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幸運で掴む勝利なんか
1


次の日。
俺は遅刻ギリギリで学校に着いた。
靴を履き替えて教室へ急ぐ。
教室へ向かっている最中、色んな奴等から視線を感じた…
最初は気のせいと思っていたが、何と無く気のせいでは無いと思った。
でも俺は気にする事なく、教室へ入る。

そして直ぐに黒板を見て俺は固まった。

『…んだよ、これ……』

それは、どでかく「安達と高城は付き合ってる」と書かれた文字。
その隣にはこれまた大きく相合い傘まで書かれていた。
俺が呆然と立ち尽くして居ると、後ろから安達の声が聞こえた。

「ちょっと高城君?教室の扉の前に突っ立ってたら入れないから退いて?」
『……え、あ、』

俺が退く前に安達は俺を押し退けて教室へ入る。
そして黒板を見て驚きの表情を浮かべる。

「ちょっと、なによこれ!」

安達は怒って黒板消しで書かれていた文字やら相合い傘やらを消す。
俺はその姿を見た後、教室を見回した。
誰が書いたかなんて興味ないし、勝手に勘違いしとけ。と思うも、中山にだけは勘違いされたくなかった。
あとは、カズ…。

「…ったく、本当に誰が書いたのよ…」

安達はブツブツと文句を言いながら席へと向かう。
俺もずっと立ち尽くして居るのもどうかと思い席へ移動する。
その間にも、少なからずコソコソと小声で話す奴等が居た。

『朝からとんだ災難だ…』

そいつらの席の近くを通り、聞こえる様に呟く。
そして、俺はそそくさと自席に戻った。
そうすると、イッキ達が話し掛けてきた…

「なぁ、慶輔!黒板に書かれてたのって本当なのか?」
『イッキ…、嘘に決まってんだろ…』
「でも、安達と慶輔が昨日の放課後仲良く話してる所とか、慶輔が安達を家まで送ってたとかって噂、流れてるぜ…?」
『カズ、確かに家まで送ったし、放課後A・Tの練習をしてた。それは事実だ。だけど俺と安達は友達ってだけでお互い恋愛感情はねぇよ。なぁ?あだ…』

俺はそう言って、安達を見た。
安達はカズの顔が近くにあることに驚いて顔が真っ赤になっていた。
そんな安達に苦笑いをし、俺は横目でチラリと中山を見た。
中山は安達を見て同じく苦笑いを浮かべていた。
そんな中山も可愛いと感じた自分に驚きながら、俺は少し赤くなった顔を隠すために机に伏せた。

「慶輔?」
「…高城君、寝るの?」

イッキと、中山の声…
イッキはどうでも良かったが(え?酷い?)中山の声で余計に俺の顔は赤くなった…

『…おぉ、寝る……』
「……そっか、おやすみ、高城君」
『中山、おやすみ…』

中山と少しでも会話が出来て嬉しくなりながら、俺は夢へと旅立った…




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