘いもの好きだから毎日でたら嬉しいなぁ」


少し遠まわしにおねだりをしておいた

ヒバリさん優しいからきっと出してくれるだろう

心の中で笑った




ケーキを食べ終わった

時間はまだ4時半

やっぱり暇だなぁ


「あ、そうだ」


鞄からノートパソコンを取り出した

最近、母さんに頼んで買ってもらった

テレビゲームも面白いけど、今の時代オンラインゲームなのだ


「何、それ」


ヒバリさんが気づいたのか冷たい眼で見てくる


「ノートパソコンです。知らないんですか?」

「機械の持ち込みは校則違反だよ」

「ヒバリさんだって、資料をまとめるときに自分のノートパソコン使ってるじゃありませんか」


むっときたので、言い返す


「僕はいいの」


なんて自己中な


「俺、毎日ここに来てるのに何もすることないし、ヒバリさんだけずるいじゃないですか!」


今俺、ものすごく暇なんです

わかってくださいヒバリさん

キッとヒバリさんを見る

すると、はぁとため息をつき「夏休み中だけだからね」と言った


やった。これでオンラインゲームができる

邪魔しないように無音にしておく


疲れてきたので伸びをする

時計を見ると6時になろうとしていた



「わ、もう6時?早いなぁ」


パソコンを鞄にしまい、ヒバリさんに行きましょうと目で伝えた


「そうだね、行こうか」


ヒバリさんが立ち上がり、ドアに向かって歩く

その後ろを俺がついていく

神社に着くと、人があふれていてにぎやかになっていた

ヒバリさんが1歩足を動かすと、皆がヒバリさんに気づき、すぐに道ができた


「ヒバリさん、すごいです。道ができました」


あははっと笑う


「そうだね、何か欲しいものある?」

「えーっと、あ、たません食べたいです」


たませんの店を指差す

俺とヒバリさんが店に近づくと、おじさんが怯えた顔で「な、何が宜しいでしょうかっ」と

少し裏返った声で言った


「俺焼きそば、ヒバリさんは食べますか?」

「いらない」

「・・・そうですか」


せっかくの祭りなのに食べないなんて

なんだかなぁと思いつつ、たませんを受け取り食べる


「おいしい!」


口が緩む


「ヒバリさんもどうですか?一口」


ヒバリさんにたませんを差し出す

驚いたようにこちらを見た


「・・・?」


よく分からずきょとんとしていると

パクリとたませんを食べてくれた


「どうですか?」

「おいしいね」

「そうでしょう?あ、次はあそこ行きましょう」


ふにゃりと笑う

ヒバリさんをひっぱって歩いていくと

他の人たちの視線がささる

目立つのは恥かしいけど、せっかくの祭りなので気にしないことにした




店をぶらぶらし、帰ることにした


「今日は楽しかったです。ヒバリさん、ありがとうございました」

「うん、僕も楽しかったよ」


えへへーと笑うと、空に明かりがパーン!とついた


「花火だ!キレー」

「ふぅん」


歩きながら空を見上げる

色鮮やかに咲く花火がとても綺麗で、時々電柱にあたった


「今日は本当にありがとうございました」

「うん」


家の前に着き、「また明日」と家の中に入った






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あきゅろす。
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