BirthDay 1
もう…どこにも、行かない、よな…?
統合し、新たな再興への道を歩み始めた世界。しなければならないことは沢山あるけれども、長い間戦いに身を投じてきたロイド達には休息が必要なのも確かであった。しばらくは各々が故郷や落ち着ける場所に帰り骨休めを、と言うリフィルの言葉に全員が賛同し、皆、しばしの別れとなった。
そうなると当然ロイドは二人の父親がいるダイク邸に足を向ける。しかしその歩みにリフィルが待ったをかけた。
「な、何だよ先生」
「あなたが帰るのはココよ」
そう言ってリフィルから1枚の紙を渡される。地図のようだ。目的地と思わしき所に赤でバツをつけられていた。そこはダイク邸からさほど離れていない。
しかし何故ココが自分の帰る場所なのか。
幾ら聞いてもリフィルからは「行けばわかる」としか返答してもらえなかった。
仕方なしにロイドはその場所へと歩みを進めた。行けばわかるのなら行くしかないだろう。
(もしかして引っ越したのか?でもそうしたら母さん一人になるじゃねぇか。そもそも引っ越す理由がわかんねえ。家ぶっ壊れたのか?)
など、様々な憶測をひねり出しながら…見えてきたのは…1軒の真新しい家だった。
そしてその入り口に立つのは…
「クラトス…っ」
会いたくて会いたくて仕方がなかったその人が、微笑みながらロイドを迎え入れた。
話を聞けば、みんなが「親子二人で」と考えてくれていたらしい。ダイクもそれに賛同し、他の仕事仲間に手伝ってもらってここに新しく家を建てたのだと。
「い、いつの間に…てか全員グルかよぉ…」
ひとりだけ何も知らされていなかった事にロイドは溜め息をついた。しかし他の仲間達にしてみたら「ドッキリ成功」である。もちろんそこにはクラトスも含まれている訳で…
「まさかアンタまでグルだなんてよ…」
「たまにはよかろう」
お前がどういう顔をするか想像するだけでも楽しかったと、クラトスの意外な子どもっぽい一面を垣間見たロイドだった。
何はともあれダイクに会って感謝の言葉を伝えた。ダイクは「親子水入らずで生活してみろ!」と全面協力する気満々である。
こうしてクラトスとロイドの二人だけの生活がスタートした。
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