お狐さま!!
現状把握と今後の予定と…
『…ふあ〜ぁ、よく寝た』
白いカーテンの隙間から朝日が差し込む中、思いっきり背伸びしながら欠伸をする。
昨晩、遅い夕食をとった後銀華はダーナさんに2階の客室へと案内され、そこで一晩過ごしたのだ。
部屋には簡素なベッドの他にバスルームや洗面所もあり、流石にシャワーはなかったけど水道の栓を捻ればちょうどよい暖かさのお湯が出てきた。
どういう仕組みになっているのか聞くと火の魔石で水を温めて出しているとか何だかよくわからないことをダーナさんが説明していた気がする。
ようは元いた世界が科学の力で発展しているように、こちらの世界では魔法の力によって文化が発展しているということだ。
まだ眠たい眼を擦りながらも簡素なベッドから降りると決して殿方には見せられない寝起きの顔を洗うため洗面所に向かった。
――パシャパシャパシャ
うっほーい!目が覚める〜!!
冷たい水は寝ぼけた顔にちょうど良く、一気に頭が冴えていった。
『よしっ!今日もチョー快調!!ギンカさん頑張るぞ―!』
と、鏡に向かって自分に活を入れるとベッドに戻りナターシャに借りた寝間着を脱いで、昨日の服に着替える。
その後サイドテーブルに昨晩ダーナさんから入手した地図を広げ、今日の予定をおさらいした。
ナターシャたちから聞いた話では、今自分がいる国はアルセント国といい、バーノス国王という人間の王様が治めているそうだ。
今いるこの村はノース村といい、都市からひとつ町を挟んだ場所にあるらしく、近くにある森はウッドティースの森と呼ばれ、銀華が初めに落とされた森がある。
昔は木の実や薬草、キノコなどが豊富にあり簡単に採りに行けるほど安全な森だったが、今ではどこからともなく魔物が現れ大人でも入ることができないらしい。
ちなみに、こちらの世界の年、月日、時間の数え方は元いた世界と同じで、文字は全く見たことない形をしていたが、すらすらと読むことができた。今も地図に書かれたミミズののたくったような文字を指でなぞりながら、頭の中で解読する。
『今はとにかく情報とお金がほしいんだよね〜』
地図は、バーノス国の領土が詳しく記載されおり、銀華は今いるノース村を指で差しながら、その真上にある町の名前を確認した。
《タラサ町》
都市に近く、国で2番目に栄えている町だ。
冒険者協会の支部があることから冒険者も多く通行している。
冒険者協会とは世界各国が共通して行っている冒険者のための協会で、そこに登録すれば決められたランクのクエストを受け、応酬を貰えるというシステムだった。
『よし!今日は朝食食べた後、タラサ町に行きますか!』
そしてどんどんクエストを受けて、金を稼ぎまくってやる!!
今、自分の手元にあるのは昨日自治体から貰った謝礼金(緑色のコイン5枚)だけ……。
ナターシャにこの国のお金の価値を聞いたら、青色のコイン一枚を1リラというらしく、10枚で緑色のコイン一枚の価値に、100枚で銀色のコイン一枚の価値になり、1000枚で金色のコイン一枚の価値になるみたいだ。
つまり、銀華は現在50リラもっていることになる。
安い宿屋に一泊するだけでも10リラかかるみたいなので、この資金では数日しかもたないだろう。
クソッ! あのはげじじい!もっと沢山よこせっ!!
心の奥底で自治体に対しチッと悪態をつくものの、ちょうどその頃下からパンの焼けるにおいやスープの美味しそうなにおいがしてくる。
銀華は広げてあった地図をマントのポケットにしまうと、急いで階段を降りていった。
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