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幸運で掴む勝利なんか
6


あの後、マルフーGメンは俺を追い掛けてきていた奴等を捕まえた。
それと、正気に戻った俺は中山を家まで送った。
中山は家に着くまで、一言も喋らなかった…
そして、腕の傷を、俺には一切見せずに、隠していた…

『中山…』
「……」
『ごめんな、気持ち悪いよな、俺…』
「……」
『引いたよな、本当、わりぃ…』

そう言ってるうちに、中山の家に着いた。
そして中山は家に入る前に、振り返って俺にこう言った。

「腕の傷は気にしないで?…それに、さっきの事は気にしない。だけど、いつかは話してくれる?」

俺は驚いた。
正直、嫌われたと思ったから…
俺のあんな姿を見て、しかも俺のせいで怪我までしてしまったのに…
俺を責めたりしない中山に、涙が出そうになった──

『いつか必ず、正直に全てを話すから、だから…待っててくれないか…?』
「………わかった。ずっと、待ってるからね」
『……っ、ありがとな、中山…』
「じゃあ、また明日ね?」

微笑みながら俺に言い、中山は家の中へ入っていった…
中山を見送った後…
俺は、泣いた。
一気に溜めていたものが、流れ落ちる感覚だった…


─中山side─

部屋入り、腕を手当てして、私はベッドに倒れ込んだ。
高城君は、どうして叫んでいたんだろう…
本当は今すぐにでも理由が聞きたかった…
だけど、聞けなかった──
いや、多分─
聞いてはいけない。と、今はまだ駄目だ。と…
本能が告げていたんだと思う…
いつか、高城君が必ず…
理由を教えてくれるのなら…
私は待ち続ける──

「これって、もしかして…」

ううん、まさか、ね…?




[戻ってみる?][行ってみようぜ!]

あきゅろす。
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