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- バカと私と召喚獣 -

第03問
 

〜 S i d e 明久 〜


「明久、よくやった」


乱戦を乗り切り、科学のテストを受けなおした後、雄二が僕をねぎらってきた


「雄二……放送聞いてた?」


あの悪魔の放送を‥‥‥


「ああ、ばっちりな」


くそっ! やっぱりか。どおりで清々しそうな顔をしている

しかし、今は雄二をボコる時ではない

今やるべきことは他にある


「ねぇ、雄二? 須川君がどこにいるか知らない?」


そう、今殺るべきことは、あの悪魔の放送をした須川君をボコることだ


「もうすぐ戻ってくるんじゃないか?」


嗚呼、須川君

僕は普段、天使のように清らかで広い心を持っているけど

今だけは悪魔の心に変ワッテイルヨ。


「明久。途中から文体が怖いぞ」


「エ? ナンノコト?」


まったく、何を言っているんだろう雄二は?

とにかく、今は須川だ

家庭科室から拝借した包丁に砂を詰めた靴下

抜かりは、無い


「やれる、僕なら殺れる‥‥!!」


「殺るなっての」


ああ、須川君のことしか考えられない

それ以外は耳に―ー


「ちなみにだが、あの放送の指示を出したのは――玲夏だ」


「玲夏ぁあああああああああああああああああああ!」


僕は教室でのん気にギターを弾いている玲夏に飛び掛る

よくも、幼なじみを‥‥‥

こいつが! こいつが――!


「あ、船越先生」


「ちぃっ!」


今捕まったら、僕の人生は間違いなく終わる!

ここはひとまず、掃除用具入れの中に入って、身の安全を――


「嘘だよバーカ」


「れぇぇぇぇいぃぃぃぃぃかぁあああああああああああっ!」


どこまで僕を虚仮にするんだ!

僕が外に出ると、もう誰もいなかった

みんな、首級の首を獲りに行ったのだろう

僕は玲夏を逃がさないために、廊下に飛び出す


「くそっ! どこに行ったんだ!」


廊下では戦争が始まっていた

下校中の生徒に混じって多対一で叩くという姑息な作戦で、Dクラスを押していた

僕も本当は参戦すべきだろう。が!

知ったこっちゃない!


「玲夏! どこだ!」


だめだ、見つからない

玲夏の赤髪は、かなり目立つはずなの――ん?

あれは!


「「援護に来たぞ! もう大丈夫だ! 皆、落ち着いて取り囲まれないように周囲を見て動け!」


「Dクラスの本隊だ!」


Dクラス代表の平賀君か!

これでいよいよ主力戦になってきたわけだ

Fクラスの本隊をみると

平賀君の指示で、攻撃を受けていた

これは、厳しいかもしれない

「Fクラス! 全員撤退だ! 人ごみに紛れて攪乱しろ!」


「逃がすな! 所詮はザコ、追い詰めて討ち取れ!」


まずいな

自分の守りを薄くしてでも、Fクラスを潰す気か!

戦力が分散しているこの戦況では、正しい作戦だ!

などと分析している僕の目に

近衛部隊がいない平賀君が移った。

くぅ、どうする! 玲夏の抹殺か! クラスの勝利か!

選ぶべきは――クラスの勝利だ!


「向井先生! Fクラス吉井が――」


「Dクラス玉野美紀、試獣召喚(サモン)」


「近衛部隊!? ちっ、試獣召喚(サモン)!」


くそっ! 警戒されてたか!


「残念だったな、船越先生の彼氏君?」

―――――プツン―――


「……今、何て言った?」


「は?」


「今、何て言ったんだぁああああああああああああああ!」


僕は今、その話題に敏感だ

玲夏のせいとはいえ、そこを突付く奴は全員敵だっ!

そんな僕を見て、平賀君は怯えたように一歩後ずさった


「な、なんだ!? た、玉野さん! 彼を蹴散らせ!」


「は、はい!」


玉野さんの召喚獣は、僕に向かって突っ込んでくる

だけど―ー遅いっ!


「ていっ!」


「なっ!?」


僕の召喚獣は、彼女の召喚獣に脚払いをかけ、見事にすっ転ばした


「くっ! そうか、君は観察処分者だったな。召喚獣の扱いには慣れているということか。――だが! それでも僕は倒せないぞ!」


確かにそうだ、いくら扱いに長けていても

Dクラス二人を相手に勝つことは出来ない

だから――


「姫路さん、よろしくね」


「は?」


「あ、あの……」


「ひ、姫路さん? なんでここに? Aクラスはここは通らないはずだけど」


「いえ、そうじゃなくて……」


あー平賀君、未だに状況わかってないな

まあ、仕方ないか

彼女がFクラス所属なんて、普通、思わないもんね


姫路さんは律儀にも名乗ってから


「あの、えっと‥‥さ、試獣召喚(サモン)です」

 
『Fクラス 姫路瑞希 現代国語 339点 VS Dクラス 平賀源二 現代国語 129点』


いやぁ、姫路さんの召喚獣は強そうだ

背丈ほどもある大剣を持っている

そして、姫路さんの召喚獣は―――


「ご、ごめんなさいっ」


一撃でDクラス代表を切り伏せた――







 


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