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幸運で掴む勝利なんか
2


「───、──く…──君」

ふわふわとした感覚の中で、誰かが俺を呼んでいた…

『誰だ…?』

俺はその声のする方へと、引き寄せられる様に走る。

「………君、高城君」
『……んっ、んー…』
「起きて?高城君」

この、声は…
夢の中で俺を呼んでいた声…
優しくて、俺の大好きな声だ…

そう思った俺は、その声の人物を見る為に体を起こす。
少し欠伸をして、俺を起こしてくれた人物を見た。

「おはよう、高城君」
『おは、よ…中山…』
「少し魘されてたみたいだったけど、大丈夫…?」
『え…、あ、おう…大丈夫。心配かけてごめんな?』

俺がそう言うと、中山は首を横に振る。
そんな中山を見ながら俺は自分が魘されてた悪夢を思い出していた。
それは、自分の過去──
そして…
俺が暴風族「スカイトレック」の総長になってしまった、忌まわしい出来事だった…

「……高城君?」
『あ、わりぃ…何?』
「本当に大丈夫?」
『大丈夫だって、本当に、俺を信じて?』
「うん、わかった…」

中山は少し納得してなさそうだったが、頷いてくれた。
そして俺は教室の窓から外を見た。

『うわ、真っ暗じゃん;!』
「うん;私、部活行ってて、教室にもう居ないだろうなぁ…って思って来てみたら居たから起こさなきゃ、って思って…」
『ごめんな、中山…』
「…え?」
『俺のせいで暗くなっちまって…』

今の俺は本当に情けない。
自分のせいで好きな子をこんな時間まで待たせてしまった。
しかも、中山は俺が起きるのをずっと待っててくれたらしい…

「良いんだよ、私が勝手に待ってただけだし…!」
『でも…!!』
「…じゃあ、家まで送って…?」
『……?!』

思いがけない中山からの誘いに、俺は勢い良く頷いた。
むしろ、中山が嫌だと行っても家まで送って行く気満々だったけど…
…ってのは、秘密にしておこう…。
昨日は居なかったが、今日は居るかも知れない…
だから、暴風族には気を付けなきゃな…。

でも、まさか、あんな事になるとは…
思いもしなかった──




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あきゅろす。
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