幸運で掴む勝利なんか
3
『真っ暗だなー…』
「そうだねー…」
俺はA・Tを履いて、中山の歩くスピードに合わせて滑る。
中山と二人っきり…
とてつもなく緊張する…
こんなに緊張するのは何年振りだろうか…
「ねぇ、高城君」
『な、に…?』
「高城君って、絵美理と付き合ってないの?」
やっぱり、誤解された…
俺は中山に誤解された事がとてもショックだった…
『付き合ってねぇよ、安達は仲の良い友達。それ以上でも以下でもない』
俺はそう言って、中山の顔を盗み見た。
中山は少しホッとしたような顔をしてるように見えたのは気のせいだろうか…?
………自意識過剰は嫌われるだろうから、気のせいだと思おう…。
『なぁ、中山…』
「何?」
『なんか、静か過ぎねぇ…?』
急にそんな事を思った。
今は午後8時。
寝静まるには早い時間帯…
なのに、誰一人外に居ない。
店も閉まってるし、住宅地の明かりもない。
有るのは、街灯の灯りのみ。
とても奇妙だ。
そう、俺は思った……。
そして、俺は違和感を感じた。
………………そう。
先程までは気付かなかったが、後方の遠くの方に誰かが居る。
付けられてる。そう思った。
次の瞬間…!!!
ゾワッッ
俺は鳥肌が立った。
とても嫌な予感がする。
このままだと危ない。
俺の本能がそう告げていた。
『中山…!』
「…………え?」
『ごめん…!!!』
俺は先に謝り、中山を持ち上げる。
所謂お姫様だっこと言うやつだ。
そうして、俺は勢い良く走り出した。
後ろに居る奴等も負けじと着いてくる。
俺は必死で逃げた。
「高城君?!」
『しっかり…、掴まってて…!!』
中山にそう告げ、俺は加速する。
少しずつ距離が離れる。
中山は不安そうな顔をしながら、でも、しっかりと俺に掴まっている。
少しホッとしながら、後ろを振り返ると……
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