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天と地と6の騎士
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「フェリルよ!破壊神としての本当の姿を現すがいい!」

美形になった神様が持っている杖を振り上げてフェリルに向かって何かの光を放った。

「ぐぎゃぁぁ!」

耳がつぶれそうな鳴き声と共にフェリルは人ではなく、形容しがたい姿に変わった。

妖魔の顔がいくつもあるような不気味な姿に。

「祈れ!雅春!騎士達が回復するように祈れ!そして回復が終わったら、攻撃が強くなるようにと念じるんだ!」

神様は俺に叫び、俺は神様の言葉の通りに祈った。

俺の魔力が一気に減って6人全員のステータスが全回復して起き上がった。

「雅春、お前、その力……。」

神様が呆然と何かに驚いたみたいだったが、今はそんな事に気を取られている場合じゃなかった。

「魔力が回復したから!全員、全力でフェリルを攻撃してくれ!」

俺の言葉で全員がフェリルに向かって攻撃する。

「火の聖霊よ。我の元に集え、我の肉体を媒体にし、主の力、主の精を引き換えに、その力を欲する。炎壁!」

「風の聖霊よ。我の元に集え、我の肉体を媒体にし、主の力、主の精を引き換えに、その力を欲する。風刻輪!」

「命の聖霊よ。我の元に集え、我の肉体を媒体にし、主の力、主の精を引き換えに、その力を欲する。刺命針!」

「水の聖霊よ。我の元に集え、我の肉体を媒体にし、主の力、主の精を引き換えに、その力を欲する。豪龍水!」

「光の聖霊よ。我の元に集え、我の肉体を媒体にし、主の力、主の精を引き換えに、その力を欲する。光瀧!」

「土の聖霊よ。我の元に集え、我の肉体を媒体にし、主の力、主の精を引き換えに、その力を欲する。降強岩!」

その攻撃の力の束に神様がさらに力を与え増幅させた。

「フェリルよ。以前はわしの力が足りず封印するしか無かった!じゃが、今回はお前を倒す!うぉぉぉぉぉ!」

神様が杖からの力が強くなるようにグッと前に差し出す。

俺はみんなの全ての力が強くなるようにと念じた。

すべての力の衝撃がフェリルに向かっていく。

〈そ、そんな…創造主が作った我が敗れるとは…。ぐふっ…ぎゃぁぁぁぁ!!〉

キラキラと粒子になり消えていくフェリル。

そしてその粒子は神様の中に消えて行った。

「か、勝った?」

「あぁ、勝った。フェリルは破壊され私の中に入って来た。」

美形神様は自分の胸を押さえて、そう言った。

「やったぁぁぁ!」

俺達は全員で抱き合って喜んだ。

助かったんだ。

もうこの世界は大丈夫なんだ。

「さてと、では、これをせねばな。」

神様は杖を一振りして、空間を歪める。

何も無いはずの場所に黒くて丸い俺が通れるぐらいの歪んだ何かが生まれた。

「これって……。」

俺の言葉の後を継いで、ぼそりとギースさんが呟く。

「神の空間移動?」

「マラール、自分の世界に帰るんだな。」

神様の行動を見ていたファム司祭がそう言った。

俺はコクンと頷く。

6人とも複雑そうな顔。

「寂しいです。でもそれをマラールが決めたなら引き止める事は出来ない。」

ディム司祭が言う。

「俺達を忘れないでくれ。」

「うん、ルーフィス。」

「マラール。行く?サハラ、ついて行く。」

「サハラ、それは無理なんだ。」

「ダメ……なの?」

「うん。」

俺の言葉にサハラはシュンとした。

「元の世界に戻ったら、もう無理とかするなよ。」

ジェファードそっぽむいたまま言う。

「神子、お元気で。」

「ギースさんも。」

俺はみんなにお別れを言う。

「あ、そういえば……どうして騎士を覚醒させる度に神様はでかくなったんだ?」

ふと疑問に思った事を神様に聞いた。

「わしは自分の半身であるフェリルを封印させながら、常に6人の騎士を生むために力を使い果たし自分の姿すら保て無くなった。

その為に爺様になり背も縮んでしまった。

いつしか神子を呼ぶ力も無くなり、封印する力すらなくなってフェリルの封印も破られた。

じゃが雅春が世界に残されたわしのほんの少しの力を増幅させ、6人の騎士を覚醒させて力を与えてくれた事で騎士に与える力を軽減出来て元の姿に戻ったんじゃ。

これで、もうこの世界に妖魔は現れない。

妖魔を生み出していたフェリルとわしは元の一つに戻った。

そしてフェリルの意識はわしが管理出来る。有難う。雅春。」

ミニマムエロジジイだった神様は美形神様になって俺にお礼を言った。

「神子を呼ぶ力も無くなった。って……じゃあ俺はどうやってここに来たんだ?」

「あー、その事なんじゃが。さっき雅春が全員の魔力を復活させるように祈った時に気が付いたが……雅春、お前、目覚めじゃな。」

「目覚め?」

「そう、世界に落とされた衝撃で眠ってしまっているわしと6人の騎士を起こす存在。

そう言えば目覚めは確かにわしが自分をこの世界に送ったと言っていたぞ。

あの時のお前はもっと成長して姿が少し変わっておったから気がつかなんだが。

それと、勝手にこの穴で元の世界に帰ると思っているみたいじゃが、違うんじゃ。」

「え?」

「前に元の世界に返すと言ったが、お前はわしが呼んだわけじゃないので元の世界には戻せない。どこから来たのは知らんのでな。そして悪いが昔のわしを探して起こしに行ってくれ。大丈夫じゃ、今のわしの力で出来ているお前の能力は向こうのわしを起こすまでは消えないから。」

「え?どう言う……ぅわっ!」

ドンッと後ろから神様に突き飛ばされた。

グニャリとした空間に入ってしまう。

「「「「マラール?!」」」」

みんなの声が遠い。

グラグラとした空間の中、俺は意識が遠くなった。

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