物語【魔界の扉編】
affirmation work W
「…飛……っ…んぁ…っ…飛…影……っ」
我慢が出来ずに嬌声が洩れる中、それでもオレは必死に飛影に呼び掛けた。
彼はオレの少し違う必死な空気を読み取って、動きを止めてくれた。
「…何だ。」
「…貴方…のっ…顔が…見…えない…っ」
呼吸を直ぐには落ち着けられなくて。
それに…動きは止めてくれたけど、貴方の舌がオレの背中をなぞるから…。
女々しい事を言ってるのは分かってる…
でも、貴方の顔が見たい―…
「…そうか。」
そう言うと、飛影は急に自身を引き抜いた。
「…っ!!」
内臓ごと持って行かれてしまう様な…そんな強い刺激に思わず目を瞑って耐えた。
「蔵馬。」
飛影の呼び掛けに目を開けると、後ろに居た筈の飛影が目の前に居て。
「飛…」
「乗れ。俺の顔が見たいんだろう…?」
「え…」
遮られて聞こえた飛影の台詞に、身体が強張る。
確かに…貴方の顔が見えないのが淋しかった…
けれど。
こういう展開になってしまうなんて…
一人固まるオレの腕を引き、紅い瞳でオレを捕えて飛影が囁いた。
「…ほら、来いよ…」
飛影の瞳に、台詞に、途端に思考が止まる。
頭の中まで痺れた様な…そんな感覚に覆われて…
従順な操り人形の様に…
オレは飛影に覆い被さっていた―…
「…っ」
けれど…うまくは出来なくて、なかなか腰を下げられない。
「お前にしては上出来だ…」
飛影はそう言うと、下からオレを貫いた。
「あぁっ…」
そのまま後は、飛影からもたらされる刺激に合わせて嬌声を上げるだけ…
それが恥ずかしくて、縋り付き、飛影の首元に口を押し付け声を抑えようと試みた。
それを許さないと言う様に、飛影の動きは激しさを増す。
なのに…
飛影は少しも息を乱さない―…
突然飛影は動きを止め、縋り付くオレを引き剥がした。
オレは只、目を瞑って刺激に耐える。
「蔵馬…俺の顔を見たいんじゃなかったのか…?」
「…っ」
熱に捕われ既に紅くなっている身体が、羞恥の意味で増々紅くなってゆくのが解る。
オレに余裕が無い事等百も承知で言ってるのだ、この人は―…
「…どうしてそういう…んんっ…」
オレの抗議の声を最後まで聞かずに、飛影が再度攻め立ててくる。
結局オレは翻弄されるんだ…飛影に。
どうしようもない程―…
「…なら、あの様な事を言うのは止めろ…」
あの様な…事…?
何の事か分からず、朦朧とする頭を必死で使う。
飛影の暖かい手がオレの頬を触る感覚があって、片目だけうっすらと開けた。
その間も、飛影からの刺激は止まない。
「…な…んの事…っ…です…?」
必死で尋ねる。
「…二度と…“死んでもいい”等と…馬鹿が…」
「…!…聞こえて…いたの…?…あぁっ」
「あぁ。聞こえた…」
あの時の…
裏男の腹の中での会話―…
飛影は言ってくれたのだ、目線で。
“生きろ”と…
それに対してオレが返した言葉…
それが本当に伝わっていたなんて―…
“聞こえた”とか“会話”とか、表現が的確とは思えないけれど。
本当に、成り立っていた。
伝わっていたんだ―…
「…飛…影…?」
飛影からもたらされる刺激に耐えながら、声を振り絞った。
縋り付いていた手を飛影の肩から外し、飛影の頬を包み込む様にそっと手を添えた。
飛影は少し驚いた様に、動きを止めオレを見詰める。
「…あの時のオレの台詞……心からの言葉です……咎められても…撤回は出来ません…」
オレの言葉を聞いて、飛影が小さく溜め息を落とす。
そして、頬を包んだオレの手を外し、小さく口付けをくれた。
その優しい感触にくすぐったくなって目を瞑る。
「…本当に救いようが無い―…」
心底呆れたと言う様な声色で告げられて、少し不安になって貴方を再び見ると…
少し…微笑んでいた―…
その貴方の表情に安心しかけた時、再び貴方が身体を進めて…
オレはいつの間にか、貴方の暖かいに腕の中に捕われた様に…
眠りに就いた―…
(Xへ続く…)
★あとがき★
蔵馬さんのやらしい声から始まりました、affirmation work W(笑)
あ〜、伝わっていたんですね、裏男の中での目線での会話…
蔵馬は特にその時の事を確かめる気はありませんでしたが、飛影から怒られて、あの会話が成り立っていたんだと知る事が出来ました♪
お読み下さって有難うございました^^
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