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お遊び部屋
血と涙 〜Kurama's scenario〜



貴方はいつもオレの闘い方に文句を言い、オレの血を心底嫌そうに見る。

でもね、オレだって…

最近は素直にオレの手当てを受けてくれる様になったとは言え、怪我をする事が少なくない貴方の事。
平気な顔をして貴方の手当てをしていても、心の中は引き裂かれそうな程痛い―…

きっと貴方は気付いていないだろうけれど―…



〜血と涙〜



「…また…今度は誰と暴れて来たんです…?」


血の匂いをさせて、飛影がオレの部屋を訪ねて来た。
愛しい人の血の匂いなんて、そうそう嗅ぎたくないというのに。


「…フン。いちいち雑魚の名等覚えるか。」

「その雑魚にそこまでやられたのは誰です…?」


聞けば、数十匹の妖怪相手に妖気も刀も一切使用せず闘って来た、とか。
何故そんな事を?と当たり前の様に問い質す。


「妖気を使えば、お前が駆け付けて来るだろうが。それになかなか肉弾戦のみというのも面白かった。」


喜々として言う飛影を見て、小さく溜め息を吐く。

駆け付けたら悪いのか…
飛影の実力は知っていても、心配するかしないかは別だ。


「…そう。」


オレはそれだけ言って、傷を見せる様に手でサインした。
オレの思いを伝えても、“口煩い狐”と終わらせられるだろう。
闘いの事に関しては、想いが通じ合う前からそうだ…


傷は至る所に付いてたが、一番酷いのは腕。
深く斬り付けられたそれは、筋肉まで見えてしまいそうな程だった。


「…っ」


闘いの最中、稀に見せる子供の部分。
人とはポテンシャルが違うから、それでもこうして居られるけれど。
それがいつ命取りになるか分からないというのに…


「…何故そんな顔をする?」

「…何故…?!そんな事も分からないんですかっ?!」


己の今の表情なんて、鏡を見なくても分かり切っている。
苦しいのだ、飛影の傷なんて、本当は見たくもない。
それは暗黒武術会の時も然り。
飛影を愛していると気付かされた程、飛影の傷に胸を締め付けられた。

声を荒げたオレを、飛影は黙って見ている。
その事にも、苛つきが増した。


「貴方の傷なんて見たくないんです!そんな事も分からない程、頭でも攻撃されて馬鹿になってしまったんですか?!」

「なっ…」

「簡単に済ませられる闘いを、子供みたいに遊んで傷を負って…!」

「…」


“子供みたい”と、飛影の一番言われたくないであろう言葉が、興奮したあまり口を付いた。
でも撤回する気にはならなくて。

“じゃあもう来ない”とか“手当ては他でする”とか、飛影が口を開いたら聞こえてくるのだろうと覚悟した。


「…本当に…馬鹿…」


“馬鹿”の指す者…
子供みたいに闘いを楽しんで怪我をした飛影と…
そんな飛影を見て心を痛めるオレの気持ちを分からなかった飛影と…
只、心配なのだと、言えなかった自分―…


「…そう言えば、以前にもこんな事があったな…」


そう言って、いつの間にか流れていたオレの涙を拭い取って、飛影はオレを引き寄せた。


「そう言えば…ありましたね…」


ぼんやり思い出した。
飛影が海藤に魂を盗られた日の事を。

今日と同じ様にオレは声を荒げて泣いて、張本人の飛影に逆に慰められた。

あぁ、そんな事よりも、飛影から拒絶の言葉が出なかった事に、オレはこんなにも安心している。
この状況で“もういい”と言われても、素直に引き止められそうになかったから…。


抱き締めたまま、ポンポンと飛影はオレの頭を小さく叩く。

「…前と同じ手、使わないで下さいよ…」

「もっと凄い手を使うか…?」

「…飛影、今日はその手にも乗りません。」


抱き締められたまま、いつもの様に翻弄されては癪に障るから、ピシャリと静かに告げる。

飛影は小さな溜め息とともにオレを離し、手当ての続きをする様促した。


こんな日もあっていいと思う。
何処か子供らしさが抜けない貴方。

オレは貴方を失うのが考えられないから…
貴方の血を見てこんなにも心が凍り付くから…
貴方の為に、いや、オレの為に口煩く言うんだ。


ねぇ、お願いだから…
この老いぼれ狐より早く逝くのは止めて下さい…

だからどうか…
オレの言う事を聞いて、身体を大切にして…

想いを込めて薬を塗り込む。
飛影の傷口から血へと流れ込んで、オレの想いを身体ごと受け止めて―…



(END)




●オマケ

管理人(以下:管)
「…ほぉぉぉ…蔵馬の脚本、なかなか…」
(あ、何度も言いますがこの人↑PCの前で見てる人です。)

飛影(以下:飛)
「…チッ…何だこの脚本は。日頃言えない事を詰め込みやがって。」

蔵馬(以下:蔵)
「あ、バレました…?ふふ…」
(↑喰えない狐さんです。)

飛 「誰が“子供”だ。気に喰わん。」
(↑“子供”と言われた事、自分の台詞に蔵馬が翻弄されなかった事にお怒り。)

蔵 「楽しかったですよ、飛影♪」

飛 「しかもたかが雑魚妖怪数十匹に傷等負うか。」

蔵 「まあまあ♪」
(↑自分のやりたい様に演じれて心底楽しそうです。)

管 「蔵馬、優位に立ちたかったのかしら?いつも飛影に翻弄されっ放しだものね…」
(↑自分が書いてるくせに他人事。)

飛 「……フッ」

管 「…あっ!」
(飛影が不敵な笑みを零した!蔵馬は気付いてない…飛影、さては何か考えてるな…?)

―バタン

飛影と蔵馬は楽屋を出て行った。
次は飛影の脚本の撮影だ。

管 「…楽しみ過ぎる!」

一人スウィーティー(PC)の前で酒を片手にワクワクする管理人であった。
↑心底淋しい奴…



★あとがき★
ま、要はですね。
口では“子供”と飛影を叱りつつも、蔵馬は飛影が心配だったと…それだけのお話です。。。
愛しているからこそ、自分が飛影を失いたくないからこそ、口煩い狐さんになっちゃうんだと…
そんなとこですね。
オマケを入れて、下らない設定をひたすら守ってお送りしております。
こんなアホな展開…
お読み下さって有難うございました^^

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