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キリ番小説
96さんへ☆
「……………………。
 ………………………、
 ………暑いッ!!」
「五月蝿いッ!」
先に言ったのは慧靂。そして士朗に頭をぶん殴られた。
「だって〜、暑いんだもん…………。
 こんな暑さで良く扇風機だけで耐えられるよな……。」
慧靂はパタパタと団扇を動かしながら言った。

そう。今は夏のど真ん中。
まさに真夏の域にある。

「あーつーすーぎーるッ!!!」
さっきからがみがみと五月蝿い奴だな……。
「そんな怒ってるから、暑く感じるんじゃないのか?」
士朗の言うとおりだ。
「じゃあなんでクーラー付けないんだよ!!」
「お前はエコってもんを知らんのか?」
「だからって……、クーラーなしは辛いだろ……。」
「…………………。」
士朗はジュースをストローで吸いながら考えごと。
「兄貴?
 おーい、兄貴!!」
「………………ん?何、」
「何って、ぼーっとしてるよ、大丈夫か?
 この暑さでねぼせたんじゃ…………」
「……………セムのところに行こう。」
「結局そうなるか………。」


「………何でここまでジュースもってくるんだ、兄貴?」
「………………あ。」
「駄目だこりゃ……。」
慧靂が店のドアを開けようとした途端、
「んぐッ!!」
反対から扉が開き頭を扉にぶつける。
「あ、士朗……、どうしたんですか?」
「ん………、ドアに。」
「ん?
 ……………慧靂?!!え?何コレ!!」
驚きを隠せない様子。
「慧靂、残念だな……。」
「ふえぇぇぇ………。」
「ごめんなさい、慧靂!!
 大丈夫ですか?!しっかりしてくださいよ!」
「む、無理……、痛すぎる…………。」
「本当にすいません……。」


「それで、何しに来たんですか?
 二人で来るなんて、この店の用ではないですね?」
「ん。ここに涼みに来た。」
「ッは?!」
慧靂は頭を氷で抑えながら「いてー」と繰り返している。
「…………アホですか、何でクーラーつけないんです。」
「省エネ。」
「……何か兄貴、朝からおかしいんだよ。
 まだジュース手放さないし……。
 その中身、まだ入ってるの?」
士朗は慧靂にそう言われジュースの中身を見せる。
「うわっ、入ってるし。」
「可笑しいですね、士朗、暑さで壊れたんじゃないですか?」
「そうかなーって思ったんだけど……。」
「そうだ、話変わるんですけど、今日の夜、一緒に星見に行きません?
 今日が、きれいに見えるらしいですし。」
「星?セムさん、そんなのに興味あったっけ?」
「いいえ、全然?
 ですが、いいじゃないですか。学校の用事で理々奈もいないことですし。
 またには行きましょう?」
「うーん、俺はいいけど、兄貴、どうする?」
「うん、いいよ。」
「……………ぱっとしないなぁ……。
 ま、いいや。」
「じゃあ、このままここで夜ごはん食べますか?」
「いいの?セムさんがいいっていうなら……。」
「ええ、全然かまいませんよ。
 では、本業が終わるまで識のゲーセンにでも行ってヒマつぶしててください。」
「そっか、その手があった!」


識のゲーセンでヒマを潰しあっという間に夕方。
この店で働いているエリカとあいさつを交わしてから店の奥に移動する。
「あ、お帰りなさい、二人とも。」
「ただいま、夕御飯の食材買ってきたぞ。」
「あぁ、気が利きますね、有難う。
 作ってあっちで食べましょうか。」


そして夜。
重箱をもって車でとある小高い丘まで移動する。
その周りは高いビルや建物は無く、むしろ、海が広がっていて、街頭が無ければ真っ暗、といったような場所だった。
「うわー、星が凄いな……。良く見える。」
「本当だな、この地球でこんなに綺麗なものが見られるなんて思ってもなかったよ。」
「そうですね、環境問題山積みですもんね。」
「流れ星、あったら何か頼みごとしようかな。」
「……最終的に消えてなくなるだけだろ?叶うのか?」
「あ、兄貴…………。」
「……………。」
セムと慧靂が黙る。
今の空気ぶち壊した……。
「で、でも、祈っていれば叶うことだってあるんじゃないですか?」
「そうか?」
「そ、そうだよ!!
 少なからず叶わない、なんてもの無いんだよ!!
 小さい夢なら叶うかもよ?」
「小さい、夢………。
 猫がいっぱい飼える、とかww」
墓穴掘った――――――――――――――ッ!!!!!!!
自分で墓穴掘っちゃった!!
「え、慧靂……。」
これにはセムも救いようがない。
「う、うん…。
 飼える、かもね………。」
「よし!んじゃ祈るか!!」
「あぁぁ………、
 俺も兄貴をもとに戻して、とでも祈っておくか………。」
猫を飼う願いに必死に取り組んでいる士朗。
多分、慧靂とセムの会話など耳に届いてないだろう。
「っふふ、慧靂も大変ですね。」
「全くだよ……、こんなこと、初めてだし……。」
「それじゃあ、こんな面白いことがまたありますように、とでも願っておきますか。」
「ちょ、もう勘弁してくれよ!セムさんっ。」
海の水面に笑い声が反射して、空へと消えていく。
周りの暗さ、闇にも声が溶け込んでいく。
笑い声とともに地面の草木もサラサラと音を立て始めた。
3人と一緒に、笑っているのかもしれない。
もしかしたら、歌っているのかも?

それはここにいる3人ですらしらない。

































キリ番小説、遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
同時にリクエスト有難うございます。
そして長々と待ってて待ってて下さって有難うございます。
小説も、何というか……。もっといいの作れるように頑張ります!!

 

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