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幸運で掴む勝利なんか
4


『────っっ?!』

すぐ近くまで来ていた。
そう、相手はジャンプで俺の近くまで飛んできたのだ。
そうすれば音はしない、俺に気付かれずに近づける…
そう思ったらしい。
そして俺はまんまと相手に嵌められた…

『………クソッ!!』

懸命に走る。
なんとしても中山だけは逃がしたい。
俺が怪我をしたりするのは良い。
だが、中山は無関係だ。
俺のせいで、また誰かが傷付くのはもう見たくない…!

「高城君、危ないっ!!」
『………中山っっ?!』

一瞬の出来事だった。
中山は相手が俺目掛けてナイフを振り下ろそうとしてた所で叫んだ。
そしてその後、俺を庇い、中山の腕からは鮮血が流れた。

「──っ;!」

痛みを堪えようとする中山。
理解出来ず、立ち止まりかけた俺。
そして、俺を捕まえようとしている相手。

全てが、スローモーションに感じられた。
ゆっくり動いてる様に、俺には見えた──
そして、俺は一瞬…
理性を失った──

『…………なよ』
「えっ…?」

俺は相手に捕まった。
肩を掴まれ、無理矢理振り向かされる。
それと同時にA・Tで相手の顔を蹴る。

『ふざけんなよ、クソが…』
「高城君…?」

怯えた中山の声…
でも今の俺には、それすら聞こえて無かったのかも知れない…

『中山を…傷付けんじゃねぇ…、中山を傷付けんじゃねぇよ!!』

そして俺は相手を蹴った。
蹴って蹴って蹴りまくって…
それでも俺の怒りは治まらなかった…
でも、中山の声で、俺は気付いた…

「高城君!!それ以上したらその人死んじゃうよ…!!」
『────!!!』

死ぬ─
俺は、殺そうとしてた─?
でも悪いのは、こいつなのに──

「高城君、逃げよう?まだ来てる…!!」
『あ、あぁ…』

俺はまた走り出す。
それでも追手はやってくる。
そしてまた捕まりそうになった時──




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あきゅろす。
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