宇宙語のお友達

中庭に出てみた。噴水が水を噴き上げて光にきらきらと反射している。ヒバードが、他の鳥と一緒に飛んでいっているのを見た。


それにしても、暇だ。久し振りに絵でも描こうかな…。描くのはいいけど、何を描こう…。


リボーン、早く帰ってこないかな…。
首にかけたままのネックレスを触る。ひんやりとした丸い形を指先で転がす。お守りだと、リボーンは言った。
あれから外さずにずっとつけている。でも、普通の服には、このネックレスは少し大人っぽすぎるから、服の中にしまっているんだけどね。


噴水の近くの木の下に腰を下ろす。持っていたスケッチブックを広げて、鉛筆も取り出す。


この間のパーティーの情景を思い出した。スケッチブックの白い紙の上に鉛筆を走らせていく。自分の記憶を思い出して、きらびやかな初めての光景。
色とりどりのドレス。
シャンデリアがきらきらと輝いていて、そして、オーケストラが楽を奏でる。


そして……。


そこまで考えたところで、上から影が覆いかぶさった。その陰に、ゆっくりと顔をあげると、見たことのない男の子が私を不思議そうに眺めていた。
誰かの、子供かな?


金髪、鷲色の瞳をした男の子は、イタリア語で何かを言ったけど、いかんせん、私にはイタリア語は分からない。だから首を傾げると、男の子も首を傾げた。
あれ?これって、いみないんじゃ?


そう思いつつも、男の子を眺めていると、私の前に座り込んだため、私も寝転がっていた体を起して座る。なんだか、少し気恥ずかしい。


男の子は、しばらく何か考えた後、何かを思いついたのか立ちあがった。その様子を眺めていると、満面の笑みで私の手をとって、立ちあがるように促される。
何をしたいのかわからなくて、とりあえず立ちあがって、洋服についた草を払う。
彼は、スケッチブックとペンを持つように促すと、私の手首を持ってどこかへ走り出した。


本当に、誰の子供なんだろう?それに、今どこに向かってるのかな?とりあえず、ここにいるってことはボンゴレの人であっているはず。


そんなことを思っていると、彼は屋敷の裏側にある草むらへと、私を連れて入っていく。こんなところまで来たことないなーとか思いつつ、彼についていくと、しばらく歩いてから、彼は急に立ち止まって、人差し指を口に当てて、シーッといった。
だから、私も口に人差し指を当てる。


その様子に満足したのか一度大きくうなずくと、再び、今度はゆっくりと音をたてないように動き始めた。


そして、草むらをかき分けた先に、そこには子猫におっぱいを与えている猫がいた。子猫かわいいっ!瓜もこんな感じだったよね。でも、瓜の方が積極的だったかも。
あ、今度隼人に瓜を見せてもらいに行こう。


母猫が地面に寝そべって、お腹を見せる。そこに鼻をこすりつけるようにしておっぱいを飲んでいる子猫は、全部で4匹。
本当に可愛い。
そう思っていたら、地面に集中が行っていなかったせいで、小枝を踏んでしまい、猫が逃げてしまった。


二人で顔を見合わせて、がっくりと肩を落とす。本当に可愛かったんだ。


だから、私は、さっきまで猫がいた場所に座って、スケッチブックを広げた。そして、鉛筆を取り出すと、さっきの光景を描き始めた。
それを、彼は私の横からのぞきこんで興味津々といった風に見ている。


私は、鉛筆で超ハイピッチでさっきの光景をかきあげた。


その様子を見て、彼は手をぱちぱちと叩いて、歓声を上げた。その様子に少し嬉しくなった。


それから数日間、その名前の分からない男の子と遊んでいた。守護者の人とか、お父さんとかは忙しいらしくって私にかまう暇なんて無い。それは分かっていたから、男の子と遊べるのは嬉しかった。


二人で中庭を探検したり、小さな発見をしたり、泥んこになりながら鬼ごっこをしたり。


そんな日々が過ぎていく中で、私はリボーンに会うことはなかった。他の守護者には、それなりに会う。だって、夕食とかは一緒に食べているし。でも、その席にリボーンが来ることはなかった。お父さんに聞いても、今まで溜まっていた任務を一気にこなしているのだというだけだった。
リボーンの部屋に行っても、いつも不在。


たまに帰ってきている気配はするものの、私が行けば、もうそこにはリボーンはいなかった。


避けられているのかな…。私、何かしたんだろうか。パーティーまではいつも通りだった。でも、パーティーが終わってからは、ずっと任務、任務であってない。リボーンの部屋にいたら、帰ってくるかな?


そんなことを思いながらも、紫杏は、一人の部屋で眠りについた。明日も、あの子と遊ぶのだから。


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