プレゼントフォーユー

リボーンとのクリスマスはあっという間に終わった。


まるでシンデレラのようだとリボーンが言ったように、パーティーが終わり屋敷から出た瞬間に私の魔法は溶け、もとの5歳に戻ってしまった。


それでも思い出だけはしっかり心に残っていて、その日はほっこりした気持ちのまま眠りについた。


次の日、起きてみて驚いた。


部屋の中に置かれたたくさんのプレゼントの山。


色とりどり、大小さまざまな箱を見て、まだ夢でも見ているのかと思った。


クリスマスにプレゼントをもらうなんて思っていなかった。もらった記憶も数回しかない。


かけよって、下からプレゼントの山を見上げた。自分の身長を優に超している。


これは開けてもいいのだろうか。


プレゼントの山を見上げながらしばらく考えていると、ふいに後ろから黒い腕が伸びてきた。驚いて体をはねさせる。後ろを振り返ると、いつのまに入ってきたのかリボーンがいた。


「おはよう、紫杏」


目を白黒させながら、こくん、とうなずく。


「プレゼント見上げてどうした。あけねえのか?」


これ、あけていいの?


口ぱくで聞いてみた。


リボーンなら唇の動きぐらい読み取れる。って前にリボーン自身も、お父さんや隼人たちも言っていた。


「紫杏へのものだぞ。お前が開けないなら処分行きだ」


どうする?とわざとらしく聞いてくるリボーンは意地悪だと思う。


手直にあった小さめの箱を一つ手に取ってリボンをほどいていく。リボーンは片膝をついてその様子を見守っていた。


包装紙が破れないように丁寧にはがしていく。


最初に出てきたのはなんとナイフだった。しかも、ベルが使うようなちょっと特徴的な形をしたナイフ。


一緒についていたメッセージカードを見ると、やっぱりベルだった。これで敵が来たら攻撃しろよというメッセージつきだ。


物騒だけど、7本ワンセットとしてケースにしっかりおさめられているそれは、とても美しかった。さすがベルだと思う。普段から特注のナイフを使っていると自慢するだけはある。


それを丁寧に箱に戻し、いったん傍らに置いておく。あとでどこかに飾っておくのもいいだろう。それだけでも綺麗だと思う。きっと使うことはないだろうけれど。


次には正方形らしい少し大きめの箱。外側についていたカードを見ると、フランからだった。中を開けると、でてきたのはウサギのかぶりもの。中に入っていた手紙曰く、私の頭に入るように特注品らしい。今度、フランが来た時にでもかぶろう。


次に手に取ったのはたけ兄からのものだった。野球のグローブとバッドとヘルメットだった。一緒に野球しようってことなのかもしれない。でも、たけ兄がボールを持つととても怖いことを知っているために、このグローブやバッドを使う日が来なければいいとちょっとだけ思った。とりあえず、どこかに飾ろうとは思う。


次はルッスとマーモンだった。


まさか、あの守銭奴のマーモンがクリスマスプレゼントを贈るなんて思わなかった。中を見るとかわいらしいワンピースだった。次ヴァリアーに行くときは来ていこうと思う。


暗殺部隊の幹部たちが揃ってクリスマスプレゼントを送ってくれるなんて、すごいと思う。


次に手に取った箱は、了兄からだった。中を開くと、意外とまともなフォトフレームだった。了兄こそ、ボクシングのグローブとか送ってきそうなのに。メッセージには知り合いに選んでもらったのだと書いてあった。絵をいれるのもいいだろうとも書いてあったので、実行しようと思う。


次はまさかのティモッテオさんだった。ティモッテオさんとは、最近ほとんど会えていない。それでも、元気なのは知っていたけど、まさかプレゼントをくれるとはおもわなかった。中は高級菓子の詰め合わせだった。とてもおいしそうだったから、後でランボとかにもおすそ分けしよう。


他は、隼人が動く猫のロボット、クロームがかわいい髪飾り、千種と犬からブレスレット、骸からガラスの靴。きっと昨日のクリスマスのことがあったためだろう。あと、レヴィからメイド服が届いていたのにはさすがに箱の中に戻した。


スクは小難しそうな本で、ザンザスからはなんと高級フィレ肉だった。なんともザンザスらしい選択だと思う。これはあとでコックのところにもっていって今日の夕飯に使ってもらうことに決めた。


お母さんとお父さんからは12色の絵の具とキャンパス、数種類の筆だった。


それを手に感動していると、リボーンに頭を撫でられた。


こんなにもプレゼントをもらったのは初めてだった。


開かれた包装紙と、並べられたプレゼントを見る。


送られてきたものだけを見ても、だいたい送り主がわかる。なんとも個性豊かなプレゼントだった。


それでも、とてもうれしいと思った。


「最後に俺からだ」


そういって手を取られた。


開かれた指。小指にするりと入り込んだそれに驚き目を見開く。


「ガラスの靴は置いていってもらえなかったからな。代わりにピンキーリングだ」


小さなモミジのようなふにふにの手。その一番端にあるこれまた幼い小指にきらりと光る金色の輪の上に小さな石がついている。


右手の小指。


「紫杏。今は意味がわからなくてもいい。変わらぬ想いをお前に」


手を取られ、リボーンの薄い唇に寄せられる。


「一つの誓いだ。はめられなくなっても、チェーンに通して持ってるんだぞ」


それは、ナニカの既視感かのようだった。


リボーンの掌に納まる小さな手。そこに光る小さな石。リボーンは誓いだといった。変わらぬ想いをと。


私はリボーンに手をぎゅっと握りしめる。


まだ、その真意はわからない。


それでもこの小さな体がもどかしく、また、この小さな体に甘えてもいた。


まだ、もう少しこのままで。







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