天と地と6の騎士
90
ルーフィスの後にジェファードが入って来た時に、やっぱり順番に待ってくれているんだと思った。
「身体、平気か?」
「うん。」
「あ、明日、行くよな。」
「うん。」
「お、お前が……す……。」
「ジェファード?」
「べ……別になんでもねえ。けど、お前、今回、無茶したし、体調が万全でもないから……しょうがねぇから、俺がお前を守ってやる。」
「うん、有難う。ジェファード。」
ちょっと素直じゃないところのあるジェファードだけど、心根はとても優しい。
「無茶するなよ。それから本当は……俺、お前の事が……好きだ。誰にも渡したくない。」
そう言ってジェファードは俺の髪にチュッとキスをして部屋を出た。
「マラール。会える。嬉しい。サハラ、待ってた。いい子?」
やっぱり待ってくれていたんだ。
サハラには誰かが待つように言ってくれたのかな?
「うん、いい子。」
「明日。怖い所、行く。だから、サハラ、マラール守る。絶対。サハラ、マラール大好き。凄く好き!」
動物みたいに本能だけと言う感じのするサハラ。
だからこそ純粋な彼。
そんな彼が俺を守ると言ってくれているのは嬉しかった。
「サハラ、明日頑張ろうね。」
「じゃあ、サハラ、行く。サハラのあと。ファム、来る。」
「うん。」
サハラが部屋を出ると、ファム司祭が入って来た。
「よぉ。平気か?」
「はい。」
子供っぽい悪戯っ子みたいだけど、気が許せる優しい人。
色々な事に鋭くて、頼れる人。
俺が泣いた時に慰めてくれた人。
「明日だな、最後のボスを倒そう。マラールは元の世界に帰れるぞ。」
クシャクシャと俺の頭を撫でてファム司祭がそう言う。
「本当はみんなマラールに帰ってなんて欲しくない。でも三代目様の事がある。マラールは自分の世界に帰らないといけないんだよな。」
そうか、最後のボスを倒せたら自分の世界に帰れる可能性があるんだ。
「守るから絶対に。好きだぜ、マラール。」
ファム司祭はギュッと俺を抱きしめてくれた。
俺はみんなの想いを胸に抱いて、必ずフェリルを倒そうと決意した。
===
『巣の島』についた。
その島は、『巣の森』『巣の谷底』『巣の火山』なんかよりも邪気に溢れていて、島全体がヌルヌルした蔦に覆われていた。
空の上にはぎっしりと妖魔がいて空の色が見えないために暗い。
ただ、妖魔は攻撃して来ないようで、俺達の様子を見守っているみたいだった。
「不気味を通り越しているな。」
ジェファードが呟く。
「ここ、怖い。嫌。」
サハラも怯えている。
ヌルヌルとしている道を歩いて、フェリルが封印してあると言う洞窟を探す。
蔦が、まるで迷路のように入り組んでいた。
しばらく歩いて、ようやく洞窟の前まで来た。
多分、洞窟には岩で封がされていたのだろう。
その岩が壊され、洞窟は空いていた。
「入るぞ。」
ルーフィスがそう言って洞窟内に足を踏み入れようとした時、声が聞こえた。
〈来たのか。愚かな人間。〉
「フェリル!」
〈何故、創造主の意思に逆らう。人間は本当に愚かな生物だ。消え去れ!〉
フェリルが腕をこちらに向けて攻撃してくる。
「命の聖霊よ。我の元に集え、我の肉体を媒体にし、主の力、主の精を引き換えに、その力を欲する。守命鏡!」
その攻撃を新しく発動させ強くなった力でファム司祭が守ってくれる。
でもフェリスの方が強くその力は通用しなかった。
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