←From. ロイドは買い物を終えて宿に戻った。部屋に向かおうとして、ふと、入り口横の案内板が目に留まる。手紙預かり欄の所に自分の名前があったからだ。 ロイドはすぐさまカウンターへ行き、手紙を受け取った。 差出人を見て思わず口元が緩む。嬉しくてたまらないといった表情だ。 ロイドは階段を駆け上がって部屋に入ると、ベッドの上で手紙を読み始めた。 Dear.ロイド 体は大事ないか?怪我などはしていないだろうな? お前からの手紙を読む度に嬉しくなる。 ありがとう。 この間街で押し花のしおりを見つけた。 赤くて綺麗だろう?お前に似ていると思ったら、いつの間にか買ってしまっていた。 よかったら使ってくれ。 それから間違いがあったぞ。 「作日」ではなく「昨日」、「イセキ」は「遺跡」と書く。 くれぐれも無理のないように。 愛している。 From.クラトス 同封されたしおりを見て、ロイドは頬を染める。 これを見て自分を思い出すなど、どんな乙女か。 しかし、そこまで想ってくれている事は純粋に嬉しい。 (てゆーか、使いどころねーよ…) 暗に、もっと本を読め、と言われてる気もしないでもない。 これを機に、貰った指南書を読み返すのもいいかもしれない。 そして間違いを指摘された部分はあっさりとスルーした。どうせ覚えられないから。 「へへ…オレも、愛してる」 ロイドは荷物袋から小さな木箱を取り出す。 それはクラトスとお揃いの手紙入れだ。 ロイドの箱の中にもクラトスからの手紙が詰まっている。 今日届いた手紙も丁寧にその箱へと仕舞う。 そして自前の便箋と封筒を出し、ペンを滑らせた。 P.→←S. |