遊びの広場

次の日の朝。本当にディーノさんが迎えに来てくれた。私はお母さんに真っ白のワンピースを着せられた。


ディーノさんが来た時にはもう、屋敷に残っているのはお父さん、お母さん、リボーン、たけにいだけで他の人たちは皆お仕事に言ったみたい。


私は、皆に見送られて、ディーノさんの車の中に乗った。


黒塗りの車。お買いもののときに乗った車とたいしてかわらない中身。うん、お金持ちだ。
車には、ディーノさんの他にロマーリオさんともう一人違う人がいて、その人が車を運転していた。


「どこに行きたいか考えてきたか?」


[ゆうえんち]


これは、昨日お母さんが言っていたことで、私自身としてはどこにいきたいというところがなかった。だって、一応中身は17なわけだし…。


観光でもよかったけど、今度お父さんたちといくって約束してたし。
だったら、この年齢を生かして、遊んじゃおう!と考えた。


「遊園地か。懐かしいな」


「ボスがよく遊びに行きたいってせがんでたとこだもんな」


[いきたかったの?]


「が、ガキのときだぜ?」


「ははは!今もじゃねえのかい?ボス」


「そなわけねえだろ!」


ロマーリオさんは、ディーノさんをからかうのが好きみたい。でも、他の部下の人たちとかも、ディーノさんが好きだーって言うのが雰囲気でよくわかる。なんと言うか、アットホームな感じ?


お父さんのところとは、またちょっと違う雰囲気なんだよね。お父さんのところは、なんというか…、上下関係がはっきりしてるけど信頼はしていて、ここみたいに底なしの明るさじゃない。


[なかよしだね]


「まあな。紫杏も仲良くなれるぜ?」


わしわしと頭をなでられ、少し首をすくめる。ディーノさんの手は、とても大きくて、パパを思い出す。昔のパパがよく頭をなでてくれたから…。


私はそこまで考えて頭を横に振った。今は、パパのことを思い出したくはなかった。


私の行動に首をかしげているディーノさんから顔をそむけて、窓の外に視線をやった。


窓の外では見慣れない外国風の白い家がどんどん通り過ぎていく。外を行く人は、皆金髪で外国だーと思い知らされた。
何気に、屋敷のなかって日本人が多いもんね。


「外見てて楽しいか?」


[おもしろい]


「そっか、そっか(…無表情でいわれてもな…;」


「?」


しばらくしたら、道路の向こうに観覧車が見えてきた。おぉ〜!観覧車!ジェットコースター!悲鳴が聞こえてくる!


遊園地なんていつぶりだろう!


「よし。着いたな」


ディーノさんが車からおろしてくれて、私は彼と一緒に遊園地へ!


やっぱ、遊園地って楽しそうだよね!だって、着ぐるみがいる!あれって、中に人が入ってるんだーって知ったときのショックは確か、5歳くらいだったんだよね、私。


遊園地で一人迷って、迷子センターに行ったときに、偶然裏側が見えてしまって、そこでおじさんが、さっきまで私がかわいいと思っていた着ぐるみから出てきたんだよ。
あのときは、ショックと迷子のせいで、泣きわめいたっけ。


「さっそく回ろうぜ。何から乗りたい?」


「ボス、あまりオレ達から離れねえでくださいよ?今日はボスだけじゃなくて、譲ちゃんもあずかってんだから」


「ハハハ!大丈夫だって」


ジェットコースター乗りたいなあって思ってアレ、ってねだったのは、一番近くにあった絶叫マシーンのジェットコースター。


「アレって…。身長足りるか?」


あ、そういえば、身長制限あるのすっかり忘れてた…。


[たりないかも]


「とにかく、行ってみようぜ」


私の手をとって、ディーノさんは人ごみの中へと進んでいく。その後ろ姿が、太陽と重なって眩しくて、目を細めた。


「お、あったあった。ほら、並んでみろよ」


言われたとおりに、その人形に近づいてみる。うん。絶対にたりない。


せかされるままに、その人形と背比べをしてみたら、10センチほど足りなかった。これほど、身長が低いことを恨んだことはないよ…;
だって、ジェットコースター乗れないってことは、絶叫系全部無理だよ!他に何乗れるんだろ…。


私、結構絶叫マシーンとか好きなんだけどなあ…。絵のアイディアが浮かぶというか…。


「あー、残念だけど、これはもっと大きくなってから乗ることにしようぜ?」


コクリ、と一つうなずく。
ま、いっか。もっと大きくなったらまた連れて来てもらおう。


「とし!じゃあ、アレ乗るか!」


そういって、ディーノさんが指差したのは…―――


メルヘンチックな音楽が流れ、緩やかに上下しつつ回転していく景色を見ている。つかまっているものは冷たいながらも、精密に作られた馬。


そう、今私が乗っているのは、絶叫マシーンでも、ましてや17歳の女の子が乗るようなものではない。


メリーゴーランド。


いや、確かに私は5歳だよ?見かけは5歳だけどさ!中身はバリバリ高校生なわけで、なんどもいうようだけど、もう子供と言えるような精神年齢じゃないの!なのに、メリーゴーランドって!


周りから見たら普通なんだけど、あ、普通じゃないのが一つあった。一緒にディーノさんが隣の馬に乗っていること。


しかも、この人結構楽しんでるし。いや、楽しくないわけじゃないんだけど。この緩やかなスピードとか、かなり新鮮だし。


「いやー、これのってっと、匣兵器に乗ってる気分になるな」


「?」


なんてハハハと笑いながら言っていて、その様子をロマーリオさんたちは柵の向こう側で親が子を見守るのよろしく穏やかな目で見ている。


周りの人たちは、ディーノさんをチラ、チラっと見ている。
ひそひそと言っては、キャーと言って頬を染めている女の子達がおおい。つまり、イタリア語だからあたってるかはわからないけど、かっこいいって言ってるんだと思う。


というか、マフィアの人たちって美形が多いのかな?ボンゴレの人たちも皆美形だったし…。
ホストとかしたら、面白いぐらいにお客さんがきそうだよね。


やっと終わって、ディーノさんは私を馬から抱きおろしてくれた。そのまま私はディーノさんに抱っこされたまま次のところへ。


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あきゅろす。
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