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Evidence
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イタチに全てを話された。

あたしは一族の過去よりも、サスケの未来が恐ろしかった。

「オレは病に侵されている。だからサスケを正しい道に導いてほしい。」

頼む・・・


あのイタチに頭を下げられた。
こんなにも弟想いの兄を今もサスケはどうしようもなく憎んでいる。

だけどあたしに何が出来る?

今サスケのところに戻って彼を支える?

でもそうしたら・・・

「どうしたんだ?美里」
後ろから肩をポンと叩かれた。

振り向くとデイダラで、にこにことしながらあたしの隣に座った。

時計を見ればもう早朝だった。
今日から任務なのに、寝ていない。

1人リビングで考え事をしていたらこんな時間になってしまっていた。

まさかサスケのことを考えていた・・・なんて彼に言えるはずがない。

「ずっとここに居たのか?」

デイダラがあたしの様子を察したのか、心配そうに尋ねた。

「寝付けなくて・・・」
つい嘘をつく。

デイダラは何も言わずあたしを軽く抱きしめた。

彼の体温が暖かくて、とてもあたしの心を落ち着かせてくれた。

こんなにあたしを優しく包んでくれるのは彼しかいない。

デイダラと離れたくない。



パッと目を覚ますと、あたしは布団の中にいた。
いつの間にかあたしは、粘土にまみれたデイダラの部屋にいた。

隣にはデイダラが寝息をたてて、無防備な顔で寝ていた。

なんでデイダラの隣で寝ているんだろう。
まぁいいか。

布団が暖かくてあたしはそのまま横になり二度寝を試みた。

しかし、
「二度寝なんて許さねぇぞ。」デイダラの呆れた声が近い場所で聞こえた。

あたしは目を開けると目の前にデイダラの顔があった。
その近さに驚いて急いで起き上がる。

「おっ・・・起きてたの?」

「今起きた・・・うん」
デイダラはむくりと起き上がり、目をこする。

「お前昨日あのまま寝やがってさぁ・・・オイラは運ぶの大変だったんだぞ・・・うん」
デイダラは眠そうに言いながら、丁髷を結ぶ。

そういえば、昨日デイダラの体温に包まれてからの記憶がない。

あたしは抱きしめられたまま寝てしまっていたのだ。

「・・・ごめん。」
ベッドに正座して謝った。

彼はとても眠そうで、ホントに申し訳ないことをしてしまった。
あくびをしてから言った。
「ホント手がかかる女だなぁ。こんな女初めてだよ・・・うん」
あたしは苦笑いをし、自室に戻ろうとベッドから降りる。

そそくさとドアを開けようとしたとき、ドアを引く手の反対側の腕を引っ張られた。

「ん?」
振り向くと、デイダラは得意気な表情をして
「今度こんなことあったら、無事に済むと思うなよ?」
と意地悪そうに言った。

無事に済むと思うな?
どういうことか分からず
あたしは首を傾げる。

すると彼はいきなり掴んでいる腕を引っ張って、あたしの唇を塞いだ。

戸惑うあたしにはお構いなしに舌を入れてくるデイダラ。

「ん・・・っ!」
体をよじって引き離そうとするが、びくともしなかった。

その間も容赦なく深いキスを続けるデイダラ。

頭がぼーっとしてきたとき、やっとデイダラに解放された。


「今後はこんなもんじゃすまねぇぜ・・・うん」
デイダラはニヤリと笑った。


あたしは放心状態でデイダラの部屋を出た。

やっぱり男は狼だ。気をつけよう。
この時心からそう思った。



自室に帰る途中、イタチに遭遇してしまった。
彼は険しい目をしてあたしを見た。
多分、あたしがデイダラの部屋から出てきたのを見ていた。
デイダラの部屋を出た直後に出会ったからだ。

あたしは彼に頭まで下げられた次の日にデイダラの部屋から出てきた。
しかもこんな早朝に。
彼が不愉快な思いをするのは仕方ない。

イタチはあたしの横を通り過ぎようとしたので、彼の腕をガシッと掴んで
「待って!」
と言った。

イタチは鬱陶しそうな顔を向ける。

そしてあたしは彼に自分の胸中を語った。
「あたし、サスケのことは今でも大切に思ってる。
だけど、今すぐは行けない。
イタチには申し訳ないけど・・・」

「分かった」
言い終わらないままイタチは俯き、言った。

「お前はお前のしたいようにしろ。ただ、お前が居ればもしかしたら誤った方向に行かないかもしれない。
今すぐの話ではないが、時期アイツは闇に堕ちるだろうな。」

彼はあたしの手を振り払い、スタスタと歩いて行ってしまった。

サスケは復讐に取り憑かれてしまうのだろうか。


あの、まだ純粋な少年が人をためらうことなく殺してしまう人間になってしまうかもしれない。

仲間もいらなくなったら切り捨てる、そんな人間に墜ちてしまったら・・・

頭の中がグルグル渦巻き、最悪の状況を想定してしまう。

あたしはしばらくその場で立ち尽くしていた。

復讐なんてものは、決して気持ちがいいものなんかじゃない。それを彼に伝えれば、少しでも考え方を変えたり出来るだろうか。

一度決めた決意がまだ揺らぐ。

サスケはあのままでいてほしい。
そんな気持ちが抑えられず、あたしはイタチのもとに走った。

「イタチ待って!」

イタチは立ち止まって、振り返った。

「やっぱり・・・あたし・・・」

サスケを放っておけない。
そう言いかけたら、イタチは前を向き、顔を見せずに
「1ヵ月後、オレは木の葉に行く。」
とだけ言った。

一緒に行けと言ってるみたいだった。

「でもあたし、木の葉には帰るつもりはない・・・」


「じゃーどういうつもりなんだよ。」
明らかにイラついた声を出した。
でもその声はイタチではなく、もちろんあたしでもない。

振り返れば、そこにはデイダラが腕を組み、立っていた。



デイダラは殺気に満ちた目であたしを見据える。
思わず鳥肌が立った。

「お前の考えてることが分かんねぇ・・・うん」

確かに、今のあたしは最低だ。

だけどこれだけは言えるのだ。
「あたしさっきデイダラにキスされても嫌じゃなかったよ・・・強引だったけど、それでも嫌じゃなかった。」

そんな自分の素直な気持ちを述べれば、彼はポリポリと頭を掻き歯がゆそうな表情を浮かべた。

振り返ってみれば、イタチはその場から忽然と消えていた。
多分彼はあたしを木の葉に連れて行くだろう。
でもけじめはつけるつもりだ。サスケに会っても、ちゃんと言う。
もう、帰れないと。


デイダラに肩を抱かれ、そのまま自室に戻った。
デイダラは何も聞かなかった。あんな言葉であたしの気持ちが伝わったのかは謎だが、もう表情もいつも通りだし大丈夫であろう。





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