Sky†Blueに包まれて
序章
両側に露店が立ち並び、がやがやと人々が混雑した賑やかな通りを薄汚れた黒いマントを頭からすっぽりと被った少年がすいすいと人混みを抜けて歩いていた。
時おりフードから覗く翡翠色の瞳はまるで辺りを疑うかのように緊張の色を宿している。
その時、背後から男の怒鳴る声とともにざわざわと人が割れる気配がした。
「いたぞッ!ギルバート海賊団の一味だ!!早く捕まえろ―!」
その声に少年ははっと後ろを振り替えると直ぐに、他の町人と同じように道の端に寄って道をあける。
目立たないよう物陰からこっそり道を見れば、そこを20代前半の赤髪の若い男と10代後半の茶髪の青年が大きな紙袋を抱え(抱えているのは青年だけだが)猛スピードで走っていった。
その後を白い軍服のようなものを着た男たちが必死の形相で追いかけていく。
「ちッ、テメーのせいで海軍に見つかっちまったじゃねーか!!」
「ハァ!?あれはお前が先に手を出したのが悪いんだろ!人のせいにすんじゃねぇ!!」
「アァ?ンだとコラァッ!!」
赤髪の男の怒鳴り声に茶髪の青年が額に青筋を浮かべて怒鳴り返す。
どうやらこの二人は海賊でどこかで一騒動起こしたところ巡回中の海軍兵に見つかり、このような事態になったらしい。
少年は目の前を通りすぎた赤髪の男を見ると、ハッと何かを思いついたような表情を浮かべ、瞬時に裏道へと消えていった。
目指すはあの男たちのところへ……
町に鳴り響く協会の鐘が始まりの合図を告げた。
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