かなこい A 「司先輩!!おはようございま〜す。」 一人… 「あっ、オハヨー。」 「寺島様、おはようございます。今日もカッコイイです!」 …二人 「あはっ、ありがとぉ。」 ――司様ぁ ――寺島先輩 ――寺島様っ ――司先輩! (…………今日も凄まじいっ。 まだ学校までけっこうあるのに、何人に挨拶されるんだ、司は。 人気者って大変だ。 人気があるって言っても、みんな男だしなぁ。嬉しいのか? みんなも朝からテンション高いよ…。) そんなことに関心しながら、学校の門をくぐった。 ―ザワザワ 朝のクラブ活動中の生徒の声、登校してくる学生の群れ。 いつもの日常が目に映る。 そう、これがいつもの日常… ―――晁斗がいなくって一年が経とうとしている今、以前と同じように毎日が過ぎていく。 時の流れって残酷だ。 みんな過去のことなんか気にかけない。 みんなの目の前にはキラキラした未来が広がっている。 僕だけがまだ晁斗のことを忘れらずに、あの日の悲しみから抜け出せないでいる。 [*前へ] [戻る] |