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側に置いてくれる人





殺しのことを考えると、いつも頭が冴え冴えとした

急に何もかもがクリアになり、相手のわずかな呼吸すら聞こえるようになる



なんて危うい


だがそれが自分では判らなかったし、誰も教えてはくれなかった


そして、それこそが

キアロの生きてきた道を証明してもいた



「ボス、は‥‥」



殺すことに慣れすぎて、呼吸するのと同じように毎日繰り返した

そしてボスに会った



「‥‥さっさと言え」

「ボスは、信じてもいい人?」



裏切らない人?

置いてかない人?

側に置いてくれる人?



「ハッ、カス犬が。信じる気がねぇなら最初から付いてくるんじゃねぇよ」

「ごめんなさい」



見た目にもはっきりとしゅんと落ち込んだキアロ

いつの間にか定位置になった(本当にいつの間に)ザンザスの左側

今はそのソファの足元にうずくまったキアロは、膝を抱えて少し震えた



「‥‥‥寒いか?」



ふるふると頭を横に振って否定した

キアロはそして、今度こそザンザスに問う



「これは此処に居てもいい?」

「要らねーなら追い出してる」



ボスは、これを追い出さない


信じてもいい人

側に置いてくれる人



大好きな人




思わずザンザスに抱きつこうとしたキアロは、例に寄って例の如く部屋の外に蹴り出された





2009.8.3.


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