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幼馴染
子供時代
「相変わらず武士の家のこいのぼりはでかいなぁ!」

大切なヨシ君が、僕の家のこいのぼりを見て興奮しながらそう言った。

小学校も3年生になろうと言う年齢でこいのぼりを上げられるのは凄く恥ずかしい気がしたけれど、ヨシ君がこいのぼりを見に来て凄いと言ってくれるのなら、こいのぼりをあげて貰って良かったと思った。

背比べを柱に記してもらった去年は僕のほうが少しだけヨシくんよりも小さくて凄く悔しい気持ちになった。

だけど今年はあまり好きじゃなかった牛乳も沢山飲んだし、小魚も食べたし、好き嫌いもしなくなったから僕はヨシ君より背が高くなった。

僕の方が大きいとわかったヨシ君の拗ねた顔がまた可愛くて、胸がギュッとなる。

ヨシ君と僕は通っている小学校が違う。

僕は私立で、ヨシ君は市立。

会えるのは放課後だけ。

それすら習い事のない日だけだ。

本当はヨシ君と一日中一緒にいたいけど、そう言うと周りの人間を困らせてしまう事を学習した。

「なぁ、武士は近所のお祭りに行かないのか?」

「お祭り?」

「ああ、子供の日の祭り、子供神輿とか担がないのか?向こうとこっちじゃ道1本で町内が違うから、こっちの町内はないのか。」

行きたい。

そう思って、澤木を振り返る。

「申し訳ありません。その日はドイツ語と、ピアノと、剣道の習い事が入ってます。」

なんて澤木に言われて、僕はガクッと肩を落とした。

「相変わらずお前は忙しそうだなぁ…!じゃあ、りんご飴買って遊びに来てやるよ!」

そんな優しい言葉をヨシ君はくれて、僕は凄く嬉しかった。

==

「どうした武士?」

「小さな頃の夢をみたよ。」

「小さな頃?」

「うん、ヨシ君が子供の日にぶどう飴買って来てくれた日の事。」

「ああ、そんな事、あったなぁ。りんご飴買いたかったのに姫りんご飴すら買えなくて、ぶどう飴買って武士の家に行ったけ?そしたら武士の家に山程、ちまきとか柏餅とか用意してあって、それなのに、お前、俺のやったぶどう飴、凄く嬉しそうに受け取ったくれたんだよなぁ。そっか、そう言えばもうすぐ子供の日だな。」

「うん、そうだね。あ、あの頃みたいに背くらべする?」

「嫌だよ、確実に武士の方がでかいじゃないか!」

ねぇ、ヨシ君。あの頃から俺はヨシ君がずっと好きだよ。

end

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