金儲けには多少のキャプションも…

「マーモン」


「やあ、ベル。フラン。紫杏、ちゃんと稼げたかい?」


マーモンは何かをつくっていたのか机で作業をしていたものから顔を上げて、私たちの方を見た。私は、フランが持っているケースを指さす。


「…ふーん、ずいぶんケチったね。レヴィも」


「たぶん、Bランク2回分ほどしかないですよー?」


「ししし、残念だったな、マーモン」


「こんなの、予想の範囲内さ。紫杏にはもうひと稼ぎしてもらうからね」


まだ、やるのか。と思わず顔をひきつらせたけど、そんなのお構いなしにあれよあれよという間に私はなぜかルッスのもとへと向かわされた。


ノックをして中に入ると、ハートを飛ばしながらルッスに迎えられた。


「やあん!マモちゃんから聞いてたけど、本当に猫になったのねえ〜!」


いや、ネコ耳と尻尾が生えただけです。


なんていうつっこみは、興奮して腰をくねくねさせているルッスに届くはずもなく、私はあれよあれよという間に、別の部屋へと連れて行かれた。


「今から、アナタには着替えてもらうのよ!ボスをメロメロにさせるんだから!」


メラメラと闘志を燃やすところ申し訳ないが、なんでそこでザンザスさんが出てくるんだろう。だって、今回のマーモンのターゲットってレヴィだよね?さすがのマーモンもザンザスさんからたかったりしないだろう…、し…?


「さあ、ついたわ!適当に見ててもいいけど、よごしちゃだめよ?」


ついた部屋は、衣裳部屋だった。暗殺部隊になぜ衣裳部屋があるのか疑問だったけど、実際にここまでずらりと並んだドレスやコスプレかと思わせるような衣裳は見たことがないため、私もなんだか楽しくなってきて何があるのか見て回った。


ドレスは、きらびやかなド派手なものから、すらっとしたきれい系、はたまたふんわりしたかわいい系のものまであった。男物のスーツも何着もある。


それと、なぜか知らないが、子供用のドレスもあった。思わず手に取って自分に合わせて鏡を見てみるけど、なんともしっくりこない。


子供のものは、ちょっとコテコテしていて、大人のものに比べれば当たり前だけど子供っぽいものだった。


コスプレっぽいものも、多種多様だった。ナース服や警官服などの制服系のものから始まり、チャイナ服、はたまた着る機会があるのか知らないがアニメで着ていそうな洋服が置いてあった。


変そうとかするにしても、さすがにこういうのを着て任務に行く人はいないだろう。だったら、仮装パーティーとかあるのだろうか。


ザンザスさんたちが仮装している姿を思い浮かべようとしてみる。


ベルやルッスは乗り気だろう。フランはすでにカエルをかぶっている時点できっとあまり変わらない。マーモンも頭からすっぽりフードをかぶっているからきっと似たような恰好を選んでくるとしたら、あまり変わらないだろう。


問題はスク、レヴィ、ザンザスさんだ。


レヴィは、言わずもがな何を着ても、どうやっても気持ち悪いとののしられることは必須だった。


スクは、着るものによってはとてもかっこいいかもしれない。


ザンザスさんは、まずコスプレをさせようとした時点で殺されそうだ。でも、私みたいにネコ耳とかつけたら…。うん、怖いから想像するのはやめよう。


「紫杏ちゃ〜ん!衣裳が決まったわよー」


ルッスに呼ばれ、服の合間を縫いながら声のした方に向かう。


待ち受けていたルッスが持っていたのは、子供用の服。


黒いワンピースタイプのものに、腰には白いレース仕立てのエプロンが。そして、エプロンと同じ生地でできていそうなカチューシャのようなものが持たれている。


それはどう見ても、ミニ版メイド服。


思わず、一歩後ずさると、それをさせまいというようにがっちり腕をつかまれた。


「さあ、さあ!時間がないから着替えて頂戴」


更衣室らしき場所におしこめられ、しぶしぶ洋服を手に取ってみる。


かわいいといえばかわいい洋服。


メイド服とか確かに着てみたいなと思ったことはあるけど、実際に着てみることになるとは思わなかった。


でも、着ないわけにはいかないだろう。


何しろ、あの有名シェフのケーキがかかっているのだ!


私はそのメイド服に着替え始めた。


サイズはぴったり。最後に仕上げにカチューシャをつけて、鏡を見てみれば、メイド喫茶にいそうなメイドさんのできあがり。


スカートからのぞく尻尾がなんともいえない。


というか、本当に尻尾は勝手に動く。自分の意志でも動くんだけど、バランスをとる為なのか無意識のうちに動かせていた。


「着替え終わったかしらー?」


ルッスに声をかけられ、鏡から目をはなす。着替え終わった服を持って、カーテンをあけると、ルッスの周りが華やかになった。


「まあああっ!かわいい!かわいいわあ!さすが、ア・タ・シ。これなら、ボスもイチコロね〜っ!」


テンションマックスのルッスに若干引きながらも、もう一度自分の体を見下ろす。


「さあ、じゃあ、マモちゃんのところにいきましょ」


そして、私は再びベルやフランがまだいるであろうマーモンのところに連れて行かれるのだった。


このレヴィから金をもぎ取ろう企画はまだ続くようです。


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